アジア

ラオスの定番モックパーのレシピ

ハーブペーストを塗り込んだ魚をバナナの葉で包んで蒸し上げるラオスの伝統料理。レモングラスとディルの清涼感が溶け込んだ繊細な蒸し魚の本格レシピを、歴史とともに紹介します。

ラオスの定番モックパーのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
35 調理時間
2人前 分量
約210kcal カロリー

材料

  • 白身魚(鯛・タラ・スズキなど) 200g
  • レモングラス 2本
  • ガランガル 10g
  • ニンニク 3片
  • ホムデン(小玉ねぎ) 3個
  • 青唐辛子 2本
  • パーデーク(なければナンプラー) 大さじ1
  • ナンプラー 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • 卵 1個
  • ディル(生) ひとつかみ
  • バナナの葉 適量(なければアルミホイル)
  • ライム・赤唐辛子 各適量

モックパー(ໝົກປາ)はラオス語で「包んだ魚」を意味するラオスを代表する蒸し魚料理で、レモングラス・ガランガル・ディル・パーデーク(発酵魚醤)・卵を合わせたハーブペーストに魚のすり身または切り身を混ぜ込み、バナナの葉で丁寧に包んで蒸し上げることで、外はバナナの葉の青い香りをまとい内はふるふるとやわらかく旨みが凝縮した唯一無二の食感に仕上がるラオスの伝統料理です。カンボジアのアモックやタイのホーモックと同じ東南アジアの蒸し魚カレームース系料理の系譜に属しながら、ヤシ乳を使わずパーデークとディルを主体とする味付けによってラオス独自の淡い旨みと清涼感を持つ別格の美味しさを実現しています。モックパーの決め手はパーデークの発酵の旨みが魚の身に深く染み込むことで生まれる複雑な旨みの重層感と、ディルの清涼感ある香りがバナナの葉の青さと溶け合うことで生まれる香りの繊細さであり、この二つが揃って初めて本場ルアンパバーンやビエンチャンの家庭料理の味に近づきます。ラオスでは川魚を使うのが伝統的なスタイルで、メコン川やナムウー川で獲れた新鮮な淡水魚をそのまま包んで蒸すという素朴な調理法の中にラオスの豊かな水辺の食文化が凝縮されています。もち米(カオ・ニャオ)とともに食べるのが定番で、祭礼や特別な日のご馳走としても家庭で広く作られてきた料理です。

モックパーの作り方

◎ハーブペーストを作る
レモングラス(白い部分)2本を薄切りにし、ガランガル10gをスライスする。ニンニク3片・ホムデン(小玉ねぎ)3個・青唐辛子2本とともにすり鉢でなめらかなペースト状になるまで潰す。パーデーク(発酵魚醤・なければナンプラー)大さじ1・ナンプラー大さじ1・砂糖小さじ1・卵1個を加えてよく混ぜ合わせる。(パーデークはラオス料理に欠かせない発酵調味料で、ナンプラーより濃厚な旨みと独特の発酵香を持つ。日本では入手しにくいためナンプラーで代用できるが、パーデークを使うと格段に本場の味に近づく)

◎魚を準備する
白身魚(鯛・タラ・スズキなど)200gを一口大に切り、ハーブペーストとよく混ぜ合わせる。ディル(生)ひとつかみを粗く刻んで加え、さらに混ぜる。(ラオスでは川魚を使うのが伝統だが、日本では白身の海水魚で代用できる。ディルはモックパーに欠かせないハーブで、清涼感のある独特の香りが料理全体を引き締める。乾燥ディルを使う場合は小さじ2程度に減らすこと)

◎バナナの葉で包む
バナナの葉を25cm角程度に切り、直火で軽くあぶって柔らかくする。葉の中央に魚のペーストをこんもりと盛り、ディルの枝を数本のせる。葉の四辺を折り上げて舟形または角形に包み、つまようじで留める。(バナナの葉はあぶることで破れにくく折りやすくなる。なければアルミホイルで代用できるが、バナナの葉の青い香りはモックパーの風味に欠かせない要素なので可能な限り用意したい。アジア系食材店や一部スーパーで入手できる)

◎蒸し上げる
蒸し器に湯を沸かし、包んだモックパーを並べて中火で15〜18分蒸す。竹串を刺してすぐに抜き、温かければ火が通っている。(蒸しすぎると魚の身がパサつくので時間を守ること。蒸し器がない場合はフライパンに水を張り、網の上に包みをのせて蓋をして蒸すことができる)

◎盛り付け

ラオスの定番モックパーの完成品 盛り付け画像

蒸し上がったモックパーをバナナの葉ごと皿に盛る。包みを開いてディルと赤唐辛子の薄切りを散らし、ライムのくし切りを添えて完成。もち米(カオ・ニャオ)とともに食べるのがラオスの定番スタイル。

料理の歴史と背景

モックパーの起源はメコン川流域の農村食文化に深く根ざしています。ラオスは国土の多くを大小の河川が流れる内陸国であり、淡水魚は古来から動物性タンパク質の最も重要な供給源でした。新鮮な川魚をハーブとともにバナナの葉で包んで焚き火や炭火の熱で蒸し焼きにするという調理法は、保存技術も冷蔵設備もない時代に食材を無駄なく美味しく食べるための生活の知恵から生まれたものです。パーデークという発酵魚醤の使用はラオスの食文化の根幹をなすものであり、モックパーにおいてもパーデークの旨みが料理全体の深みを決定づける核心的な役割を担っています。バナナの葉で包む技法はラオスのみならず東南アジア全域に広く見られますが、ヤシ乳を使わずパーデークとディルを主体とするラオス独自の味付けによってカンボジアのアモックやタイのホーモックとは明確に異なる個性を持っています。

現代のラオスにおいてモックパーはビエンチャンやルアンパバーンの市場や食堂で日常的に食べることができ、家庭でも特別な日のご馳走として広く作られています。観光地として世界的な知名度を持つルアンパバーンではモックパーが外国人旅行者にとっても必食のラオス料理として定着しており、ユネスコ世界遺産の街並みを望む食堂でバナナの葉の包みを開く体験はラオス旅行の忘れられない思い出のひとつとして多くの旅行者に語られています。日本ではラオス料理への関心が高まるとともにモックパーを提供する東南アジア料理店が少しずつ増えており、バナナの葉とハーブが生み出す繊細な香りとふるふるとした蒸し魚の食感は、淡白な味わいを好む日本人の味覚にも自然に馴染む料理として評価が高まっています。

関連タグ

このレシピは役に立ちましたか?サイトの継続運営への応援をお待ちしています。