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カンボジアの定番チャークダオのレシピ

米をとろとろに煮溶かした滋養あふれるカンボジアのお粥。鶏のゆで汁で炊き、生姜・揚げにんにく・パクチーを添えて食べる本格レシピです。

カンボジアの定番チャークダオのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
60 調理時間
2人前 分量
約420kcal カロリー

材料

  • ジャスミンライス 1合
  • 鶏もも肉 2枚(約400g)
  • レモングラス 1本(ゆで用)
  • 生姜 1かけ(ゆで用)+1かけ(トッピング用)
  • にんにく 2片(ゆで用)+3片(フライドガーリック用)
  • シャロット 2個(フライドシャロット用)
  • プラホック(発酵魚ペースト) 小さじ1.5
  • ナンプラー 大さじ1(お粥用)+小さじ1(鶏肉用)
  • 塩 小さじ1(ゆで用)+少々(お粥用)
  • 白こしょう 少々
  • サラダ油 適量(揚げ用)+小さじ1(鶏肉用)
  • 水 1.5リットル
  • 青ねぎ 2本
  • パクチー 適量
  • 赤唐辛子 好みで・適量
  • ライム 好みで・適量

チャークダオ(ចុកដៅ)は「熱いお粥」を意味するカンボジアを代表するお粥料理で、プノンペンをはじめカンボジア全土で朝食として広く食べられる国民食のひとつです。米を鶏のゆで汁でとろとろになるまで長時間煮込み、プラホック・生姜・フライドガーリック・フライドシャロットで整えた深みのある一杯は、シンプルながら食べるたびに体の芯から温まる滋味を持ちます。中国のお粥(コンジー)やベトナムのチャオ(Cháo)と同じ系譜を持ちながら、プラホックの発酵の旨みと大量の生姜・クルーンペーストを取り込むことでカンボジア独自の個性を放ちます。病気のときや体調を崩したとき・お腹を休めたいときに真っ先に食べるものとして、カンボジア人にとってチャークダオは「お母さんの味」の代名詞であり、食べると故郷の記憶が蘇る料理です。トッピングの組み合わせを自分好みに変えながら食べるスタイルは、シンプルなお粥に無限のバリエーションをもたらします。

チャークダオの作り方

◎鶏肉をゆでる
鍋にたっぷりの水1.5リットルを沸かし、鶏もも肉2枚(約400g)・潰したにんにく2片・薄切り生姜4枚・レモングラス1本(叩いてつぶす)・塩小さじ1を加える。沸騰したら弱火にして蓋をし、18〜20分静かにゆでる。火を止めてそのまま10分余熱で火を通す。鶏肉を取り出してゆで汁は取り置く。(ぐらぐら沸騰させると鶏肉が固くなりスープも濁る。弱火でゆっくり火を入れることが澄んだ旨みのスープとしっとりした鶏肉を同時に実現する条件。レモングラスを加えることでカンボジアらしい清涼感のあるゆで汁になる)

◎米を炒る
ジャスミンライス1合(洗わずそのまま)をフライパンに入れ、油なしで弱火から中火で3〜4分から炒りする。米が白からほんのり薄いきつね色になり、香ばしい香りが立ったら火を止める。(米をから炒りすることでお粥に独特の香ばしさが加わり、カンボジアのチャークダオ特有の風味が生まれる。この工程を省いても作れるが、加えることで味の深みが格段に増す。焦がさないよう絶えず木べらで混ぜながら炒ること)

◎お粥を炊く
取り置いたゆで汁に水を足して1.5リットルに整え、から炒りした米を加えて強火でひと煮立ちさせる。アクをすくってから弱火に落とし、蓋をせずに35〜40分、米がとろとろに溶けるまで時折かき混ぜながら煮込む。(お粥は煮込むほどに米が溶けてとろみが増す。カンボジアスタイルは米の粒がほぼ残らないくらいまで煮込む完全なとろとろ仕上げが理想。水分が飛びすぎたら随時ゆで汁または水を加えて調整する)

◎プラホックで調味する
プラホック(発酵魚ペースト)小さじ1.5・ナンプラー大さじ1・塩少々を加えてよく混ぜ合わせ、味を整える。(プラホックがチャークダオをカンボジア独自のお粥に仕上げる要。加熱することで発酵臭が和らぎ深い旨みとして溶け込む。プラホックが苦手な場合はナンプラーだけで代用できるが旨みの深さは変わる。塩加減はお粥の水分量によって変わるので最後に必ず味見して調整すること)

◎鶏肉を裂く
粗熱が取れた鶏もも肉を手で細かく裂く。ナンプラー小さじ1・サラダ油小さじ1・白こしょう少々を絡めてほぐしておく。(鶏肉は手で裂くことでお粥との絡みがよくなる。裂いた鶏肉は乾燥しないようラップをかけておく。細く裂いたものと少し大きめに割いたものを混在させると食感のアクセントになる)

◎フライドガーリックとフライドシャロットを作る
にんにく3片を薄切りにし、170℃のサラダ油でこんがりきつね色になるまで揚げる。同様にシャロット2個を薄切りにして揚げる。それぞれ油を切ってキッチンペーパーに広げ、冷めると自然にカリッとなる。(フライドガーリックとフライドシャロットはチャークダオの香ばしさを決定づける最重要トッピング。両方を合わせてお粥の上にたっぷりのせることでカンボジアスタイルの香りの層が完成する。揚げすぎると苦みが出るので色づいたら即座に取り出すこと)

◎生姜を準備する
生姜1かけをせん切りにする。半量はお粥の中に加え、残り半量はトッピング用に取り置く。(生姜はチャークダオにとって欠かせない薬味。お粥の中に加えることで風味が全体に馴染み、トッピングにすることでフレッシュな辛みと香りのアクセントになる。量は好みで増減してよい)

◎盛り付け

カンボジアの定番チャークダオの完成品 盛り付け画像
深めの器にチャークダオをたっぷり盛り、裂いた鶏もも肉を中央にのせる。フライドガーリック・フライドシャロットをたっぷり散らし、せん切り生姜・小口切りにした青ねぎ・パクチーをのせる。白こしょうをひとふりして完成。好みで赤唐辛子の輪切り・ライムのくし切りを添える。

料理の歴史と背景

チャークダオはカンボジアの食文化に深く根ざしたお粥料理で、その起源は中国からカンボジアに渡った華人移民が持ち込んだ粥文化がクメール在来の食材・調味料と融合して独自のスタイルに発展したものとされています。中国の広東粥やベトナムのチャオと調理の基本構造を共有しながら、プラホックという発酵魚ペーストを使う点とレモングラスで香りをつける点がカンボジアのチャークダオを一線を画す独自の料理に仕上げています。米をから炒りしてから煮込むという技法もカンボジアのチャークダオ特有のもので、この工程が加わることで他の東南アジアのお粥とは異なる香ばしい風味が生まれます。プノンペンの旧市街に今も残る中国系の食堂文化がチャークダオの普及に果たした役割は大きく、特に早朝から営業するお粥専門店は華人系カンボジア人のコミュニティが守り続けてきた食の記憶を体現しています。

カンボジアにおいてチャークダオは単なる朝食を超えた文化的な意味を持ちます。体調を崩したとき・産後の回復期・高齢者の食事として、また赤ちゃんの離乳食として、チャークダオはカンボジア人の一生を通じて食べ続けられる料理です。ポル・ポト政権による壊滅的な文化破壊(1975〜1979年)の時代、強制収容された人々が最初に食べさせられたのが薄い米のお粥だったという歴史の記憶がカンボジア社会には刻まれており、チャークダオは生存と回復の象徴として特別な感情的重みを持つ料理でもあります。復興の過程でプノンペンの食堂文化が再び活気を取り戻した1980〜90年代以降、チャークダオはカンボジアの朝食の定番として市民の食卓に戻り、今日では早朝から屋台が並ぶプノンペンの市場でチャークダオの湯気が立ち込める光景がカンボジアの朝の原風景として定着しています。シンプルでありながら奥深く、体に優しくそれでいて旨みが豊かなチャークダオは、カンボジアという国の食文化の底力を最もシンプルな形で伝えてくれる一杯です。

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