タイの定番カオニャオマムアンのレシピ
完熟マンゴーとやさしい甘さのもち米、濃厚なヤシクリームが三位一体となるタイの定番デザート。本場の味を自宅で再現するレシピを詳しく解説します。
材料
- もち米 200g
- 完熟マンゴー 1個
- ココナッツミルク 200ml(もち米用)+100ml(仕上げ用)
- 砂糖 大さじ3
- 塩 小さじ1/2(もち米用)+小さじ1/4(仕上げ用)
- 米粉(またはコーンスターチ) 小さじ1
- 炒りごま(または割ったムング豆) 適量
カオニャオマムアン(ข้าวเหนียวมะม่วง)は「マンゴーともち米」を意味するタイを代表するデザートで、甘く炊いたもち米に完熟マンゴーのスライスを添え、濃厚なヤシクリームをかけて食べるタイスイーツの傑作です。もち米はただ甘いだけでなく、ヤシクリームと塩が絶妙なバランスで混ざり合った複雑な味わいを持ち、完熟マンゴーの芳醇な甘みと酸味と組み合わさることで互いの美味しさを何倍にも引き立て合います。タイでは3〜5月のマンゴーシーズンになると屋台や市場にカオニャオマムアンが溢れ、この季節を待ちわびていた人々が列を作る光景が毎年繰り広げられます。材料はシンプルですが、もち米の炊き加減とヤシクリームの塩加減が仕上がりを大きく左右する、奥深い一皿です。
カオニャオマムアンの作り方
◎もち米を浸水させる
もち米200gをたっぷりの水に最低4時間、できれば一晩浸けておく。ザルに上げてよく水を切る。(十分な浸水がもち米をムラなく蒸し上げる最大の条件。時間が短いと芯が残り、ヤシクリームの吸い込みが悪くなる)
◎もち米を蒸す
蒸気の上がった蒸し器にもち米を平らに広げ、強火で15分蒸す。一度全体を上下に返してさらに10分蒸す。竹串を刺してスッと通れば完成。(返すときに表面が乾いているようなら手に水をつけてほぐすとムラがなくなる。蒸し上がりはやや固めで問題なく、後からヤシクリームを吸って柔らかくなる)
◎甘いヤシクリームを作る
小鍋にココナッツミルク200ml・砂糖大さじ3・塩小さじ1/2を入れて弱火で温め、砂糖と塩が完全に溶けたら火を止める。(沸騰させるとヤシクリームが分離するため、弱火でゆっくり温めるのが鉄則。塩はヤシクリームの甘みを引き立てる重要な要素で、省かずに必ず加えること)
◎もち米にヤシクリームを吸わせる
蒸し上がったもち米を大きめのボウルに移し、甘いヤシクリームの2/3量を回しかけてさっくりと混ぜ合わせる。蓋またはラップをして10〜15分蒸らし、ヤシクリームをしっかり吸わせる。(蒸らしの工程が重要で、この時間をかけることでもち米がヤシクリームを均一に吸収してしっとりもっちりとした理想の食感になる)
◎仕上げのヤシクリームを作る
残りのココナッツミルク100ml・塩小さじ1/4・米粉(またはコーンスターチ)小さじ1を小鍋に合わせて弱火で温め、とろみがつくまで混ぜながら加熱する。(仕上げのヤシクリームはもち米に吸わせるものとは別に作る。米粉でほんのりとろみをつけることで、かけたときに流れ落ちずもち米にしっかりからむ)
◎マンゴーを切る
完熟マンゴー1個の種に沿って両側から包丁を入れ、果肉を薄切りにする。(タイではナムドークマイ種の細長いマンゴーが最もポピュラー。日本で入手しやすいアップルマンゴーでも美味しく作れる。完熟したもの——皮全体が黄色くなり、押すとわずかに弾力があるもの——を選ぶことが味の決め手)
◎盛り付け

皿にもち米をこんもりと盛り、隣にマンゴーのスライスを美しく並べる。仕上げのヤシクリームをもち米の上からたっぷりかけ、炒りごま(または割ったムング豆)を散らして完成。
料理の歴史と背景
カオニャオマムアンの歴史はタイ中部の宮廷料理にまで遡るとされており、もち米とヤシクリームを組み合わせた甘い料理はアユタヤ王朝時代から存在していたとされています。東南アジア全域でもち米と果物・ヤシクリームを組み合わせる甘味は広く見られますが、タイのカオニャオマムアンが特別な地位を得たのは、タイ中部で栽培されるマンゴーの品種の多様さと品質の高さによるところが大きいとされています。ナムドークマイ種に代表されるタイのマンゴーは果肉が緻密でほのかな花の香りを持ち、ヤシクリームとの相性の良さは他の産地のマンゴーとは一線を画します。
現代のタイではカオニャオマムアンはマンゴーシーズン(3〜5月)の風物詩として特別な意味を持ちます。バンコクのオー・トー・コー市場やチャトゥチャック・ウィークエンドマーケットでは旬のマンゴーとカオニャオマムアンが並んで売られ、タイ人も外国人観光客も分け隔てなく行列を作る光景は春の風物詩として定着しています。近年はマンゴーの輸入や品種改良の進歩によって日本でも通年で完熟マンゴーが入手しやすくなり、家庭でカオニャオマムアンを作るハードルが大きく下がりました。世界中のタイ料理店でデザートとして提供されるようになった現在も、カオニャオマムアンは「タイに行ったら必ず食べたいスイーツ」の筆頭として世界中の旅行者に愛され続けており、タイのソフトパワーを体現する料理のひとつとなっています。
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