インドネシアの定番ガドガドのレシピ
茹でた野菜・豆腐・テンペ・ゆで卵にたっぷりのピーナッツソースをかけて食べるインドネシアを代表するサラダ料理。甘み・辛み・旨みが溶け合う本格レシピを、歴史とともに紹介します。
材料
- じゃがいも 1個
- いんげん 6本
- もやし 100g
- キャベツ 2枚
- きゅうり 1本
- 木綿豆腐 150g
- テンペ 100g
- 卵 2個
- 乾燥赤唐辛子 3本
- ニンニク 3片
- ホムデン(小玉ねぎ) 3個
- ブラチャン(エビペースト) 小さじ1
- ピーナッツバター(無糖・粒なし) 大さじ5
- ココナッツミルク 150ml
- タマリンドペースト 大さじ1
- ヤシ砂糖(なければ黒砂糖) 大さじ2
- ナンプラー 大さじ1
- サラダ油 大さじ2
- 水 150ml
- クルプック(エビせんべい)・フライドシャロット・青唐辛子 各適量
ガドガド(Gado-Gado)はインドネシア語で「混ぜ混ぜ」を意味するインドネシアを代表するサラダ料理で、もやし・いんげん・じゃがいも・キャベツ・きゅうりなどの野菜を茹でまたは生のままで盛り合わせ、揚げた豆腐・テンペ(大豆の発酵食品)・ゆで卵を加え、ピーナッツ・ココナッツミルク・タマリンド・砂糖・唐辛子を合わせて煮詰めた濃厚なピーナッツソースをたっぷりとかけて食べる、甘み・辛み・旨みと複数の食感が一皿の中に豊かに共存するジャカルタ発祥の国民的料理です。マレーシアのロジャックやタイのサテーソースと同じ東南アジアのピーナッツソース文化の系譜に属しながら、テンペというインドネシア独自の大豆発酵食品をトッピングに使う点と、タマリンドの酸みとヤシ砂糖の深みのある甘みを核心に据えたピーナッツソースの複雑な味わいによってインドネシア独自の別格の美味しさを実現しています。ガドガドの決め手は素材の旨みを引き出す茹で加減の丁寧さと、ピーナッツ・ヤシ砂糖・タマリンド・ブラチャン(エビペースト)が溶け合うことで生まれるピーナッツソースの甘み・酸み・辛み・旨みの四味のバランスであり、この二つが揃って初めて本場ジャカルタやスラバヤの食堂でガドガド売りのおばちゃんが丁寧に仕上げる味に近づきます。インドネシアではガドガドはイスラム教の断食明けの祝祭・結婚式・地域の集まりなど特別な日のご馳走としても作られる料理であり、クルプック(エビせんべい)を砕いて上に散らして食べるスタイルはガドガドの食感の楽しさを象徴するインドネシア独自の食文化の表れです。
ガドガドの作り方
◎野菜を準備する
じゃがいも1個を一口大に切って茹でる。いんげん6本を3cm幅に切って茹でる。もやし100gを沸騰した湯に10秒くぐらせてザルに上げる。キャベツ2枚を一口大にちぎって茹でる。きゅうり1本を薄い輪切りにする。すべての茹で野菜は水気をよく切って冷ます。(野菜の茹ですぎはガドガドの食感を損なう。いんげんとキャベツはシャキシャキとした歯ごたえが残る程度に仕上げること。きゅうりは生のまま使うことで温野菜と生野菜の食感の対比が生まれる)
◎豆腐とテンペを揚げる
木綿豆腐150gを2cm角に切り、テンペ100gを1cm厚さに切る。170℃の油でそれぞれきつね色になるまで3〜4分揚げて油を切る。(テンペはインドネシア発祥の大豆の発酵食品で、納豆に近い発酵の旨みを持ちながらも固形でサクサクと揚げられる。日本では自然食品店やアジア系食材店で入手できる。揚げることで表面がカリッとしてピーナッツソースを吸い込みやすくなる)
◎ゆで卵を作る
卵2個を沸騰した湯に入れて8〜9分茹でて半熟に仕上げる。冷水にとって殻をむき、半分に切る。(半熟に仕上げることで黄身のとろりとした食感がピーナッツソースと絡んだときの一体感が増す。完全に固茹でにするとパサつくので時間を守ること)
◎ピーナッツソースを作る
乾燥赤唐辛子3本(水で戻す)・ニンニク3片・ホムデン(小玉ねぎ)3個・ブラチャン(エビペースト)小さじ1をミキサーでペースト状にする。鍋にサラダ油大さじ2を熱してペーストを5分炒め、ピーナッツバター(無糖・粒なし)大さじ5・ココナッツミルク150ml・タマリンドペースト大さじ1・ヤシ砂糖(なければ黒砂糖)大さじ2・ナンプラー大さじ1・水150mlを加えて弱火でとろみがつくまで10分煮込む。(ヤシ砂糖はガドガドソースに深みのある甘みをもたらす核心的な調味料。黒砂糖で代用できるが本場の味にはヤシ砂糖が欠かせない。とろみが強すぎる場合は水を足して調整すること。ソースは冷蔵で3日間保存できる)
◎盛り付ける

大きな皿に茹で野菜・きゅうり・揚げ豆腐・テンペ・ゆで卵を彩りよく盛り合わせる。温かいピーナッツソースをたっぷりとかけ、クルプック(エビせんべい)を砕いて散らして完成。好みでフライドシャロット・薄切りの青唐辛子を散らすのがジャカルタのスタイル。
料理の歴史と背景
ガドガドの起源はジャワ島のバタビア(現ジャカルタ)周辺の食文化に求められます。インドネシアでは古来から豆類・野菜・発酵食品を組み合わせて食べる菜食寄りの食文化が根付いており、ピーナッツがポルトガル・オランダの東インド会社の交易によって南米から東南アジアに持ち込まれた17〜18世紀以降、在来の野菜食文化とピーナッツソースが融合することでガドガドとして確立されたとされています。テンペはジャワ島独自の大豆発酵技術から生まれた食品であり、高タンパクで安価なテンペをガドガドに組み合わせることで庶民の栄養源として重要な役割を担ってきました。オランダ植民地時代にはガドガドはオランダ人にも親しまれ、「rijsttafel(ライスターフェル)」と呼ばれるオランダ式インドネシア料理の饗宴にも登場したことが記録されており、植民地時代を通じてガドガドがインドネシア料理の国際的な顔として機能してきた歴史があります。インドネシア独立後の1945年以降は国民食として全国に普及し、地域によってピーナッツソースの辛さ・甘さ・具材の組み合わせが異なる無数のバリエーションが生まれながら今日に至っています。
現代のインドネシアにおいてガドガドはジャカルタ・スラバヤ・バリ・ジョグジャカルタなど全国の食堂・屋台・ワルン(路傍の小食堂)で日常的に食べることができ、屋台のガドガド売りが注文を受けてからその場でピーナッツソースを仕上げて提供するスタイルは今も各地で続いています。2018年にガドガドがインドネシア政府によって「インドネシアを代表する5大国民食」のひとつに公式認定されたことで料理の文化的重要性が改めて確認されており、インドネシア料理の国際的な普及においてもガドガドはナシゴレン・サテーと並ぶ看板料理として世界各国のインドネシア料理店のメニューに必ず登場しています。日本ではインドネシア料理専門店やアジア料理イベントでガドガドを提供する機会が増えており、濃厚なピーナッツソースと複数の食感の野菜・豆腐・テンペが共存する一皿の豊かさは、サラダや和え物文化に親しんだ日本人の味覚にも自然に馴染む料理として関心が高まっています。
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