ラオスの定番カオプンのレシピ
発酵魚醤パーデークとココナッツミルクを合わせた濃厚な赤いスープに細い米麺を合わせるラオスの国民的麺料理。祭礼の日に家族で囲む特別な一皿の本格レシピを、歴史とともに紹介します。
材料
- 米麺(細いビーフン) 160g
- 豚ひき肉 150g
- 鶏ガラスープ 800ml
- ココナッツミルク 200ml
- レモングラス 3本
- ガランガル 15g
- ホムデン(小玉ねぎ) 5個
- ニンニク 4片
- 乾燥赤唐辛子 4本
- ターメリックパウダー 小さじ1
- パーデーク(なければナンプラー) 大さじ2
- 砂糖 小さじ2
- 塩 小さじ1
- サラダ油 大さじ2
- もやし 100g
- バナナの花(なければ紫キャベツ) 適量
- インゲン 5本
- ミント・パクチー・青ねぎ 各適量
- ライム 1個
カオプン(ເຂົ້າປຸ້ນ)はラオス語で「発酵米麺」を意味するラオスを代表する麺料理で、豚骨または鶏ガラスープをベースにパーデーク(発酵魚醤)・レモングラス・ガランガル・唐辛子・ターメリックを合わせたスープにココナッツミルクを加えて煮出した濃厚で複雑な旨みの朱いスープに、細くてもちもちとした米麺を合わせ、もやし・バナナの花・インゲン・パクチー・ミントなど豊富な生野菜とハーブをたっぷりと添えて食べるラオス全土で愛される国民的麺料理です。タイのカオソーイやベトナムのブンボーフエと同じ東南アジアのスパイシーなココナッツミルクスープ麺の系譜に属しながら、パーデークの発酵の旨みを核心に据えたラオス独自の深みと、生野菜を大量に添えて食べるスタイルによって別格の複雑な美味しさと食感の豊かさを実現しています。カオプンの決め手はパーデークとココナッツミルクが溶け合うことで生まれる甘みと旨みと酸みが一体となった唯一無二のスープの深みと、食べる直前に加える生野菜とハーブが口の中で混ざり合うことで生まれる清涼感の対比であり、この二つが揃って初めて本場ビエンチャンやルアンパバーンの食堂の味に近づきます。ラオスでは結婚式・祭礼・お盆など特別な日のご馳走として大鍋で作られる習慣があり、家族や親族が集まる食卓の中心に置かれてきた料理として深い文化的意味合いを持ちます。日常の朝食や昼食としても広く食べられており、ラオス人にとって最もソウルフードに近い麺料理のひとつです。
カオプンの作り方
◎スパイスペーストを作る
レモングラス(白い部分)3本を薄切りにし、ガランガル15gをスライスする。ホムデン(小玉ねぎ)5個・ニンニク4片・乾燥赤唐辛子4本(水で戻す)・ターメリックパウダー小さじ1とともにミキサーまたはすり鉢でなめらかなペースト状になるまで潰す。(ペーストを丁寧に潰すほどスープに旨みが溶け出しやすくなる。乾燥唐辛子は種を取り除くと辛みが和らぐ。辛さの好みに合わせて量を調整すること)
◎スープを作る
鍋にサラダ油大さじ2を熱し、スパイスペーストを中火で5〜6分、香りが立って油が浮いてくるまで炒める。鶏ガラスープ800mlを加えて沸騰させ、パーデーク(なければナンプラー)大さじ2・砂糖小さじ2・塩小さじ1を加える。豚ひき肉150gを加えてほぐしながら煮る。弱火にしてココナッツミルク200mlを加え、沸騰させないように注意しながら10分煮込む。(ココナッツミルクを加えた後は沸騰させると分離するため必ず弱火にすること。パーデークの塩気が強いので塩は味を見ながら加えること。スープは濃厚なほど美味しいので煮詰めてコクを出すのがポイント)
◎薬味・付け合わせを準備する
もやし100gをさっと洗う。バナナの花(なければ紫キャベツ)を薄切りにする。インゲン5本を3cm幅に切る。ミント・パクチー・青ねぎを洗って食べやすい長さに切る。ライムを半分に切る。(カオプンの醍醐味は豊富な生野菜とハーブを自分好みに加えながら食べること。テーブルに全ての薬味を並べてそれぞれが自由に組み合わせるスタイルが本場流)
◎麺を茹でる
米麺(ビーフン・細めのもの)160gを袋の表示通りに茹でてザルに上げ、水気を切る。(カオプンは本来パーデークで発酵させた専用の米麺を使うが、日本では細いビーフンで代用できる。茹ですぎるとスープを吸って食感が失われるので固めに仕上げること)
◎盛り付け

丼に米麺を盛り、熱々のスープをたっぷりとかける。もやし・バナナの花・インゲン・ミント・パクチー・青ねぎを彩りよく添え、ライムを搾りかけて完成。好みで追加の唐辛子フレーク・ナンプラーをテーブルに置いて各自で味を調整するのがラオスのスタイル。
料理の歴史と背景
カオプンの起源はラオスの農村でパーデークを使った発酵食文化と米を主食とする食文化が融合した歴史に求められます。ラオスでは稲作とともにメコン川や周辺河川の淡水魚を発酵させたパーデークが最も基本的な調味料として長く使われてきており、その旨みをスープの核心に据えたカオプンはラオスの食文化の根幹そのものを体現する料理です。ココナッツミルクを合わせるスタイルはインドや中国からの交易路を通じて東南アジアに広まったココナッツミルク料理の影響を受けたものとされており、ラオスの在来食材であるパーデークとレモングラスの文化にココナッツミルクの濃厚なコクが組み合わさることで現在のカオプンのスープが完成したと考えられています。祭礼や結婚式など特別な日に大鍋でカオプンを作って集まった人々に振る舞う習慣はラオス全土に共通するもので、カオプンはラオス人にとって単なる食事を超えたコミュニティと絆の象徴的な料理として位置づけられています。
現代のラオスにおいてカオプンはビエンチャン・ルアンパバーン・パクセーなど全国の食堂や屋台で朝食・昼食として日常的に食べることができ、特に週末の朝には家族連れでカオプンを食べに行く光景が各地で見られます。ラオス系移民が多く住むタイ東北部・フランス・アメリカでもラオスコミュニティの集まりにカオプンは欠かせない料理として作り続けられており、国境を越えてラオス人のアイデンティティを結びつける食文化の紐帯として機能しています。日本ではラオス料理専門店や東南アジア料理店でカオプンを提供する店が少しずつ増えており、パーデークとココナッツミルクが生み出す複雑で深みのあるスープの味わいと、大量の生野菜とハーブを自由に組み合わせながら食べるスタイルの楽しさは、ラーメンや鍋料理に親しんだ日本人にも直感的に理解しやすい料理として関心が高まっています。
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