ベトナムの定番コムガーのレシピ
コムガー(Cơm Gà)は「鶏のごはん」を意味するベトナムのチキンライスで、ベトナム中部クアンナム省のホイアンを発祥とするスタイルが世界的に最も知られています。…
材料
- 鶏むね肉 2枚(約400g)
- ジャスミンライス 2合
- ターメリックパウダー 小さじ1
- 生姜 1かけ(ゆで用)+1かけ(炊飯用)+小さじ1/2(タレ用)
- にんにく 2片(ゆで用)+少々(タレ用)
- シャロット 3個(フライドシャロット用)
- 塩 小さじ1(ゆで用)+少々(各種)
- 白こしょう 少々
- サラダ油 適量(揚げ用)+小さじ1
- ナンプラー 大さじ1(タレ用)+少々(スープ用)
- ライム 1個
- 砂糖 小さじ1
- 青唐辛子 1本
- 青ねぎ 2本
- ミント・パクチー・ラウラム(またはベトナムコリアンダー) 各適量
- きゅうり 1/2本
- 水 大さじ1(タレ用)
コムガー(Cơm Gà)は「鶏のごはん」を意味するベトナムのチキンライスで、ベトナム中部クアンナム省のホイアンを発祥とするスタイルが世界的に最も知られています。タイのカオマンガイやシンガポールのチキンライスとも同じ「鶏で炊いたご飯と鶏肉」という構成を持ちながら、コムガーはターメリックで鮮やかな黄金色に染めたご飯・細く裂いた鶏むね肉・たっぷりのフレッシュハーブとフライドシャロット・独自のたれという構成がまったく異なる個性を持ちます。ホイアンの旧市街には「コムガーバーブアン」をはじめとする老舗のコムガー専門店が軒を連ね、観光客と地元の人々が分け隔てなく同じ食卓を囲む光景が今も続いています。シンプルな材料でありながら、ご飯の炊き方とハーブの使い方に職人の哲学が宿る料理です。
コムガーの作り方
◎鶏肉をゆでる
鍋にたっぷりの水を沸かし、鶏むね肉2枚(約400g)・潰したにんにく2片・薄切り生姜3枚・塩小さじ1を加える。沸騰したら弱火にして蓋をし、15〜18分静かにゆでる。火を止めてそのまま10分余熱で火を通す。ゆで汁はスープとご飯炊き用に取っておく。(ぐらぐら沸騰させると鶏肉が固くなる。弱火でゆっくり火を入れることがしっとりとした仕上がりの絶対条件。余熱の工程を省かないこと)
◎鶏肉を裂く
粗熱が取れた鶏むね肉を手で細かく裂く。塩・白こしょう各少々・サラダ油小さじ1を絡めてほぐしておく。(コムガーはカオマンガイのように薄切りにするのではなく、手で細く裂くのが特徴。繊維に沿って裂くことでハーブや調味料が絡みやすくなる。裂いた鶏肉は乾燥しないようラップをかけておく)
◎ご飯を炊く
ジャスミンライス2合を研いで水気を切り、炊飯器に入れる。水の代わりにゆで汁を同量加え、ターメリックパウダー小さじ1・薄切り生姜2枚・塩少々を加えて通常通りに炊く。(ターメリックがご飯を鮮やかな黄金色に染め、ゆで汁の旨みが米に吸い込まれることでコムガー独自の風味豊かなご飯になる。生姜は炊き上がったら取り出す)
◎フライドシャロットを作る
シャロット3個を薄切りにし、170℃のサラダ油でこんがりきつね色になるまで揚げる。油を切ってキッチンペーパーに広げ、冷めると自然にカリッとなる。(フライドシャロットはコムガーの香ばしさを決定づける重要なトッピング。市販品で代用できるが、揚げたての香ばしさは格別。揚げた油をねぎ油代わりにごはんにかけても美味しい)
◎タレを作る
ナンプラー大さじ1・ライム果汁大さじ1・砂糖小さじ1・すりおろし生姜小さじ1/2・すりおろしにんにく少々・刻んだ青唐辛子1本・水大さじ1を混ぜ合わせ、砂糖が溶けるまでよく混ぜる。(コムガーのタレはカオマンガイの豆味噌ベースのタレとは異なり、ナンプラーとライムを軸にしたさっぱりとした酸辛いスタイル。生姜の風味が鶏むね肉の淡白さを引き立てる)
◎スープを仕上げる
残ったゆで汁を塩・ナンプラー各少々で味を調え、小口切りにした青ねぎを加えて仕上げスープにする。(シンプルに仕上げることが旨みを活かすコツ。余分な調味をせず、鶏の旨みをそのまま味わうスープに仕上げる)
◎ハーブを準備する
ミント・パクチー・ベトナムコリアンダー(ラウラム)を洗って水気を切り、ざく切りにする。きゅうりを薄切りにする。(コムガーにはフレッシュハーブをたっぷり使うのが中部スタイルの特徴。ラウラムが入手できない場合はミントとパクチーを多めにすれば代用できる)
◎盛り付け

器に黄金色のご飯をたっぷり盛り、裂いた鶏むね肉を中央にのせる。フライドシャロットをたっぷり散らし、フレッシュハーブ・きゅうりを美しく添える。スープを別の椀に注いで一緒に出し、タレを小鉢に添えて完成。
料理の歴史と背景
コムガーの中でも特にホイアンのスタイルは「コムガーホイアン」として別格の地位を持ちます。ホイアンは15〜17世紀に東南アジア最大級の国際貿易港として栄えた都市で、日本人町・中国人街・ポルトガル商館が共存した多文化都市の食の歴史がコムガーに刻まれています。「鶏で炊いたご飯に鶏肉を添える」というスタイルは中国の海南チキンライスと共通の系譜を持ちますが、ターメリックでご飯を染める発想とフレッシュハーブを大量に使うスタイルはベトナム中部独自の進化であり、ホイアンに渡来したインドや中東の商人がもたらしたスパイス文化の影響を受けているとも言われています。
現代のホイアンでは世界遺産に登録された旧市街の至るところにコムガー専門店が存在し、地元の人々が愛するローカルな朝食兼昼食の定番として今も日常に根付いています。鶏肉を細く裂いてハーブと一緒に食べるスタイルはホイアン独自のものとして認識されており、バンコクのカオマンガイとシンガポールのチキンライスとともに「東南アジアのチキンライス三兄弟」として食通の間で語られることもあります。日本でもホイアン旅行の体験談とともにコムガーへの関心が高まっており、ベトナム料理店でもメニューに取り入れるケースが増えています。ターメリックの黄金色とフレッシュハーブの鮮やかな緑が織りなす色彩の美しさは、ホイアンの黄色い壁の街並みと重なり、食べる人の記憶に鮮やかに刻まれます。
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