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タイの定番クアクリンのレシピ

ココナッツミルクを一切使わない南タイ生まれの超辛ドライカレー。スパイスを贅沢に使ったペーストで豚ひき肉を炒め上げる本格レシピを詳しく紹介します。

タイの定番クアクリンのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
25 調理時間
2人前 分量
約320kcal カロリー

材料

  • 豚ひき肉 300g
  • クアクリンペースト(または南タイカレーペースト) 大さじ2〜3
  • コブミカンの葉 4〜5枚
  • ナンプラー 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1/2
  • レモングラス 飾り用・適量
  • 赤唐辛子 飾り用・適量
  • 生きゅうり(またはキャベツ) 付け合わせ用・適量
  • ジャスミンライス(またはカオニャオ) 適量

クアクリン(คั่วกลิ้ง)は、タイ南部を発祥とするドライカレーの一種で、他のタイカレーとは根本的に異なる作り方を持ちます。グリーンカレーやパネーンカレーがココナッツミルクでソースを作るのに対し、クアクリンはココナッツミルクを一切使わず、ひき肉をスパイスペーストとともに油なしで直接炒り焼きにします。水分が完全に飛ぶまで炒め続けることで、スパイスの香りが肉にしっかりと焼き付き、噛むたびに凝縮された辛さと香りが口に広がります。タイ料理の中でも最も辛い料理のひとつとして知られており、南タイの食堂では汗をかきながら食べるのが当たり前の光景です。カオニャオ(もち米)との相性が抜群で、強烈な個性の中に深い旨みを持つ、一度食べると忘れられない一皿です。

クアクリンの作り方

◎クアクリンペーストを準備する
市販のクアクリンペースト(または南タイスタイルのカレーペースト)大さじ2〜3を用意する。自家製にする場合は乾燥赤唐辛子・レモングラス(薄切り)・ガランガル・ターメリック・にんにく・シャロット・コブミカンの皮・塩をすり鉢でなめらかになるまでつぶす。(クアクリンペーストの特徴はターメリックによる鮮やかな黄みとレモングラスの香り。ペーストの量が辛さと風味を直接左右するため、初めての場合は少なめから始めるとよい)

◎肉とペーストを合わせる
豚ひき肉にクアクリンペーストを加えてよく混ぜ合わせ、10分ほどなじませる。(ペーストを肉に前もってなじませることでスパイスが均一に行き渡り、炒めたときに肉全体にムラなく味がつく。手でよく揉み込むのがポイント)

◎油なしで炒り焼きにする
フライパンまたはウォックに油を引かず中火で熱し、ペーストを混ぜ込んだ豚ひき肉を加える。木べらで絶えず混ぜながら、肉の水分を飛ばすように炒り焼きにする。(油を使わないのがクアクリンの最大の特徴。肉の脂とペーストの水分だけで調理することで、スパイスが肉に直接焼き付く独特の食感と香ばしさが生まれる)

◎水分を完全に飛ばす
水分が出てきたら中火のまま炒め続け、パチパチと音が変わり肉がほぐれてパラパラになるまで8〜10分かけてしっかり炒る。(この工程が最も重要。水分が残っているうちは「煮る」状態だが、水分が完全に飛んでからが「炒り焼き」の本番。焦げないよう木べらで常に動かしながら、乾いた炒り音になるまで根気よく続ける)

◎調味して仕上げる
ナンプラー大さじ1・砂糖小さじ1/2を加えてさっと炒め合わせる。コブミカンの葉4〜5枚を葉脈を取り除いてせん切りにし、加えてひと混ぜする。(コブミカンの葉は火を止める直前に加えることで清涼感が残る。仕上げにもトッピングとして散らすと香りの層が増す)

◎盛り付け

タイの定番クアクリンの完成品 盛り付け画像
皿に盛り、残りのコブミカンの葉のせん切りを散らす。レモングラスの薄切りと赤唐辛子を飾り、ジャスミンライスまたはカオニャオを添えて完成。生きゅうりやキャベツの葉を添えると辛さを中和できる。

料理の歴史と背景

クアクリンはタイ南部、特にナコーンシータンマラート・スラートターニー・ソンクラーなどの地域を中心に根付いた郷土料理です。南タイの料理はバンコクを中心とするタイ中部の料理とは明確に異なる食文化圏を形成しており、ターメリックの使用・ココナッツミルクを使わない調理法・容赦のない辛さが三つの特徴として挙げられます。これはタイ南部がマレー半島に位置し、マレーシアやインドネシアのスパイス文化の影響を色濃く受けてきた地理的な背景によるものです。クアクリンの「炒り焼き」という技法自体もインド南部の乾燥カレーと共通する調理哲学を持っており、スパイスロードの影響がタイの最南端まで届いていたことを示しています。

南タイの人々にとってクアクリンは日常の惣菜であり、市場や食堂では大きな鍋にまとめて作られたクアクリンがご飯のおかずとして量り売りされる光景が今も見られます。バンコクでは南タイ料理専門店で提供されるようになり、タイ料理好きの間では「本当の南タイの辛さ」を体験できる料理として知られています。豚肉が最もポピュラーですが、牛肉・鶏肉・魚のすり身で作るバリエーションも地域によって存在します。近年は健康志向の高まりとともに「油を使わない調理法」としても注目され、タイ国内外でクアクリンへの関心が高まっています。その潔いシンプルさと強烈な個性は、南タイの太陽と海のように直接的で力強い食文化の縮図といえる料理です。

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