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ラオスの定番トムマークフンのレシピ

トムマークフン(ຕົ້ມໝາກຫຸ່ງ)は「パパイヤのスープ」を意味するラオスを代表する家庭料理で、青いパパイヤを唐辛子・レモングラス・パーデーク(ラオス式発酵…

ラオスの定番トムマークフンのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
50 調理時間
2人前 分量
約290kcal カロリー

材料

  • 青いパパイヤ 1/2個(約400g)
  • 豚スペアリブ(またはあばら骨) 300g
  • レモングラス 2本
  • ガランガル 15g
  • コブミカンの葉 4枚+仕上げ用・適量
  • シャロット 3個(スープ用)+2個(唐辛子ペースト用)
  • にんにく 3片
  • 乾燥赤唐辛子 4〜6本
  • 生の青唐辛子 3本+飾り用・適量
  • パーデーク(ラオス式発酵魚ペースト) 大さじ1.5(なければプラホックまたはナンプラー大さじ2)
  • トマト 2個
  • ナンプラー 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 少々
  • 水 1リットル
  • 青ねぎ 2本
  • パクチー 適量
  • ライム 好みで・適量
  • カオニャオ(もち米) 適量

トムマークフン(ຕົ້ມໝາກຫຸ່ງ)は「パパイヤのスープ」を意味するラオスを代表する家庭料理で、青いパパイヤを唐辛子・レモングラス・パーデーク(ラオス式発酵魚ペースト)とともに煮込んだ辛口のスープです。「トム」は煮る・スープを意味し、「マークフン」は青いパパイヤを指します。ラオスの国民食として知られるソムタム(青いパパイヤのサラダ)と同じ食材を使いながら、生のまま和えるのではなく火を通して煮込むことで全く異なる料理に変容するトムマークフンは、ラオスの食文化における青いパパイヤの多彩な使われ方を示す代表例です。青いパパイヤは加熱すると独特のほろ苦さと滋味が引き出され、パーデークの深い発酵の旨みと大量の唐辛子の辛みが溶け合うことで、シンプルな食材から想像を超えた複雑な味わいが生まれます。メコン川流域の農村部では豚のあばら骨や川魚とともに煮込むスタイルが最も伝統的で、骨から出る旨みがスープにさらなる深みを加えます。ラオスの食卓では炊きたてのカオニャオ(もち米)と一緒にスープに浸しながら食べるスタイルが定番で、辛みの強いトムマークフンがもち米の優しい甘みと絶妙に釣り合います。

トムマークフンの作り方

◎青いパパイヤを準備する
青いパパイヤ1/2個(約400g)の皮をむき、縦半分に切って種をスプーンで取り除く。食べやすい大きさの乱切りにする。(青いパパイヤは皮をむいたあとすぐに変色するので、切ったら水に浸けておく。完全に熟していないもの・皮が濃い緑色のものを選ぶことが重要で、黄みがかったものは加熱するとすぐに崩れてしまう。入手できない場合は大根またはチャヨテ(ハヤトウリ)で代用できる)

◎スープの土台を作る
レモングラス2本の白い部分を叩いてつぶし、ガランガル15g(薄切り)・コブミカンの葉4枚・シャロット3個(丸ごと)・にんにく3片(丸ごと)を鍋に入れ、水1リットルを加えて強火でひと煮立ちさせる。弱火に落として10分煮出す。(香味野菜を先に煮出してスープの土台を作ることで、後から加える食材の旨みが引き立ちやすくなる。レモングラスは叩いてつぶすことで断面から香りが出やすくなる)

◎豚肉を加えて煮る
豚スペアリブ(またはあばら骨)300gをスープに加えて中火で20〜25分煮込む。アクが出たら丁寧にすくう。(骨付きの豚肉を使うことで骨髄からの旨みがスープに溶け出し、パーデークの発酵の旨みと合わさって重厚なスープの土台が生まれる。骨なしの豚バラ肉でも作れるが旨みの深さは変わる)

◎唐辛子ペーストを作る
乾燥赤唐辛子4〜6本(水で戻す)・生の青唐辛子3本・シャロット2個をすり鉢で粗くつぶす。(トムマークフンはラオスの家庭料理の中でも特に辛みの強い料理のひとつ。唐辛子の量はラオスの標準では日本人の感覚からすると相当な量だが、最初は少なめに始めて辛さの好みに合わせて調整する。粗くつぶすことでスープの中に辛みが溶け出しながら唐辛子の食感も残る)

◎パーデークで旨みを加える
パーデーク(ラオス式発酵魚ペースト)大さじ1.5をスープに加えてよく混ぜ込む。(パーデークはカンボジアのプラホックと同系統の発酵魚ペーストで、ラオス料理においてほぼすべての料理に旨みの土台として使われる。ラオスのパーデークはプラホックよりやや粒が粗く独特の強い発酵臭を持つが、加熱することで旨みに昇華する。入手できない場合はプラホックまたはナンプラー大さじ2で代用できる)

◎唐辛子ペーストと青いパパイヤを加える
粗くつぶした唐辛子ペーストをスープに加えてよく混ぜる。水気を切った青いパパイヤを加えて中火で15〜20分、パパイヤが柔らかくなるまで煮込む。(青いパパイヤは煮込むと少し透明感が出てきて柔らかくなる。煮崩れないよう大きめに切っておくと食感が残る。完全に柔らかくなったものとやや歯ごたえが残るものが混在する状態が理想)

◎トマトを加える
くし切りにしたトマト2個を加えて5〜6分煮る。(トマトはトムマークフンに酸味と甘みを加えるとともに、スープの色に深みを与える。煮崩れてスープに溶け込む部分と形が残る部分が混在する状態が理想。プチトマトを半分に切って使うと形が残りやすい)

◎調味して仕上げる
ナンプラー大さじ1・砂糖小さじ1・塩少々を加えて味を整える。コブミカンの葉をちぎって加え、ひと混ぜして火を止める。(トムマークフンの味はパーデークの旨み・唐辛子の辛み・ナンプラーの塩気が三位一体になるバランスが命。辛みが強すぎる場合は砂糖を少し増やすことで和らぐ。最後の味見を丁寧に行い、酸みが足りなければライム果汁を少量加えて調整する)

◎盛り付け

ラオスの定番トムマークフンの完成品 盛り付け画像
深めの器にスープをたっぷり盛り付け、青ねぎの小口切り・パクチー・せん切りにした青唐辛子を散らして完成。炊きたてのカオニャオ(もち米)を竹籠に盛って添え、スープに浸しながら一緒に食べる。

料理の歴史と背景

トムマークフンはラオスの農村食文化の中から生まれた料理で、メコン川流域の農村部で広く栽培される青いパパイヤを保存・活用するための知恵として発展したとされています。ラオスでは青いパパイヤは畑や庭先に自然に実る身近な食材であり、生のまま和えるソムタムと並んで、スープに煮込むトムマークフンが青いパパイヤの二大調理法として家庭に定着しました。パーデークというラオス独自の発酵魚ペーストを旨みの土台として使う点はラオス料理全般に共通する特徴であり、トムマークフンもその例外ではありません。パーデークの存在はラオス料理をカンボジア料理・タイ料理と明確に区別する要素のひとつで、ラオス北部から南部のボーラウェン高原まで地域によって微妙に製法が異なるパーデークが各家庭のトムマークフンの味の個性を作り出しています。唐辛子を大量に使う辛口の調理スタイルはラオスとタイ東北部(イサーン地方)に共通する食文化の特徴であり、両地域のクメール系・ラーオ系の人々が共有してきた食の伝統を体現しています。

現代のラオスにおいてトムマークフンはビエンチャンをはじめルアンパバーン・パクセーなど全土の家庭と食堂で日常的に作られる料理です。ラオスの家庭では青いパパイヤが実る季節になると毎日のようにトムマークフンが食卓に上がり、カオニャオとの組み合わせはラオス農村の日常食の原風景として記憶されています。都市部では唐辛子の量を控えて豚肉の代わりに鶏肉を使うマイルドなスタイルも普及していますが、農村部では骨付き豚肉とパーデークを惜しみなく使った伝統的な辛口スタイルが今も守られています。隣国タイのイサーン料理にも「ゲーンマークフン」という類似の料理が存在し、ラオスとイサーン地方の食文化の深い連続性を示しています。近年は日本でもラオス料理への関心が少しずつ高まり、ラオス料理専門店や東南アジア料理フェスティバルでトムマークフンが紹介される機会が増えています。青いパパイヤという普段馴染みの薄い食材が火を通すことで見せる滋味深い変容と、パーデークの発酵の旨みが溶け込んだスープは、ラオス料理の奥深さをシンプルな形で伝えてくれる一杯です。

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