ラオスの定番カオピヤックセンのレシピ
米粉とタピオカ粉を練って引き伸ばした太くてもちもちの麺を、鶏の旨みたっぷりのスープで煮るラオスの定番朝食麺。本格レシピを解説します。
材料
- 米粉 150g(麺用)
- タピオカ粉 50g(麺用)
- 熱湯 180ml(麺用)
- 鶏手羽元(または骨付き鶏もも肉) 500g
- ガランガル 20g
- 生姜 1かけ(スープ用)
- レモングラス 1本
- 玉ねぎ 1/2個
- にんにく 3片(揚げにんにく用)
- シャロット 2個(フライドシャロット用)
- ナンプラー 大さじ2(スープ用)+小さじ1(鶏肉用)
- 砂糖 小さじ1
- 塩 小さじ1(スープ用)+少々
- 白こしょう 少々
- サラダ油 適量(揚げ用)+小さじ1(鶏肉用)
- 青ねぎ 2本
- 水 1.5リットル
- もやし・ライム・青唐辛子・パクチー 付け合わせ用・各適量
カオピヤックセン(ເຂົ້າປຽກເສັ້ນ)は「柔らかい米の麺」を意味するラオスを代表する麺料理で、米粉とタピオカ粉を熱湯で練って作るもちもちとした太麺を、鶏骨から丁寧に煮出した澄んだスープと合わせるビエンチャンの朝食の定番です。ベトナムのバインカン・カンボジアのカンティエウと同じ系譜を持ちながら、カオピヤックセンは麺を手で直接スープの中に引き伸ばしながら落とし入れる独特の技法を持ち、麺の太さや長さが一本一本微妙に異なる手作りの素朴さがこの料理の個性のひとつです。ガランガルと生姜をたっぷり使ったスープは芳醇な香りと体を温める効果があり、ラオスでは雨季の体が冷える朝や体調を崩したときに真っ先に食べる「回復食」として親しまれています。揚げにんにく・フライドシャロット・青ねぎという三つのトッピングが重なるラオス料理共通の仕上げと、テーブルに並ぶライム・青唐辛子・ナンプラーで自分好みに味を調えながら食べるスタイルは、シンプルなスープを無限の表情に変えてくれます。
カオピヤックセンの作り方
◎麺の生地を作る
米粉150g・タピオカ粉50gをボウルに合わせてよく混ぜ、熱湯180mlを少しずつ加えながら箸で混ぜる。ある程度まとまったら手でひとまとめにしてなめらかになるまでこねる。乾いたふきんをかけて15〜20分休ませる。(熱湯を使うことでタピオカ粉に火が通りもちもちとした弾力が生まれる。こね上がりの生地は耳たぶ程度のやわらかさが目安。乾燥しやすいので休ませる間もふきんをかけておくこと。生地が柔らかすぎる場合は米粉を少量足して調整する)
◎鶏骨をあく抜きする
鶏手羽元または鶏骨付きもも肉500gを大きめの鍋に入れ、かぶるくらいの水を加えて強火で沸騰させる。5分ほど煮たらザルに上げ、流水でよく洗ってアクと汚れを落とす。鍋も洗っておく。(この下茹での工程を丁寧に行うことでスープの透明感と雑味のないクリアな旨みが生まれる。カオピヤックセンのスープは澄んだ仕上がりが理想で、下茹ではその最初の重要な一手)
◎スープを煮出す
きれいにした鍋に水1.5リットルを入れ、あく抜きした鶏肉・叩いたガランガル20g・薄切り生姜4枚・叩いたレモングラス1本・つぶした玉ねぎ1/2個・塩小さじ1を加えて強火でひと煮立ちさせる。アクを丁寧にすくいながら弱火に落とし、蓋をして1時間じっくり煮込む。(ガランガルと生姜を両方使うことがカオピヤックセンのスープの香りを決定づける。ガランガルはしょうがとは異なる清涼感と辛みを持ち、両方が組み合わさることでラオス料理特有の芳醇な香りが生まれる)
◎スープを仕上げる
煮上がったスープから鶏肉を取り出す。スープを漉してガランガル・生姜・レモングラス・玉ねぎを取り除き、鍋に戻す。ナンプラー大さじ2・砂糖小さじ1・塩少々で味を調える。(スープは透明感を保つため強火で煮立てないこと。鶏・ガランガル・生姜の香りが重なり合う澄んだスープが理想。塩加減はナンプラーと塩のバランスで整え、やや控えめに仕上げてテーブルで各自が調整できるようにする)
◎鶏肉をほぐす
取り出した鶏肉が粗熱の取れたら骨から外し手で食べやすく裂く。ナンプラー小さじ1・サラダ油小さじ1・白こしょう少々を絡めておく。(鶏肉は手で裂くことで麺やスープとの絡みがよくなる。骨付きで煮ることで旨みが凝縮され、裂いた肉のしっとりとした食感がカオピヤックセンのトッピングとして最高の状態になる)
◎麺をスープに落とし入れる
スープを中火で静かに沸騰させる。休ませた生地を適量取って手のひらで薄く伸ばし、スープの上で親指と人差し指の間からぎゅっと押し出すように直接スープに落とし入れる。麺が浮き上がって1〜2分ゆでたら完成。(この「手でスープに落とし入れる」技法がカオピヤックセン最大の特徴。麺の形が不揃いで太さが変わることが味の醍醐味。慣れないうちは麺を厚めに成形して4〜5cm長さに切ってスープに入れる方法でも作れる。一度に大量に入れると温度が下がるので数回に分けて落とし入れる)
◎揚げにんにくを作る
にんにく3片を薄切りにし、170℃のサラダ油でこんがりきつね色になるまで揚げる。油を切ってキッチンペーパーに広げ冷めるとカリッとなる。揚げた油はにんにく油として取り置く。(揚げにんにくはカオピヤックセンの香ばしさを決定づける最重要トッピング。揚げた油をスープに少量回しかけることで風味が格段に増す。色づいたら即座に取り出さないと苦みが出るので注意)
◎フライドシャロットを作る
シャロット2個を薄切りにし、170℃のサラダ油でこんがりきつね色になるまで揚げる。油を切ってキッチンペーパーに広げ冷めると自然にカリッとなる。(フライドシャロットはラオス料理のトッピングに欠かせない香ばしさのアクセント。市販品でも代用できるが揚げたての香ばしさは格別)
◎盛り付け

深めの器に麺を盛り、裂いた鶏肉を中央にのせる。熱々のスープをたっぷり注ぎ、揚げにんにく・フライドシャロット・小口切りにした青ねぎを散らす。にんにく油を少量回しかけ白こしょうをひとふりして完成。もやし・ライム・青唐辛子・パクチーを添えてテーブルで各自が好みに調味しながら食べる。
料理の歴史と背景
カオピヤックセンはラオスの首都ビエンチャンを中心に根付いた料理で、メコン川流域の米食文化と豊富な淡水魚・家禽を組み合わせた食の伝統から生まれたとされています。米粉を熱湯で練って麺にする技法はラオス・カンボジア・ベトナム南部に共通する食の知恵で、小麦粉が入手しにくかった時代に米だけで太くてもちもちした麺を作る方法として各地で独自に発展しました。「手でスープに直接落とし入れる」というカオピヤックセン独特の技法は、製麺道具を持たない農村の食文化から生まれた素朴な知恵であり、その不揃いな形と手作りの温かみがこの料理の最大の個性として今も受け継がれています。ガランガルを大量に使うスープの香りはラオスとタイ北部・ミャンマーのシャン州に共通する大陸部東南アジアのハーブ文化の豊かさを体現しており、カオピヤックセンはその香りを最もシンプルな形で味わえる料理のひとつです。
現代のラオスではカオピヤックセンはビエンチャンをはじめルアンパバーン・パクセーなど全国の都市で朝食の定番として広く食べられています。路上の屋台では大鍋でぐつぐつ煮えるスープの前に職人が座り、注文のたびに生地を手で素早くスープに落とし入れる様子が見られます。その手際よい動きとスープに落ちる瞬間の音はカオピヤックセン屋台の風物詩として旅行者の記憶に残ります。隣国タイではカオピヤックセンに似た料理がチェンライなど北部の一部に存在し、ラオスとタイ北部の食文化の深い繋がりを示しています。近年は日本でもラオス料理への関心が少しずつ高まっており、もちもちとした独特の食感と澄んだガランガル香るスープの組み合わせは日本人の口にも自然と合うとして、ラオス料理専門店を中心に少しずつその存在が知られるようになっています。手で麺を作る工程のユニークさも含めて、カオピヤックセンはラオス料理の奥深さを最も楽しい形で体験させてくれる一杯です。
このレシピは役に立ちましたか?サイトの継続運営への応援をお待ちしています。