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イタリアの定番カプレーゼのレシピ

モッツァレラとトマトとバジルをオリーブオイルで和えるだけのイタリアを代表するサラダ。素材の質がすべてを決める地中海の滋味あふれる本格レシピを、歴史とともに紹介します。

イタリアの定番カプレーゼのレシピ
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郷土レシピ.com代表

材料

  • モッツァレラチーズ(フィオル・ディ・ラッテまたは水牛) 200g
  • 完熟トマト 2個
  • バジルの葉 ひとつかみ
  • エクストラバージンオリーブオイル 大さじ3
  • 粗塩(フラウール・ディ・サーレまたは岩塩) 適量
  • 黒こしょう 適量
  • バルサミコ酢グラッサ 適量(お好みで)

カプレーゼ(Caprese)はイタリア語で「カプリ島の」を意味するイタリアを代表する前菜サラダで、新鮮なフィオル・ディ・ラッテ(牛乳のモッツァレラ)または水牛のモッツァレラをひと口大に切り、完熟のトマトと交互に皿に並べ、新鮮なバジルの葉を散らして良質なエクストラバージンオリーブオイルをたっぷりと回しかけ、フラウール・ディ・サーレ(粗塩)と黒こしょうで仕上げるだけというシンプルの極致にある調理法によって、モッツァレラの乳のまろやかなコクと完熟トマトの甘みと酸みとバジルの清涼感が三位一体となった地中海の太陽と土地の恵みを皿の上に直接表現したカンパーニャ州発祥のイタリア料理の象徴的な一皿です。カプレーゼの最大の個性は料理というよりも素材の組み合わせそのものに本質があることにあり、火を使わず包丁と皿だけで完成するにもかかわらずモッツァレラとトマトとオリーブオイルの三者の質が料理の完成度のすべてを決定するという事実が、イタリア料理の根幹にある「良い素材をシンプルに扱う」という哲学を最も直接的な形で体現しています。カプレーゼの決め手は当日に作られた新鮮なモッツァレラが持つミルクの甘みと繊維質の弾力が完熟トマトの果汁と合わさることで生まれる素材同士の相乗効果と、エクストラバージンオリーブオイルが持つフルーティーな香りとほろ苦さがバジルの清涼感と溶け合うことでドレッシング不要の完結した味わいを作り出すことであり、この二つが揃って初めてナポリやソレントの海辺のリストランテで地元のシェフが誇りとともに提供する皿の味に近づきます。イタリアではカプレーゼはアンティパスト(前菜)として食事の始まりに提供されるのが定番であり、イタリア国旗の白・赤・緑の三色をモッツァレラ・トマト・バジルで表現するという料理の視覚的な美しさはイタリア人の食への美意識と愛国心を体現したものとして語り継がれており、世界中のイタリアンレストランで最もよく注文される前菜として国境を越えて愛され続けています。

カプレーゼの作り方

◎素材を選ぶ
フィオル・ディ・ラッテまたは水牛のモッツァレラ(できれば当日製造のもの)200gを用意する。完熟トマト(サン・マルツァーノ種またはフルーツトマト)2個を用意する。新鮮なバジルの葉をひとつかみ用意する。(カプレーゼは素材の質がすべてを決める料理。モッツァレラは水分が多くミルクの香りが豊かな新鮮なものを選ぶこと。スーパーの長期保存品より専門店や製造直後のものが格段に美味しい。トマトは完熟で香りが強いものを選ぶこと。バジルは葉が大きくツヤのある新鮮なものを)

◎モッツァレラとトマトを切る
モッツァレラを1cm厚さの輪切りにする。トマトを同じ1cm厚さの輪切りにする。(モッツァレラは冷蔵庫から出してすぐに切らず、室温に30分おいてから切ると水分が均一に落ち着いて食感がよくなる。モッツァレラとトマトの厚さを均一に揃えることで見た目の美しさと一口で食べたときの素材のバランスが整う)

◎並べる
大きな白い皿にトマトとモッツァレラを交互に少し重なるように並べる。または格子状に交互に並べるスタイルも美しい。新鮮なバジルの葉を全体に散らす。(並べ方はシンプルで均一なほど美しく見える。重ねる際はトマトを下にしてモッツァレラを上に少し重ねるのが定番スタイル。バジルは手でちぎらずそのまま葉を置くと見た目が美しい)

◎仕上げる
エクストラバージンオリーブオイル大さじ3を全体に惜しみなく回しかける。フラウール・ディ・サーレ(粗塩)または岩塩を全体にひとつまみ散らし、黒こしょうを挽いてかける。好みでバルサミコ酢グラッサ(バルサミコの煮詰め)を細く垂らす。(オリーブオイルは量を惜しまないこと。良質なエクストラバージンを使うほど仕上がりの香りが格段に豊かになる。塩は食べる直前に加えること。早く加えるとモッツァレラとトマトから水分が出て皿が水っぽくなる)

◎盛り付ける

イタリアの定番カプレーゼの完成品 盛り付け画像

食べる直前にテーブルに出す。イタリアのスタイルではパンを添えてオリーブオイルとトマトの果汁を染み込ませながら食べるのが定番。冷たい白ワインとともに楽しむのがカンパーニャの食卓スタイル。

料理の歴史と背景

カプレーゼの起源はナポリ湾に浮かぶカプリ島に求められます。カプリ島は古代ローマ時代から皇帝や貴族の別荘地として知られてきた地中海の楽園であり、20世紀初頭に島を訪れた芸術家・作家・映画スターたちが集まるリゾートとして国際的な名声を持つ場所です。カプレーゼが料理として確立されたのは20世紀初頭から中頃にかけてとされており、カプリ島のホテルまたはリストランテでモッツァレラとトマトとバジルを組み合わせた前菜が提供され始めたことが起源とされています。1950〜60年代にカプリ島を訪れた国際的なセレブリティや観光客がカプレーゼを本国に持ち帰ったことで世界中に広まり、イタリア国旗の三色を体現する料理として「イタリア料理の顔」としての地位を確立しました。モッツァレラチーズはカンパーニャ州とラツィオ州南部で古くから水牛の乳を使って作られてきた伝統食品であり、ナポリとその周辺地域の食文化の核心として数百年の歴史を持っています。1996年にモッツァレラ・ディ・ブファラ・カンパーナ(水牛のモッツァレラ)がEUのDOP(原産地保護呼称)認定を受けたことでその品質と文化的重要性が公式に認定され、本物の水牛モッツァレラを使ったカプレーゼは地理的表示保護と結びついたイタリア食文化の誇りとして国際的に語られるようになりました。

現代のイタリアにおいてカプレーゼはナポリ・ソレント・アマルフィ海岸・カプリ島などカンパーニャ州の海辺のリストランテから北イタリアのミラノのビストロまで全国のレストランでアンティパストの定番として提供されており、夏の観光シーズンにはほぼすべてのイタリアンレストランのメニューに登場する最も普遍的な前菜として定着しています。世界各国のイタリアンレストランでもカプレーゼは最も広く提供される前菜のひとつとして定着しており、NYのリストランテから東京のトラットリアまでメニューにカプレーゼが並ぶことはイタリアンレストランの一種のステータスとして機能しています。近年はエアルームトマトや希少品種のモッツァレラを使ったグルメバージョンや、ストラッチャテッラ(クリーム入りモッツァレラ)を使ったリッチなバリエーションが高級レストランで提供されるなど素材の進化とともにカプレーゼも更新され続けています。日本ではイタリアンレストランでカプレーゼは最も定番の前菜として定着しており、良質なモッツァレラとトマトとオリーブオイルを組み合わせるだけというシンプルさが家庭でも手軽に再現できる料理として広く愛されています。素材の質がすべてを決めるというカプレーゼの哲学は、素材の持ち味を活かす日本料理の精神とも深く共鳴する料理として特別な共感を持って受け入れられています。

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