タイの定番ナムプリックオーンのレシピ
チェンマイ発祥、豚ひき肉とトマトを煮詰めた北部タイの赤いチリディップ。野菜やゆで卵につけて食べる万能ディップを自宅で作るレシピです。
材料
- 豚ひき肉 200g
- トマト 2個(または缶詰トマト200g)
- 乾燥赤唐辛子 3〜4本
- シャロット 3個
- にんにく 3片
- レモングラス 1本
- ガピ(発酵エビペースト) 小さじ1
- ナンプラー 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 塩 少々
- サラダ油 大さじ1
- 青ねぎ 2本
- 赤唐辛子 飾り用・適量
- きゅうり・キャベツ・いんげん・かぼちゃ 付け合わせ用・各適量
- 揚げた豚皮(カブムー) 適量
- カオニャオ(もち米) 適量
ナムプリックオーン(น้ำพริกอ่อง)は、タイ北部チェンマイを中心とするランナー文化圏に根付く豚肉とトマトのチリディップです。「ナムプリック」はタイ語でチリソース・ディップを意味する総称で、その中でもナムプリックオーンは豚ひき肉とトマトをカレーペーストとともに煮詰めた、具材の入ったペースト状の料理です。イタリアのボロネーゼソースに例えられることもありますが、レモングラス・シャロット・発酵エビペーストが生み出す東南アジア独自の香りと、トマトの酸味が溶け込んだ奥深い味わいは全く別物の個性を持ちます。生野菜・蒸し野菜・揚げた豚皮・カオニャオを皿に並べて全員でディップしながら食べる北部タイの食卓スタイルは、料理そのものだけでなく囲む人々の温かさも伝えてくれます。
ナムプリックオーンの作り方
◎ペーストを作る
乾燥赤唐辛子3〜4本を水で戻し、シャロット3個・にんにく3片・レモングラス1本(薄切り)・ガピ(発酵エビペースト)小さじ1とともにすり鉢でなめらかなペースト状になるまでしっかりつぶす。(ガピは北部タイのナムプリックオーンに欠かせない発酵の旨みの要。独特の香りが気になる場合は少量から始めてよい。ペーストを丁寧にすりつぶすほど後から炒めたときに香りが均一に広がる)
◎ペーストを炒める
フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、ペーストを加えて2〜3分炒める。香りが立ってペーストの水分が飛び、油と分離してきたら次の工程へ進む。(ペーストをしっかり炒めることが生臭さを消して風味を引き出す重要な工程。焦げないよう木べらで絶えず混ぜながら炒める)
◎豚ひき肉を加える
豚ひき肉200gを加えてほぐしながら中火で3〜4分炒める。肉の色が完全に変わり、余分な水分が飛んだら次へ進む。(ひき肉はペーストとよく炒め合わせることでスパイスが肉全体に行き渡る。水分が飛ぶまでしっかり炒めることで後からトマトを加えたときに全体がベタつかずまとまりよく仕上がる)
◎トマトを加えて煮詰める
ざく切りにしたトマト2個(または缶詰トマト200g)を加え、木べらで潰しながら中火で10〜12分煮詰める。トマトが完全に崩れてペーストと一体になり、表面に油が浮いてきたら火加減を調整する。(トマトの水分をしっかり飛ばして煮詰めることがナムプリックオーンの濃厚なコクを生む鍵。水っぽさが残っているうちは煮詰めが足りないサイン)
◎調味して仕上げる
ナンプラー大さじ1・砂糖小さじ1を加えて全体を混ぜ合わせ、塩で味を整える。火を止める直前に小口切りにした青ねぎをひとつかみ加えてさっと混ぜる。(ナムプリックオーンはやや濃いめの味付けが正解。ディップとして野菜や豚皮と一緒に食べることを前提にしているため、単体で食べると少し塩辛く感じる程度が適切な塩梅)
◎盛り付け

小鉢または平皿に盛り、青ねぎと輪切りにした赤唐辛子を散らす。きゅうり・ゆでたキャベツ・いんげん・ゆでたかぼちゃ・揚げた豚皮(カブムー)・カオニャオを皿に並べて添えて完成。
料理の歴史と背景
ナムプリックオーンはタイ北部のランナー王国の食文化圏に古くから伝わる郷土料理です。ランナーの食卓ではナムプリックが食事の中心に置かれる独自のスタイルがあり、ナムプリックオーンはその代表格として北部タイの家庭料理に欠かせない存在となっています。トマトが材料として使われていることは東南アジアの料理としては比較的珍しく、16〜17世紀にポルトガル人やスペイン人との交易を通じてトマトがアジアに持ち込まれた後、タイ北部の山岳地帯の気候がトマト栽培に適していたことから食材として定着したと考えられています。発酵エビペーストであるガピとトマトの組み合わせは、外来の食材と在来の発酵食文化が長い時間をかけて融合した結果です。
北部タイの家庭ではナムプリックオーンは大きな鍋にまとめて作り、数日かけて食べ続ける保存食的な役割も担っています。炊きたてのカオニャオにナムプリックオーンをのせて食べるスタイルは北部タイの子どもたちにとって最も馴染み深い味のひとつであり、チェンマイ出身者にとっては故郷の味として強く記憶に刻まれています。バンコクでは北部タイ料理専門店でナムプリックオーンのセットを注文すると、色とりどりの野菜と豚皮が美しく盛り付けられた皿が届きますが、その根底にあるのは「皆で囲んでディップしながら食べる」というランナーの食卓の哲学です。近年は日本でも北部タイ料理への関心が高まっており、チェンマイ料理を専門とする飲食店でナムプリックオーンが提供されるケースが増えています。
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