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インドの定番マサラドーサのレシピ

米と豆を発酵させた生地を鉄板で紙のように薄く焼き上げスパイス炒めじゃがいもを包む南インドを代表する朝食料理。パリパリの食感とサンバル・チャツネとともに楽しむ本格レシピを、歴史とともに紹介します。

インドの定番マサラドーサのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
30 調理時間
2人前 分量
約420kcal カロリー

材料

  • 白米 200g
  • 黒レンズ豆(ウラドダル) 100g
  • 塩 小さじ1(生地用)
  • 水 150ml(生地用)
  • じゃがいも 3個
  • 玉ねぎ 1個
  • 青唐辛子 3本(マサラ用2本・チャツネ用1本)
  • 生姜 15g
  • マスタードシード 小さじ1と1/2
  • カレーリーフ 15枚
  • ターメリックパウダー 小さじ1/2
  • コリアンダーの葉 ふたつかみ
  • レモン果汁 大さじ2
  • 塩 小さじ1(マサラ用)
  • サラダ油 大さじ3
  • すりおろしヤシ(冷凍) 80g
  • 塩 小さじ1/2(チャツネ用)
  • サンバル(市販品) 適量

マサラドーサ(Masala Dosa)は南インドを代表する発酵クレープ料理で、白米と黒レンズ豆(ウラドダル)を水に浸けて一晩発酵させた生地を、熱した鉄板の上に薄く円形に広げてパリパリとした薄いクレープ状に焼き上げ、その中央にターメリック・マスタードシード・カレーリーフで炒めたスパイシーなじゃがいも炒め(マサラ)を包み込み、タマリンドと野菜を合わせたサンバル(スープ)とヤシ・唐辛子・コリアンダーを合わせたチャツネとともに食べる、発酵の旨みと酸み・スパイスの香り・ヤシの甘みが三位一体となったカルナータカ州を発祥とする南インドの国民的朝食料理です。マサラドーサの最大の個性は一晩かけて自然発酵させた生地が持つ乳酸の酸みと旨みが鉄板の熱で一気にパリパリに焼き上がることで生まれる軽くサクサクとした食感にあり、小麦粉のクレープとは根本的に異なる米と豆から生まれる発酵の複雑な風味がマサラドーサを単なる薄焼きパン料理を超えた発酵食文化の結晶として世界中の食通から高い評価を受けさせています。マサラドーサの決め手は生地を十分に発酵させることで生まれる適度な酸みと気泡がパリパリの食感を生み出すことと、鉄板に生地を流し込んだ直後に素早く薄く円形に広げるという技術が均一で紙のように薄い仕上がりを決定づけることであり、この二つが揃って初めて本場ベンガルール・チェンナイ・マイソールのイドリー・ドーサ専門店のおじさんが朝から鮮やかに仕上げる本場の味に近づきます。南インドではマサラドーサはイドリー(蒸し米豆ケーキ)とともに朝食の王道として老若男女に愛されており、バナナの葉の上にどっしりとのせたマサラドーサをサンバルとチャツネで食べながら一日を始める光景はインドの朝の食文化を象徴する風景として世界中の旅行者の記憶に深く刻まれています。

マサラドーサの作り方

◎生地を仕込む(前日の作業)
白米200g・黒レンズ豆(ウラドダル)100gをそれぞれ別のボウルに入れ、たっぷりの水に8時間浸ける。それぞれザルに上げて水気を切り、ミキサーに白米・黒レンズ豆・水150ml・塩小さじ1を合わせてなめらかなペースト状になるまで攪拌する。ボウルに移してラップをかけ、室温(25〜30℃)で8〜12時間発酵させる。(発酵が進むと生地がふっくらと膨らみ表面に気泡が生まれる。夏場は6〜8時間・冬場は12〜14時間が目安。ヨーグルト大さじ1を加えると発酵が促進される。発酵した生地はパリパリの食感と独特の酸みの核心であり時間を省略できない最重要工程)

◎マサラ(じゃがいも炒め)を作る
じゃがいも3個を茹でて皮をむき、粗くつぶす。フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、マスタードシード小さじ1を加えて蓋をして弾けるまで加熱する。カレーリーフ10枚・青唐辛子2本(薄切り)・生姜10g(みじん切り)を加えて30秒炒める。玉ねぎ1個(薄切り)を加えて透き通るまで5分炒め、ターメリックパウダー小さじ1/2・塩小さじ1を加える。つぶしたじゃがいもを加えてよく混ぜ合わせ、仕上げにレモン果汁大さじ1・コリアンダーの葉ひとつかみを加えて混ぜる。(マスタードシードは蓋をして完全に弾けるまで加熱することで香りが最大限に引き出される。カレーリーフは南インド料理に欠かせないハーブでアジア系食材店で入手できる。乾燥カレーリーフで代用できるが香りは生に劣る)

◎ヤシチャツネを作る
すりおろしヤシ(冷凍品を解凍したもの)80g・青唐辛子1本・生姜5g・コリアンダーの葉ひとつかみ・レモン果汁大さじ1・塩小さじ1/2・水50mlをミキサーでなめらかなペースト状にする。別鍋にサラダ油小さじ1を熱してマスタードシード小さじ1/2・カレーリーフ5枚を炒め、チャツネに加えて混ぜる。(ヤシチャツネはマサラドーサの定番の相棒。すりおろしヤシはアジア系食材店の冷凍品が最も手軽。なければヤシ乳を煮詰めたもので代用できるが食感は異なる)

◎ドーサを焼く
鉄製またはノンスティックのフライパンを中強火で十分に熱し、油を薄く塗る。発酵した生地をお玉1杯分フライパンの中央に流し込み、お玉の底を使って素早く外側に向かって薄い円形に広げる。表面に油少量を回しかけて1〜2分、縁が浮いてきつね色になったら中央にマサラを大さじ3〜4のせて半分に折り畳む。(生地を薄く広げるコツはお玉の底を使って中心から外側に向かってスパイラルを描くように素早く動かすこと。鉄板の温度が高すぎると生地が固まって広げられないので中強火で安定した温度を保つこと。最初の一枚は生地の水分で鉄板が慣れていないため失敗しやすいが二枚目からは上手く焼ける)

◎盛り付ける

インドの定番マサラドーサの完成品 盛り付け画像

大きな皿にマサラドーサをのせ、ヤシチャツネを小皿に添える。好みでサンバル(市販品または自家製)を別の小皿に添え、ドーサをちぎりながらチャツネとサンバルに浸けて食べるのが南インドの定番スタイル。

料理の歴史と背景

ドーサの歴史は古代インドの文献にまで遡ることができ、タミル語の古典文学には米と豆を合わせて焼いた料理の記述が見られることからドーサの原型は少なくとも1500年以上の歴史を持つとされています。現在のマサラドーサの形式、すなわちじゃがいものスパイス炒めを包むスタイルはカルナータカ州のウドゥピという小さな寺院都市で20世紀初頭に確立されたとされており「ウドゥピスタイル」として南インド全域に普及しました。ウドゥピはヴィシュヌ派ヒンドゥー教の聖地として知られており、寺院に仕える菜食主義のバラモン僧侶たちが考案した精進料理としてマサラドーサが発展したという歴史的背景が、この料理が完全ヴィーガン対応であることと深く結びついています。20世紀中頃にウドゥピ出身の料理人たちがムンバイ・デリー・コルカタなど北インドの大都市にウドゥピ食堂を次々と開店したことで、マサラドーサは南インドの地域料理から全インド的な国民食へと急速に普及しました。インド独立後の近代化の過程で都市部に流入した労働者・学生・サラリーマンの安価で栄養価の高い朝食・軽食として支持を集めたことがドーサ文化の全国的な定着に大きく寄与しています。

現代のインドにおいてマサラドーサはチェンナイ・ベンガルール・ハイデラバード・ムンバイ・デリーなど全国の食堂・イドリードーサ専門店・ホテルの朝食ビュッフェで日常的に食べることができ、南インドでは朝食の王道として毎朝大量に消費されながら北インドでも南インド料理店が全国に広まったことでどの都市でも入手可能な料理として定着しています。2023年にインド政府がドーサをインドを代表する料理のひとつとして国際的にプロモーションする政策を発表したことで、マサラドーサのグローバルな普及に向けた取り組みが加速しています。インド系移民が多く暮らすイギリス・アメリカ・シンガポール・UAEなど世界各国の南インド料理店では本格的なマサラドーサが提供されており、ヴィーガン・グルテンフリーという現代的な食のニーズにも対応した料理として欧米でも評価が急上昇しています。日本ではインド料理専門店でマサラドーサを提供する店が少しずつ増えており、発酵生地のパリパリとした食感とスパイス炒めじゃがいものほっくりとした旨みの対比は、クレープや和食の薄焼き料理文化に親しんだ日本人の味覚にも新鮮な驚きをもたらす料理として関心が高まっています。

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