フィンランド

フィンランドの定番カレリアパイのレシピ

薄いライ麦生地にお米または麦のお粥を包んで焼き上げるフィンランド東部カレリア地方の伝統パイ。ゆで卵とバターを混ぜたムナボイで食べるカレリアパイの本格レシピを歴史とともに紹介します。

フィンランドの定番カレリアパイのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
90 調理時間
4人前 分量
約380kcal カロリー

材料

  • 【ライ麦生地】
  • ライ麦粉 150g
  • 薄力粉 50g
  • 塩 小さじ1/2
  • 冷水 100ml
  • 【米粥フィリング】
  • 白米 100g
  • 牛乳 500ml
  • 水 200ml
  • 塩 小さじ1/2
  • バター 大さじ1
  • 【仕上げ・ムナボイ】
  • バター(溶かす) 大さじ2
  • ゆで卵 3個
  • バター(室温) 80g
  • 塩 少々

カレリアパイ(Karjalanpiirakka)はフィンランド東部のカレリア地方に起源を持つ伝統的な小型パイで、薄く伸ばしたライ麦粉の生地に米粥または麦粥を包み、縁を波状に折り込んで楕円形に焼き上げる。仕上げに溶かしバターを塗り、ゆで卵とバターを混ぜた「ムナボイ(munavoi)」と呼ばれるトッピングをのせて食べるのがフィンランドの定番スタイルだ。ライ麦生地の香ばしさと米粥のほっくりとした甘み、ムナボイのコクが一体となったシンプルな味わいは、フィンランド人にとって故郷の味そのもの。2003年にはEUの地理的表示保護(PGI)を取得した、フィンランドを代表する食文化遺産だ。

カレリアパイの作り方

◎米粥を炊く
鍋に牛乳500ml・水200mlを入れて中火で温め、洗った白米100gを加える。弱火にして蓋をし、30〜40分、米が完全に柔らかくなって粥状になるまで時々混ぜながら炊く。塩小さじ1/2・バター大さじ1を加えて混ぜ、バットに広げて完全に冷ます。(米粥は十分に冷ましてから使うこと。温かいうちに生地に包むと生地が湿って破れやすくなる。牛乳と水の代わりに全量牛乳で炊くとよりリッチな風味になる。麦粥(オートミール)で代用する場合は同量の牛乳で5〜7分煮て同様に冷ます)

◎ライ麦生地を作る
ライ麦粉150g・薄力粉50g・塩小さじ1/2を混ぜ合わせ、水100ml(冷水)を少しずつ加えながら手でまとめる。生地がひとつにまとまり耳たぶ程度の硬さになったら、ラップをかけて室温で20分休ませる。(ライ麦粉だけでは扱いにくいため薄力粉を2〜3割混ぜることで生地がまとまりやすくなる。水は少量ずつ加えて調整すること。こねすぎると硬くなるため、まとまったら最小限で止める)

◎生地を薄く伸ばして成形する
生地を10〜12等分にして丸める。打ち粉(ライ麦粉)をした台の上で麺棒を使い、それぞれを直径15〜17cmの楕円形に薄く(1〜2mm程度)伸ばす。伸ばした生地の中央に冷めた米粥を大さじ2〜3のせ、生地の両端の縁を内側に折り込んでつまみながら波状のひだを作り、楕円形のパイに成形する。(生地は薄ければ薄いほど本場に近づく。伸ばした生地が透けるくらいが理想だが、破れやすくなるため最初は少し厚めでも良い。縁のひだは指先でつまんでねじるようにすると本場のカレリアパイらしい形になる)

◎オーブンで焼く
天板にクッキングシートを敷き、成形したパイを並べる。250〜275℃の高温に予熱したオーブンで10〜15分、縁がこんがりと焼けるまで焼く。焼き上がったら熱いうちに溶かしバター(またはバターと牛乳を1:1で混ぜた液)をハケで全体に塗る。(できるだけ高温で短時間に焼くことが大切で、低温でゆっくり焼くと生地がパリパリにならず硬くなりすぎる。バターを塗ることで生地が柔らかくしっとりとした食感になり、冷めても美味しく食べられる)

◎ムナボイを作って添える

フィンランドの定番カレリアパイの完成品 盛り付け画像

盛り付けたカレリアパイ

固茹でのゆで卵3個を細かく刻み、室温に戻した柔らかいバター80gとよく混ぜ合わせる。塩少々で味を調える。焼き上がったカレリアパイにムナボイをたっぷりのせて食べる。(ムナボイはカレリアパイと切り離せない定番のトッピングで、これなしではカレリアパイの半分の楽しみしか得られないとフィンランド人は言う。バターは必ず室温に戻してから使うこと。冷たいバターでは卵と混ざらない)

料理の歴史と背景

カレリアパイの歴史は少なくとも500年以上前にさかのぼり、現在のフィンランド東部からロシア・カレリア共和国にまたがるカレリア地方の農村食文化に起源を持つ。カレリアはフィンランドとロシアの間で幾度となく帰属が変わった歴史的な係争地であり、その複雑な歴史が食文化にも反映されている。最初期のカレリアパイはライ麦粥(talkkuna)を包んでいたとされ、後に米・麦・じゃがいもなど様々なフィリングのバリエーションが生まれた。米粥を使うスタイルは19〜20世紀にかけて定着し、現在の標準的なレシピとなった。第二次世界大戦中の1944年、ソ連との冬戦争・継続戦争の結果としてカレリア地方の一部がソ連に割譲されると、カレリア地方出身の約42万人のフィンランド人が故郷を失ってフィンランド本土各地に避難・移住した。彼らとともにカレリアパイの作り方がフィンランド全土に広まり、地域料理から国民食へと変貌していった。

カレリアパイはフィンランド人にとって単なる食べ物を超えた意味を持つ。失われた故郷カレリアへの郷愁と結びついた料理として、戦後のフィンランドで「フィンランド人であること」の象徴として語られてきた歴史があるためだ。現在はスーパーマーケットで冷凍品として広く流通し、カフェや食堂でもコーヒーと一緒に食べる軽食として定着しているが、家庭でも年配の女性を中心に手作りの伝統が受け継がれている。2003年にカレリアパイがEUの地理的表示保護(PGI)に登録されたことは、フィンランド政府と国民がこの料理を重要な文化遺産として位置づけていることの表れであり、フィンランド唯一のEU食品保護登録品として今も特別な存在感を持っている。

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