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カンボジアの定番チャークニャイのレシピ

千切りにした生姜を大量に使い、牛肉または鶏肉をクルーンペーストとともに強火で炒めるカンボジアの定番炒め料理。本格レシピを紹介します。

カンボジアの定番チャークニャイのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
20 調理時間
2人前 分量
約320kcal カロリー

材料

  • 牛薄切り肉(または鶏もも肉) 250g
  • 生姜 80〜100g
  • レモングラス 1本(クルーン用)
  • ガランガル 10g(クルーン用)
  • シャロット 2個(クルーン用)
  • にんにく 2片(クルーン用)
  • 乾燥赤唐辛子 1〜2本
  • プラホック(発酵魚ペースト) 小さじ1(またはナンプラー大さじ1)
  • オイスターソース 大さじ1
  • ナンプラー 小さじ1(下味用)
  • 砂糖 少々(下味用)+小さじ1(調味用)
  • 白こしょう 少々
  • サラダ油 大さじ2
  • 青ねぎ 3本
  • 赤唐辛子 1本+飾り用・適量
  • ジャスミンライス 適量

チャークニャイ(ចាក់ខ្ញី)は「生姜の炒め物」を意味するカンボジアの定番家庭料理です。「チャー」は炒めるを意味し、「クニャイ」は生姜を指します。千切りにした生姜をたっぷり使い、牛肉または鶏肉をクルーンペーストとともに強火でさっと炒め上げるシンプルな料理ですが、生姜の辛みと香りがプラホック(発酵魚ペースト)の深い旨みと合わさることで、食べ進めるほどに奥深い味わいが広がります。カンボジアでは生姜は体を温め滋養をつける食材として重視されており、雨季の終わりから乾季にかけての季節の変わり目に特によく食べられます。プノンペンの家庭の食卓では炊きたてのジャスミンライスとチャークニャイの組み合わせが最も日常的なおかずのひとつとして親しまれており、作り方はシンプルながら生姜の量と火加減が仕上がりを大きく左右する、奥深い一皿です。

チャークニャイの作り方

◎生姜を準備する
生姜80〜100gを皮をむいて細い千切りにする。水にさらして5分おき、水気をよく切る。(生姜はチャークニャイの主役であり、量をケチらないことが大切。水にさらすことで辛みが和らぎ、炒めたときに焦げにくくなる。若い生姜が入手できれば繊維が柔らかく香りも豊かで理想的)

◎クルーンペーストを作る
レモングラス1本(薄切り)・ガランガル10g(薄切り)・シャロット2個・にんにく2片・乾燥赤唐辛子1〜2本をすり鉢でなめらかなペースト状になるまでしっかりすりつぶす。(チャークニャイのクルーンはサムローカリーより少量でシンプルな構成。炒め物に使うため水分が少ないペーストに仕上げることがポイント。フードプロセッサーを使う場合は最小限の油だけを加えてまわす)

◎肉を下準備する
牛薄切り肉(またはもも肉・鶏もも肉)250gを食べやすい大きさに切り、ナンプラー小さじ1・砂糖少々・白こしょう少々を揉み込んで10分おく。(牛肉は薄切りを使うことで火の通りが早く、強火で炒めても柔らかく仕上がる。鶏肉を使う場合はひと口大に切り、同様に下味をつける)

◎ペーストと生姜を炒める
ウォックまたはフライパンにサラダ油大さじ2を強火で熱し、クルーンペーストを加えて1〜2分炒める。香りが立ったら水気を切った千切り生姜を加えてさらに1〜2分炒め合わせる。(強火で素早く炒めることがチャークニャイの香ばしさを生む鍵。生姜はペーストとよく炒め合わせることで辛みが和らぎ甘みと香りが引き出される)

◎肉を加えて炒める
下味をつけた肉を加え、強火のまま肉の色が完全に変わるまで2〜3分炒め合わせる。(肉を加えたら最初の30秒ほどは触らず、焼き色をつけてから炒め始めると香ばしさが増す。牛肉の場合は炒めすぎると硬くなるので手早く仕上げること)

◎調味する
プラホック(発酵魚ペースト)小さじ1(またはナンプラー大さじ1で代用)・オイスターソース大さじ1・砂糖小さじ1・白こしょう少々を加えて全体をさっと炒め合わせる。(プラホックはチャークニャイに欠かせない発酵の旨みの要。少量でも加えることでスープに格段の深みが増す。独特の香りが気になる場合はナンプラーで代用できる)

◎ねぎと唐辛子で仕上げる
斜め切りにした青ねぎ3本・輪切りにした赤唐辛子1本を加えてひと混ぜし、火を止める。(青ねぎは加熱しすぎず余熱で十分。シャキッとした食感と鮮やかな緑色がチャークニャイの仕上がりを引き締める。赤唐辛子は辛みより彩りが目的なので量は好みで調整してよい)

◎盛り付け

カンボジアの定番チャークニャイの完成品 盛り付け画像
器に盛り、追加の千切り生姜と赤唐辛子を彩りよく散らして完成。炊きたてのジャスミンライスを添えて一緒に食べる。

料理の歴史と背景

チャークニャイはカンボジアの家庭料理の中でも最も古い起源を持つ料理のひとつとされており、生姜を大量に使う調理の習慣はクメール医学における生姜の薬効への信頼に深く根ざしています。クメール伝統医学では生姜は消化を助け体を温め気力を回復させる万能の食薬として重視されており、産後の女性や体調を崩した人へのごちそうとして特別な意味を持ってきました。プラホックをほぼ全ての料理に使うカンボジアの食文化において、チャークニャイもプラホックの発酵の旨みを隠し味として取り込むことで単なる炒め物を超えた奥深い味わいを実現しており、カンボジア料理の根幹にある発酵食品文化の豊かさを体現しています。

ポル・ポト政権による壊滅的な文化破壊の時代(1975〜1979年)を経た後も、チャークニャイはカンボジアの家庭料理として生き延びた料理のひとつです。材料が入手しやすく調理法が簡単なため、厳しい食糧難の時代にも作り続けられたという記録が残っています。現在のカンボジアでは都市部と農村部を問わず家庭料理の定番として広く作られており、プノンペンの市場では千切りにする前の若い生姜が束で売られる光景が毎朝見られます。近年、若いカンボジア人シェフたちがクメール料理の再評価と世界への発信に取り組む中で、チャークニャイはその素朴さとプラホックの旨みという二つの特徴でカンボジア料理の個性を語る料理として注目されています。日本でもカンボジア料理店で提供される機会が増えており、生姜好きの日本人の口にも自然と合う親しみやすい一皿として評価が高まっています。

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