ブルガリア

ブルガリアの定番バニツァのレシピ

薄いフィロ生地にブルガリアのブリンザチーズと卵を包んで焼き上げるブルガリアの国民食。クリスマスや正月の食卓から毎朝の屋台まで、あらゆる場面に登場するバニツァの本格レシピを歴史とともに紹介します。

ブルガリアの定番バニツァのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
50 調理時間
6人前 分量
約350kcal カロリー

材料

  • フィロ生地(市販) 1パック(約250g)
  • ブリンザチーズ(なければフェタチーズ) 300g
  • 卵 4個(フィリング用3個・卵液用1個)
  • バター(溶かす) 80g+大さじ2
  • プレーンヨーグルト 大さじ4
  • 塩 少々

バニツァ(Баница / Banitsa)はブルガリアを代表するパイ料理で、薄く伸ばしたフィロ生地(またはユフカ生地)にブリンザ(白塩チーズ)と卵を混ぜたフィリングを包み、渦巻き状または重ね式に成形してオーブンで焼き上げる。ブルガリアの朝食として最も親しまれている食べ物であり、首都ソフィアの街角にはバニツァの専門店(バニツァルニツァ)が並び、朝7時から焼きたてが売られている光景が日常だ。シンプルな素材から生まれるサクサクのフィロ生地とチーズの塩気が渾然一体となった一皿は、バルカン半島の食文化の核心を体現している。

バニツァの作り方

◎フィリングを作る
ブリンザチーズ(なければフェタチーズ)300gをボウルに入れてフォークで粗く崩す。卵3個を加えてよく混ぜる。バター大さじ1・ヨーグルト(プレーン)大さじ2を加えてさらに混ぜ合わせる。塩少々で味を調える。(ブリンザはブルガリアの羊乳または牛乳から作る白塩チーズで、フェタよりやや柔らかくミルキーな風味がある。フェタで代用する場合は塩気が強いため塩の追加は控えめに。リコッタチーズを一部混ぜるとよりクリーミーな仕上がりになる)

◎フィロ生地を準備する
市販のフィロ生地(またはspring roll wrapperでも代用可)1パックを室温で20分解凍する。バター80gを溶かしておく。作業台にキッチンペーパーを敷き、乾燥しないよう濡れた布巾をかけながら1枚ずつ取り出して作業する。(フィロ生地は非常に薄くて乾燥しやすい。乾くと裂けてしまうため、使わない分は常に布巾で覆っておくこと。溶かしバターの代わりにサンフラワーオイルを使うと生地がよりサクサクに仕上がる。手作りする場合は薄力粉200g・水100ml・塩少々・酢小さじ1を混ぜてよく捏ね、極薄に伸ばす)

◎渦巻き状に成形する
フィロ生地1枚を広げ、溶かしバターを薄く塗る。フィリングを生地の端に細長く置き、くるくると巻いてロール状にする。ロールを耐熱皿の中心から外側へと渦巻き状に並べていく。この工程を繰り返しながらすべてのフィリングと生地を使い切る。(渦巻き状ではなく、バットに生地とフィリングを交互に重ねるレイヤー式でも作れる。レイヤー式の方が断面が美しく、大人数向けの場合に適している。形はどちらでも味は変わらない)

◎卵液を塗ってオーブンで焼く
卵1個とヨーグルト大さじ2・溶かしバター大さじ1を混ぜた卵液を表面にハケで塗る。190℃に予熱したオーブンで25〜30分、表面がこんがりきつね色になるまで焼く。焼き上がったら5分ほど冷ましてから切り分ける。(卵液を塗ることで表面に美しい焼き色とツヤが出る。焼きたては生地がサクサクしているが、時間が経つとしっとりしてくる。どちらの状態でも美味しいのがバニツァの特徴だ)

◎盛り付ける

ブルガリアの定番バニツァの完成品 盛り付け画像

 

温かいままでも冷めても美味しい。ブルガリアではアイランと呼ばれる炭酸入りの塩ヨーグルト飲料と一緒に食べるのが定番の朝食スタイルだ。日本では普通のプレーンヨーグルトを薄めたものや、ラッシーと合わせるとよく合う。

料理の歴史と背景

バニツァの起源はオスマン帝国時代のバルカン半島に求められる。薄い生地にチーズや肉を包んで焼くパイ料理はオスマン料理の代表的な技法であり、15〜19世紀にかけてブルガリア・セルビア・ボスニア・ギリシャ・トルコ全域に広まった。ギリシャのスパナコピタ(ほうれん草チーズパイ)、トルコのブレク、ボスニアのブレクと同じ系譜に属する料理で、いずれもフィロまたはユフカと呼ばれる薄い生地を使う点が共通している。ブルガリアでは地元で豊富に生産されていた羊乳の白塩チーズ(ブリンザ)を使うスタイルが定着し、19世紀のブルガリア民族復興時代には「ブルガリア的な食べ物」として文化的アイデンティティの一部となった。1878年のオスマン帝国からの独立後もバニツァはブルガリアの食文化の象徴であり続けた。

現代のブルガリアではバニツァは単なる朝食を超えた文化的・精神的な意味を持つ。クリスマスイブには生地の中に幸運のコイン・コルネルの枝・ドグウッドの小枝を忍ばせて焼く「スルブナ(占いのバニツァ)」の習慣があり、新年を迎える際にも正月のバニツァに吉祥のメモを入れて家族で分け合う。バニツァルニツァと呼ばれる専門店はブルガリアの街角に今も数多く存在し、チーズのほかほうれん草・ひき肉・かぼちゃ・ポテトなど様々なフィリングのバリエーションが売られている。2019年にはブルガリアの「バニツァ作りの伝統」がユネスコの無形文化遺産候補に挙げられるなど、国際的にもその文化的価値が認められつつある。

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