カンボジアの定番チャーモンのレシピ
レモングラス・ガランガル・ターメリックのクルーンペーストで鶏肉を強火で炒め上げるカンボジアの定番チキン炒め。本格レシピを紹介します。
材料
- 鶏もも肉 400g
- レモングラス 2本(クルーン用)
- ガランガル 15g(クルーン用)
- ターメリック 8g(またはターメリックパウダー小さじ1)
- シャロット 3個(クルーン用)
- にんにく 3片(クルーン用)
- 乾燥赤唐辛子 2本
- プラホック(発酵魚ペースト) 小さじ1
- パームシュガー(なければきび砂糖) 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- ナンプラー 大さじ1(炒め用)+小さじ1(下味用)
- 砂糖 少々(下味用)
- 白こしょう 少々
- サラダ油 大さじ2
- 水 大さじ3
- 青ねぎ 3本
- 赤唐辛子 1本+飾り用・適量
- コブミカンの葉 3〜4枚
- きゅうり 好みで・適量
- ライム 好みで・適量
- ジャスミンライス 適量
チャーモン(ចាក់មាន់)は「鶏肉の炒め物」を意味するカンボジアを代表する家庭料理のひとつです。「チャー」は炒めるを、「モン」は鶏を指します。クルーンペーストを丁寧に炒めて香りを引き出し、鶏肉を強火でさっと炒め上げるシンプルな調理法ですが、レモングラス・ガランガル・ターメリックが溶け合ったクルーンペーストの香りと、プラホックとパームシュガーが生み出す甘辛い旨みが鶏肉にしっかりと絡むことで、食べるたびに奥深い満足感が得られます。タイのガパオ炒めやベトナムのガーサオサが同様のポジションを占める料理ですが、チャーモンはカンボジア独自のクルーンペーストとプラホックの使い方によって明確に異なる個性を放ちます。プノンペンの家庭では週に何度も食卓に上る最も日常的なおかずのひとつで、炊きたてのジャスミンライスとチャーモンの組み合わせはカンボジア人が最も馴染み深い「家の味」として語られます。作り方はシンプルながら、クルーンペーストの炒め加減と鶏肉の火加減が仕上がりを大きく左右する、奥深い一皿です。
チャーモンの作り方
◎クルーンペーストを作る
レモングラス2本(薄切り)・ガランガル15g(薄切り)・ターメリック8g(薄切り、またはターメリックパウダー小さじ1)・シャロット3個・にんにく3片・乾燥赤唐辛子2本をすり鉢に入れ、なめらかなペースト状になるまでしっかりすりつぶす。(チャーモンのクルーンは炒め物に使うため水分が少なくなめらかなペーストに仕上げることがポイント。フードプロセッサーを使う場合は最小限のサラダ油だけを加えて回す。ターメリックが鶏肉を美しい黄金色に染める視覚的な効果も大切な要素)
◎鶏肉を下準備する
鶏もも肉400gを食べやすい大きさに切り、ナンプラー小さじ1・砂糖少々・白こしょう少々を揉み込んで15分おく。(下味をつけることで鶏肉に旨みが浸透しやすくなる。骨付きのぶつ切りを使うとカンボジアの食堂スタイルに近くなり、骨の旨みが加わって風味が豊かになる)
◎ペーストを炒める
ウォックまたはフライパンにサラダ油大さじ2を強火で熱し、クルーンペーストを加えて2〜3分炒める。香りが立ってペーストの水分が飛び、油と分離して鮮やかな黄色になってきたら次の工程へ進む。(ペーストをしっかり炒めることが生臭さを消してスパイスの香りを最大限に引き出す重要な工程。焦げないよう木べらで絶えず混ぜながら炒める。油が分離してくるのが炒め上がりのサイン)
◎鶏肉を加えて炒める
下味をつけた鶏肉を加えて強火のまま炒める。最初の30秒ほどは触らず焼き色をつけてから炒め始め、全体が3〜4分で火が通るよう炒め合わせる。(強火を維持することが鶏肉の表面に香ばしい焼き色をつける鍵。鶏肉をペーストとよく絡めながら炒めることでスパイスが肉全体に行き渡る。鶏肉から水分が出てきたらその水分を飛ばしながら炒める)
◎プラホックとパームシュガーで調味する
プラホック(発酵魚ペースト)小さじ1・パームシュガー(なければきび砂糖)大さじ1・オイスターソース大さじ1・ナンプラー大さじ1を加えて全体をさっと炒め合わせる。(プラホックとパームシュガーの組み合わせがチャーモンをカンボジア独自の味に仕上げる核心。プラホックの発酵の旨みとパームシュガーのコクのある甘みが溶け合うことで、タイやベトナムの鶏炒めとは全く異なる風味が生まれる。プラホックが苦手な場合はナンプラーで代用できる)
◎水分を加えて絡める
水大さじ3を加えてウォックの底に残ったペーストを溶かしながら全体を炒め合わせる。鶏肉全体にソースが均一に絡んでつやが出たら火を止める。(水を加えることで焦げ付きを防ぎながらペーストとソースが鶏肉に均一に絡みやすくなる。加えすぎるとソースが水っぽくなるので大さじ3程度にとどめること)
◎ねぎと唐辛子で仕上げる
斜め切りにした青ねぎ3本・輪切りにした赤唐辛子1本・コブミカンの葉3〜4枚(葉脈を取り除いてせん切りにする)を加えてひと混ぜし、火を止める。(コブミカンの葉の清涼感がチャーモンの重いスパイスの香りを引き締める。青ねぎと赤唐辛子は加熱しすぎず余熱で十分。シャキッとした食感と鮮やかな色が仕上がりを際立てる)
◎盛り付け

器に盛り、コブミカンの葉のせん切りと赤唐辛子の輪切りを彩りよく散らして完成。炊きたてのジャスミンライスを添えて一緒に食べる。好みできゅうりの薄切りとライムのくし切りを添えてもよい。
料理の歴史と背景
チャーモンはカンボジアの家庭料理の中でも最も長い歴史を持つ料理のひとつとされており、鶏肉をハーブペーストとともに炒める調理法はアンコール王朝時代から受け継がれてきたとされています。クルーンペーストを使う炒め物という調理の枠組みはカンボジア全土に共通するクメール料理の基本技法であり、チャーモンはその技法を最もシンプルかつ日常的な形で体現した料理として家庭料理の定番に定着しました。ターメリックで鶏肉を黄金色に染めるスタイルはインドとの古い交易の記憶を示しており、レモングラスとガランガルの組み合わせはタイやマレーシアとも共通するインドシナ半島の香味野菜文化の豊かさを体現しています。プラホックをほぼ全ての料理に隠し味として使うカンボジアの食文化において、チャーモンもその例外ではなく、わずかな量でスープに格段の旨みの深みを加えるプラホックの働きがこの料理の底力を支えています。
チャーモンはポル・ポト政権による壊滅的な文化破壊(1975〜1979年)の時代を経てもカンボジアの家庭料理として生き続けた料理のひとつです。鶏肉とクルーンペーストという比較的入手しやすい食材で作れるシンプルさが、厳しい時代にも食卓に根付き続けた理由のひとつとされています。現代のカンボジアでは都市部と農村部を問わず最も日常的な家庭のおかずとして全土で作られており、プノンペンの市場では朝から捌きたての鶏肉とクルーン用のハーブが束で売られる光景が毎日見られます。近年は若いカンボジア人シェフたちがクメール料理の再発見と現代的な解釈に取り組む中で、チャーモンはその素朴さとクルーンペーストの豊かな香りによってカンボジア料理の個性を体現する料理として国際的な関心を集めています。日本でもカンボジア料理店での提供が増えており、ターメリックの黄金色に輝く鶏肉とクルーンの香りは初めてカンボジア料理に触れる人にとって親しみやすい入口として評価が高まっています。
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