ベトナムの定番バインダークアのレシピ
バインダークア(Bánh Đa Cua)は、ベトナム北部の港湾都市ハイフォンを発祥とする蟹麺料理です。「バインダー」は米ぬかや黒ごまを混ぜて作る茶褐色の平打ち乾…
材料
- バインダー(茶褐色平打ち米麺・なければ幅広フォー麺) 160g
- 蟹肉(缶詰可) 150g
- 卵 1個
- 木綿豆腐 1丁
- 空芯菜 1束
- トマト 2個
- 干しエビ 大さじ2
- シャロット 2個(サテーオイル用)+大さじ2(フライドシャロット用)
- にんにく 1片
- 唐辛子フレーク 大さじ1
- パプリカパウダー 小さじ1
- ナンプラー 小さじ1(蟹肉用)+大さじ2(スープ用)
- 砂糖 大さじ1
- 塩 小さじ1
- 白こしょう 少々
- サラダ油 大さじ1(トマト炒め用)+適量(揚げ豆腐用)+大さじ3(サテーオイル用)
- 青ねぎ 2本
- 水 1.2リットル
- もやし・ライム・青唐辛子・パクチー 付け合わせ用・各適量
バインダークア(Bánh Đa Cua)は、ベトナム北部の港湾都市ハイフォンを発祥とする蟹麺料理です。「バインダー」は米ぬかや黒ごまを混ぜて作る茶褐色の平打ち乾燥麺を指し、「クア」は蟹を意味します。蟹の旨みを凝縮したスープ・茶色く太い平打ち麺・揚げ豆腐・空芯菜・トマト・フライドシャロットが揃う見た目の豪快さは、ハイフォン料理の個性をそのまま体現しています。ブンリュウが米麺と豚骨スープをベースにするのに対し、バインダークアは茶褐色の麺と純粋な蟹スープの組み合わせが際立つ全く異なる料理で、ハイフォン市民にとっては「ブンリュウとは別物」という強いこだわりがあります。港町らしく新鮮な海の幸を豪快に使い、蟹の殻ごとすりつぶしてスープに溶かす本場の技法が生み出す旨みの深さは格別で、一度食べるとハイフォンという都市の記憶とともに忘れられない一杯として残ります。
バインダークアの作り方
◎蟹スープを作る
ほぐした蟹肉(缶詰可)150g・卵1個・ナンプラー小さじ1・白こしょう少々をボウルでよく混ぜ合わせる。鍋に水1.2リットルを中火で沸かし、蟹肉の混合液をゆっくり流し入れる。かき混ぜずに静かに待ち、蟹肉が凝固して浮き上がってきたら弱火に落とす。(蟹肉に卵を混ぜることでスープに加えたときにふんわりとした蟹の塊が生まれる。かき混ぜると蟹肉が細かく散ってしまうため、浮き上がってくるまで絶対に触らないこと)
◎スープを調味する
ナンプラー大さじ2・砂糖大さじ1・塩小さじ1を加えて味を調える。干しエビ大さじ2をさっと水で洗って加え、弱火でさらに15分煮込んで旨みを引き出す。(干しエビがバインダークアのスープに蟹だけでは出せない海の旨みの層を加える。ハイフォンでは淡水蟹のすりつぶし液をそのまま使うが、缶詰の蟹肉と干しエビの組み合わせで十分な旨みが再現できる)
◎トマトを炒めてスープに加える
フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、くし切りにしたトマト2個を加えて木べらで潰しながら2〜3分炒める。トマトがソース状になったら蟹スープに加えてよく混ぜる。(トマトを炒めることでスープが鮮やかなオレンジ色に染まり酸味も和らぐ。バインダークアのスープの色と酸味の決め手となる工程で省略しないこと)
◎揚げ豆腐を準備する
木綿豆腐1丁を4〜6等分に切り、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る。170℃の油でこんがりきつね色になるまで揚げる。(揚げ豆腐はバインダークアのテクスチャーに欠かせない要素。表面がカリッと中がふんわりした状態に仕上げることで、スープを吸いながらも食感を保つ。市販の厚揚げを使っても代用できる)
◎空芯菜を下茹でする
空芯菜1束を食べやすい長さに切り、沸騰した湯で1分ほどさっとゆでて冷水にとる。(空芯菜はゆですぎると食感が失われる。シャキッとした食感を残すためにさっとゆでて即座に冷水でしめること。空芯菜が入手できない場合はほうれん草や小松菜で代用できる)
◎サテーオイルを作る
小鍋にサラダ油大さじ3を中火で熱し、みじん切りにしたシャロット2個・すりおろしにんにく1片を1〜2分炒める。唐辛子フレーク大さじ1・パプリカパウダー小さじ1を加えて30秒炒め合わせて火を止める。(サテーオイルはスープの仕上げに回しかけることでバインダークア独自の香ばしさと赤みが生まれる。量は好みで調節してよいが、少量かけるだけでスープの表情が大きく変わる)
◎麺を茹でる
バインダー(茶褐色の平打ち米麺)を袋の表示通りに茹でて冷水でしめ、水気をよく切る。(バインダーはハイフォン料理専門店やアジア食材店で入手できる。入手できない場合は幅広の乾燥フォー麺または平打ちライスヌードルで代用できるが、茶褐色の見た目と独特の香ばしさは再現できない)
◎盛り付け

深めの器に麺を盛り、揚げ豆腐と空芯菜を美しく並べる。熱々のスープをたっぷり注ぎ、サテーオイルを少量回しかける。フライドシャロット・小口切りにした青ねぎを散らし、もやし・ライム・青唐辛子・パクチーを添えて完成。
料理の歴史と背景
バインダークアはベトナム北部の港湾都市ハイフォンに根付く郷土料理で、ハイフォン市民にとっては「ハノイにフォーがあるようにハイフォンにはバインダークアがある」と言わしめるほどの誇りの料理です。ハイフォンはベトナム北部最大の港湾都市として19世紀後半のフランス植民地時代から工業と貿易で栄え、漁業も盛んな海の街として発展してきました。豊富な海の幸を最大限に活かす料理文化の中で、淡水蟹をすりつぶしてスープに溶かす独自の技法と、黒ごまと米ぬかで作る茶褐色の平打ち麺という組み合わせが生まれ、ハイフォン独自の麺料理として発展しました。茶褐色の麺はもともと色付けのために米ぬかを混ぜたことから始まり、その見た目の個性がバインダークアをベトナムの他の麺料理と一目で区別できる特徴として定着しています。
現在のハイフォンでは早朝から夜まで至るところにバインダークア専門店が存在し、地元の人々が日常の朝食として気軽に食べる庶民の麺として深く根付いています。ハノイでもバインダークアを提供する店が増えてきていますが、「本物はハイフォンのものでなければ」というハイフォン出身者のこだわりは今も強く、帰省のたびにバインダークアを食べることを楽しみにしているという声は多く聞かれます。海外ではフォーやブンボーフエに比べてまだ知名度は低いものの、ベトナム料理の深みを知るうえで見逃せない一杯として食通の間での評価は高く、ハイフォンを訪れた旅行者が現地で食べて感動したという体験談がSNSで広まっています。蟹の旨みとトマトの酸味が溶け合う茶褐色のスープと独特の麺の組み合わせは、ベトナム北部の港町が生み出した食文化の豊かさを改めて教えてくれます。
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