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マレーシアの定番イカンバカールのレシピ

ブラチャンとサンバルを塗り重ねながら炭火でじっくり焼き上げるマレーシアの定番焼き魚。バナナの葉に包んで蒸し焼きにする本場の技法と、旨みを閉じ込めるコツを本格レシピとともに紹介します。

マレーシアの定番イカンバカールのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
40 調理時間
2人前 分量
約380kcal カロリー

材料

  • アジまたは鯛 1尾(約400g)
  • ターメリックパウダー 小さじ1/2
  • 塩 小さじ1/2
  • 赤唐辛子 3本
  • ホムデン(小玉ねぎ) 3個
  • ニンニク 2片
  • ブラチャン(エビペースト) 大さじ1
  • レモングラス(白い部分) 1本
  • タマリンドペースト 大さじ1
  • 砂糖 小さじ2
  • サラダ油 大さじ2
  • バナナの葉 適量(なければアルミホイル)
  • ライム・赤玉ねぎ・青唐辛子 各適量

イカンバカール(Ikan Bakar)はマレー語で「焼いた魚」を意味するマレーシアを代表する炭火焼き魚料理で、ブラチャン(エビペースト)・サンバル・ターメリック・レモングラスを合わせた濃厚なペーストを魚の全体に塗り込み、バナナの葉で包んで炭火の上でじっくりと蒸し焼きにしてからさらにペーストを重ね塗りして直火で焼き上げる二段階の調理法によって、外側はこんがりと香ばしく内側はしっとりとした理想的な焼き魚に仕上がります。マレーシア沿岸部の漁師町が発祥とされており、その日に水揚げされたアジ・サバ・鯛・エイなどの新鮮な魚をバナナの葉とサンバルとともに炭火で焼くというシンプルな技法が、何世代にもわたって受け継がれながら今日の洗練された形に進化してきました。イカンバカールの決め手はブラチャンの発酵の旨みと炭火の薫香が魚の身に溶け込むことで生まれる唯一無二の複雑な美味しさで、日本の塩焼きや西洋のグリルとは根本的に異なる東南アジア独自の焼き魚の美学がここに凝縮されています。マレーシアではコタキナバル・ペナン・ジョホールバルなど沿岸都市のウォーターフロントに立ち並ぶ屋台で夕暮れ時に炭火の煙を上げながら焼かれるイカンバカールを求める人々が列をなす光景が日常として続いており、ナシレマやラクサと並んでマレーシアの食文化を体現する一皿として国民に深く愛されています。

イカンバカールの作り方

◎サンバルペーストを作る
赤唐辛子3本・ホムデン(小玉ねぎ)3個・ニンニク2片・ブラチャン(エビペースト)大さじ1・レモングラス(白い部分)1本をミキサーまたはすり鉢でなめらかなペースト状にする。フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、ペーストを中火で5〜6分、香りが立って油が浮いてくるまで炒める。タマリンドペースト大さじ1・砂糖小さじ2・塩小さじ1/2を加えてさらに2分炒め合わせて火を止める。(ブラチャンは炒めることで発酵臭が旨みに変わる。ペーストは冷ましてから魚に塗ること。作り置きは冷蔵で3日間保存できる)

◎魚の下処理をする
アジまたは鯛1尾(約400g)のうろこ・内臓を取り除いてよく洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取る。両面に斜めの切り込みを3〜4本入れる。ターメリックパウダー小さじ1/2・塩小さじ1/2を魚全体に薄くまぶして5分おく。(切り込みを入れることでペーストが魚の身の内部まで浸透する。ターメリックは色づきと臭み消しの両方の効果がある。切り込みは骨まで達しないよう深さ1cm程度にとどめること)

◎バナナの葉で包む
バナナの葉を魚が包める大きさに切り、直火で軽くあぶって柔らかくする。魚の片面にサンバルペーストをたっぷり塗り、バナナの葉の上に置いて残りのペーストを全体に塗り広げる。バナナの葉で魚を包み、つまようじまたはタコ糸で留める。(バナナの葉は魚の旨みを閉じ込めながら独特の青い香りを添える。なければアルミホイルで代用できるが香りは異なる。葉をあぶることで破れにくくなり包みやすくなる)

◎焼き上げる
魚焼きグリルまたはフライパンを中火で熱し、包んだままの魚を片面8〜10分ずつ焼く。バナナの葉が焦げてきたら火が通っているサイン。包みを開いて魚を取り出し、残ったペーストを再度塗り重ねてさらに2〜3分、表面に焼き色がつくまで焼く。(炭火の場合は遠火でじっくり焼くと外はカリッと中はしっとりに仕上がる。二度焼きすることで表面のサンバルが香ばしくカラメル化して格段に美味しくなる。串を刺してすぐに抜き、温かければ中まで火が通っている)

◎盛り付け

マレーシアの定番イカンバカールの完成品 盛り付け画像

皿にバナナの葉を敷き、焼き上がったイカンバカールをのせる。ライムのくし切り・薄切りにした赤玉ねぎ・青唐辛子の薄切りを添え、残ったサンバルソースを小皿に入れて一緒に出す。ナシレマやカカップゴレン(揚げご飯)とともに食べるのがマレーシアの定番スタイル。

料理の歴史と背景

イカンバカールの起源はマレー半島沿岸部に暮らすマレー系漁師の食文化に求められます。熱帯の海に囲まれたマレー半島では古来から新鮮な魚介類が食卓の中心にあり、その日に水揚げされた魚を海辺でそのまま焼いて食べるという素朴な習慣が、やがてブラチャン・タマリンド・唐辛子など地場の調味料と組み合わさることで今日の洗練された形へと発展してきました。バナナの葉で包む技法は熱帯植物が豊富なマレー半島ならではの知恵であり、葉の水分が蒸気となって魚の身をしっとりと保ちながら独特の青い香りを添えるという理にかなった調理法です。植民地時代にはインド系・中国系移民がそれぞれの調味料や調理技法をマレーの食文化に持ち込み、現在のサンバルペーストの多層的な複雑さはこうした食文化の重層的な融合の産物です。

現代のマレーシアにおいてイカンバカールはコタキナバル・クアラルンプール・ペナン・ジョホールバルなど全国の海沿いの町のウォーターフロント屋台街で毎晩食べることができ、店頭に並んだ新鮮な魚介類から好みのものを選んで調理法を指定するスタイルが一般的です。特にコタキナバルのウェルタウン地区とクアラルンプール郊外のクラン沿岸部のイカンバカール屋台は地元民・観光客双方から高い支持を集めており、夕暮れ時に漂う炭火とサンバルの香りが食欲をかき立てる光景はマレーシアの夜の風物詩になっています。日本では東南アジア料理への関心が高まるとともにイカンバカールを提供するマレーシア料理店が増えており、ブラチャンと炭火が生み出す複雑な旨みと香ばしさは、焼き魚文化に親しんだ日本人の味覚にも深く響く料理として評価が定着しています。

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