ベトナムの定番チャーカーのレシピ
ターメリックとガランガルで黄金色に染めた白身魚を、鉄板の上でディルと炒め合わせるハノイ発祥の名物料理。本格レシピを詳しく紹介します。
材料
- 白身魚(鱈・スズキ・鯛など) 300g
- えび(殻むき) 6尾
- ディル 2束(約100g)
- 青ねぎ 5〜6本
- ガランガル(またはしょうが) 大さじ1(すりおろし)
- ターメリックパウダー 小さじ1(漬けダレ用)+ひとつまみ(えび用)
- ヌクマム(またはナンプラー) 大さじ1.5(漬けダレ用)+大さじ2(ヌクチャム用)
- にんにく 1片(漬けダレ用)+少々(ヌクチャム用)
- 砂糖 小さじ1(漬けダレ用)+大さじ1.5(ヌクチャム用)
- 白こしょう 少々
- サラダ油 大さじ1(漬けダレ用)+適量(揚げ焼き用)+大さじ2(炒め用)
- ライム 1個
- 赤唐辛子 1本
- 水 大さじ3(ヌクチャム用)
- ローストピーナッツ(砕く) 大さじ3
- フライドシャロット 大さじ2
- ブン(丸い米麺・なければそうめん) 160g
- もやし・青唐辛子・パクチー 付け合わせ用・各適量
チャーカー(Chả Cá)は、ハノイを代表する魚料理で、ターメリック・ガランガル・ヌクマムで漬け込んだ白身魚を卓上の炭火鍋または鉄板の上でディルと青ねぎとともに炒めながら食べるベトナム北部独自のスタイルを持つ料理です。ディルをこれほど大量に使う料理は東南アジア料理の中でも極めて珍しく、フランス植民地時代にハノイに持ち込まれたディルがベトナムの食文化に取り込まれた歴史的な痕跡として語られることもあります。ハノイの旧市街にはチャーカーという名前の通りが存在し、その通りに構える老舗「チャーカー・ラヴォン」は100年以上にわたってこの料理を一品だけ出し続ける専門店として世界中の食通に知られています。白身魚の旨みとターメリックの香り、ディルの清涼感、揚げた砕きピーナッツの香ばしさが一体となった複雑な美味しさは、一度食べると忘れられないハノイの味です。
チャーカーの作り方
◎漬けダレを作る
すりおろしガランガル(またはしょうが)大さじ1・ターメリックパウダー小さじ1・ヌクマム(ナンプラー)大さじ1.5・砂糖小さじ1・すりおろしにんにく1片・サラダ油大さじ1・白こしょう少々をボウルでよく混ぜ合わせる。(ターメリックが魚を美しい黄金色に染める視覚的な効果と同時に、ガランガルの清涼感が魚の臭みを消す役割を担う。ガランガルが入手できない場合はしょうがで代用できるが、風味は異なる)
◎魚を漬け込む
白身魚(鱈・スズキ・鯛など)300gを3〜4cm角のひと口大に切り、漬けダレに加えてよく絡める。ラップをして冷蔵庫で最低30分、できれば2〜3時間漬け込む。(漬け込み時間が長いほどターメリックの色が深く入り、ガランガルとヌクマムの風味が魚の内部まで浸透する。魚は崩れやすいので漬け込む際と取り出す際に丁寧に扱うこと)
◎チャームトム(えび漬け)を準備する
えび(殻むき)6尾に塩・白こしょう各少々・ターメリックパウダーひとつまみをまぶして10分おく。(えびはオプションだが加えると旨みと見た目の豪華さが増す。ターメリックで黄色く染めることでチャーカーの黄金色の世界観が統一される)
◎魚を揚げ焼きにする
フライパンにサラダ油を底から1cm程度入れて180℃に熱し、漬け込んだ魚を並べて両面をこんがりきつね色になるまで各2〜3分揚げ焼きにして取り出す。(揚げ焼きにすることで魚の表面が固まり、後から炒めても崩れにくくなる。この工程が本場の食感を再現する重要な下準備。揚げ焼きした魚はキッチンペーパーで油を切っておく)
◎ディルと青ねぎを準備する
ディルをたっぷり2束(約100g)用意してざく切りにする。青ねぎ5〜6本を5cm長さに切る。(ディルはチャーカーに欠かせない主役級のハーブ。「たっぷり」という表現が過言でないほど大量に使うことが本場スタイルの条件。青ねぎも惜しまず使うことで甘みと香りがバランスよく仕上がる)
◎卓上で炒めながら食べる
卓上コンロまたはフライパンにサラダ油大さじ2を中火で熱し、揚げ焼きにした魚・えびを並べる。ディルと青ねぎをたっぷりのせて蓋をし、30秒〜1分蒸らす。ディルがしんなりしたら大きくかき混ぜ、全体を炒め合わせる。(ディルは加熱しすぎると風味が飛ぶため、さっと火を通す程度で食べながら少しずつ追加するスタイルが理想。卓上コンロで作る場合は鋳鉄製の小鍋やスキレットが熱の保持力があっておすすめ)
◎ヌクチャムを作る
ナンプラー大さじ2・ライム果汁大さじ2・砂糖大さじ1.5・水大さじ3・すりおろしにんにく少々・刻んだ赤唐辛子1本を混ぜ合わせ、砂糖が溶けるまでよく混ぜる。(チャーカーのヌクチャムはやや薄めでさっぱりとした仕上がりが魚のターメリック風味によく合う。レモンで代用する場合はライムより酸味が穏やかになる)
◎盛り付け

器にブン(丸い米麺)を盛り、炒め上がったチャーカーをたっぷりのせる。砕いたローストピーナッツをたっぷり散らし、フライドシャロットをのせる。ヌクチャムを別添えにして完成。好みでもやし・ライム・青唐辛子・パクチーを添える。
料理の歴史と背景
チャーカーの歴史はハノイの旧市街の一角に深く刻まれています。19世紀後半、旧市街のハンソン通りに暮らしていたドアン家が自宅で客人に振る舞っていた魚料理が評判を呼び、やがて店として開業したのが「チャーカー・ラヴォン」の始まりとされています。「ラヴォン」とはドアン家の先祖の名前に由来し、一品料理だけを出し続けるという潔いスタイルを100年以上守り続けてきたこの老舗の存在が、チャーカーという料理をハノイの食文化の象徴として世界に知らしめました。この通りはやがて「チャーカー通り(Phố Chả Cá)」と呼ばれるようになり、ハノイ旧市街の各通りがそれぞれの商売の名前を持つという街の伝統の中にチャーカーが刻まれています。
チャーカーにディルを大量に使うスタイルについては、フランス植民地時代(1887〜1954年)にフランス人がもたらしたディルをハノイの料理人が独自に取り込んだとする説が広く知られています。東南アジアの他の国々ではほとんど使われないディルが北部ベトナム料理に深く根付いた背景には、ハノイという都市がフランス文化と土着の食文化を融合させてきた歴史があります。現代ではハノイ市内に多数のチャーカー専門店が存在し、旅行者がハノイで必ず食べるべき料理のひとつとして各種ガイドブックに掲載されています。日本でも北部ベトナム料理への関心の高まりとともにチャーカーを提供するレストランが少しずつ増えており、ターメリックの黄金色とディルの鮮やかな緑が織りなす美しい見た目とともに注目を集めています。
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