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マレーシアの定番チャークイティオのレシピ

黒醤油とラードの高火力炒めで仕上げるペナン発祥のマレーシアを代表する炒め麺。えび・アサリ・もやしが絡む焦げ目の香ばしさを自宅で再現する本格レシピを、歴史とともに紹介します。

マレーシアの定番チャークイティオのレシピ
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郷土レシピ.com代表

材料

  • クイティオ(幅広米粉麺) 200g
  • 黄色い細麺(なければビーフン) 100g
  • えび(中サイズ・殻付き) 8尾
  • アサリ 100g
  • 卵 2個
  • もやし 100g
  • ニラ 4本
  • ニンニク 3片
  • 豚ラード(なければサラダ油) 大さじ2
  • 黒醤油(プトヒタム) 大さじ2
  • ナンプラー 大さじ1
  • オイスターソース 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • サンバルチリ・ライム 各適量

チャークイティオ(Char Kway Teow・炒粿條)はマレー語と福建語が混ざった名前を持つペナン発祥のマレーシアを代表する炒め麺料理で、幅広の米粉麺(クイティオ)と細い黄色い卵麺を豚のラードで熱した鉄鍋に入れ、黒醤油・ナンプラー・オイスターソースで味付けしながら超高火力で一気に炒め上げ、えび・アサリ・チャーシュー・卵・もやし・ニラをたっぷりと加えた、焦げ目の香ばしさと発酵調味料の旨みと鑊気(ウォッキー)と呼ばれる中華鍋特有の炎の香りが三位一体となった唯一無二の美味しさを持つ料理です。チャークイティオの最大の個性はラードの動物性の脂が超高火力の熱で瞬時に焦げることで生まれる鑊気であり、家庭のコンロでは再現が難しいこの炎の香りこそがペナンの屋台のチャークイティオが世界中の旅行者を虜にし続ける秘密です。黒醤油の甘みとナンプラーの塩気とラードのコクが幅広の米粉麺にしっかりと絡みつき、えびとアサリの海の旨みともやしとニラの食感の対比が口の中で次々と展開するチャークイティオは、ペナン食文化の多民族融合の歴史をそのまま味で体現した料理として世界中のフードメディアから高い評価を受け続けています。ペナンでは腕の良いチャークイティオ職人は「チャークイティオ師傅」と呼ばれ地元民から尊敬される存在であり、一人前ずつ鉄鍋で仕上げる職人技とラードの煙が立ち上る光景はペナンのホーカーセンターの象徴的な風景として世界遺産の街並みとともに語り継がれています。

チャークイティオの作り方

◎調味料を合わせる
黒醤油(プトヒタム)大さじ2・ナンプラー大さじ1・オイスターソース大さじ1・砂糖小さじ1を小皿に合わせてよく混ぜておく。(調味料を先に合わせておくことで炒めながら素早く加えられる。チャークイティオは高火力で一気に仕上げる料理なので手順を事前に整えることが重要。黒醤油がない場合は濃口醤油大さじ2に黒蜜小さじ1を加えると近似した甘みが出る)

◎食材を準備する
クイティオ(幅広米粉麺・生または水で戻したもの)200g・黄色い細麺(なければビーフン)100gを用意する。えび(殻付き中サイズ)8尾の殻をむいて背わたを取る。アサリ100gを砂抜きする。もやし100gを洗う。ニラ4本を4cm幅に切る。ニンニク3片を粗みじんにする。卵2個を溶いておく。(クイティオは生麺が最も食感がよく、アジア系食材店で入手できる。麺が固まっている場合は炒める前に手でほぐしておくこと)

◎炒める(1人前ずつ仕上げる)
中華鍋またはフライパンを強火で白煙が出るまで熱し、豚ラード(なければサラダ油)大さじ2を入れる。ニンニクを加えて10秒炒め、えびとアサリを加えて火が通るまで1〜2分炒める。麺を加えて鍋底に押しつけるように30秒おき、焦げ目をつける。合わせ調味料を回しかけて全体を素早くあえる。麺を端に寄せて卵を流し込み、半熟になったら麺と混ぜ合わせる。もやし・ニラを加えてさらに30秒炒めて完成。(ラードを使うことで鑊気の香ばしさが格段に増す。家庭のコンロでは火力が足りないため、少量ずつ1人前ずつ仕上げることで温度を保つのが最大のポイント。麺を鍋底に押しつけて焦げ目をつける工程がチャークイティオの命)

◎盛り付け

マレーシアの定番チャークイティオの完成品 盛り付け画像

皿に盛り付け、好みでサンバルチリを小皿に添える。カラマンシーライム(なければライム)を搾りかけて完成。ペナンでは豚ラードの揚げかす(チチャルク)を散らすスタイルも定番。

料理の歴史と背景

チャークイティオの起源は19世紀後半から20世紀初頭にかけてペナン島に移住した福建系・潮州系中国人移民の食文化に求められます。当時のペナンの港湾労働者・漁師・農民の間で安価で腹持ちのよい屋台飯として広まったチャークイティオは、中国本土から持ち込まれた炒め麺の技法とマレー半島の海産物文化・マレーの調味料文化が融合することで現在の形に発展しました。もともとは豚の脂身を下層労働者が安価なカロリー源として活用するための料理だったとされており、ラードを惜しみなく使う調理スタイルはその歴史的背景を今に伝えています。2000年代以降は健康志向の高まりとともにラードの代わりに植物油を使う店も増えましたが、ペナンの老舗ホーカーセンターでは今も伝統的なラードを使うスタイルを守り続ける職人が存在し、その店には常に行列ができています。2012年にユネスコがペナンの屋台文化を評価した際にチャークイティオはカリーミー・ロジャック・アッサムラクサと並んでペナン食文化の代表格として言及されました。

現代のマレーシアにおいてチャークイティオはペナンを中心に全国のホーカーセンターやコピティアムで食べることができ、ペナンのチャークイティオは「世界最高の炒め麺のひとつ」として複数の国際的なフードガイドで取り上げられています。特にペナンのジョージタウン旧市街にある老舗屋台のチャークイティオは数十年来の固定ファンを持ち、週末には開店前から行列ができる名物スポットとなっています。マレーシアを離れた移民コミュニティの間でもチャークイティオは故郷の味として作り続けられており、オーストラリア・イギリス・アメリカのマレーシア系レストランでは現地の食材を使って再現されたチャークイティオが提供されています。日本ではマレーシア料理専門店でチャークイティオを提供する店が増えており、黒醤油とラードが生み出す焦げ目の香ばしさと海産物の旨みが重なる複雑な美味しさは、焼きそば文化に親しんだ日本人の味覚にも深く響く料理として高い評価を得ています。

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