アジア

ラオスの定番ピンシンのレシピ

レモングラスとオイスターソースを効かせたタレに漬け込み、炭火でこんがりと焼き上げるラオスの定番焼き牛肉。もち米とジャオとともに楽しむ本場の味を再現する本格レシピを、歴史とともに紹介します。

ラオスの定番ピンシンのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
25 調理時間
2人前 分量
約380kcal カロリー

材料

  • 牛肉(ランプ・サーロイン・肩ロースなど) 300g
  • レモングラス 2本
  • ガランガル 10g
  • ニンニク 4片(漬けダレ用)
  • パクチーの根 2本
  • オイスターソース 大さじ2
  • ナンプラー 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • 黒醤油(なければ濃口醤油) 小さじ1
  • ごま油 小さじ1
  • 乾燥赤唐辛子 3本(ジャオ用)
  • ニンニク 3片(ジャオ用)
  • ホムデン(小玉ねぎ) 3個(ジャオ用)
  • パーデーク(なければナンプラー) 大さじ1
  • ライム 1個
  • もち米(カオ・ニャオ) 適量
  • パクチー・きゅうり 各適量

ピンシン(ປີ້ງຊີ້ນ)はラオス語で「焼いた肉」を意味するラオスを代表する炭火焼き牛肉料理で、レモングラス・ガランガル・ニンニク・オイスターソース・ナンプラー・砂糖を合わせた甘辛い漬けダレに牛肉をたっぷりと漬け込み、炭火の上でじっくりと焼き上げることで外側は香ばしくカラメル化した焦げ目をまとい内側はしっとりとジューシーに仕上がる、ラオス全土の屋台から家庭の食卓まで日常的に食べられている国民的料理です。ピンガイ(焼き鶏)と並んでラオスの焼き物料理を代表するピンシンは、牛肉の赤身の旨みとオイスターソースの甘みとレモングラスの清涼感が三位一体となった漬けダレの個性によって、タイのニュアタートやベトナムのボーロックラックとは明確に異なるラオス独自の焼き牛肉の美学を実現しています。ピンシンの決め手は漬けダレに含まれる砂糖がじっくりとした炭火の熱でカラメル化することで生まれる香ばしい焦げ目の甘みと、レモングラスの香りが牛肉の旨みに溶け込むことで生まれる複雑な後味の余韻であり、この二つが揃って初めて本場ビエンチャンやサワンナケートの屋台の味に近づきます。ラオスでは牛肉を薄切りにして漬け込む屋台スタイルと、厚切りにしてじっくり焼く家庭スタイルの二通りがあり、いずれももち米(カオ・ニャオ)とジャオ・ボン(唐辛子ペースト)を添えて食べるのが定番の組み合わせです。夕暮れ時にビエンチャンのメコン川沿いの屋台街でピンシンの炭火の香りと煙が漂う光景は、ラオスの夜の食文化を象徴する風景として旅行者の記憶にも深く刻まれています。

ピンシンの作り方

◎漬けダレを作る
レモングラス(白い部分)2本を薄い小口切りにし、ガランガル10gをスライスする。ニンニク4片・パクチーの根2本とともにすり鉢でなめらかなペースト状になるまで潰す。オイスターソース大さじ2・ナンプラー大さじ1・砂糖大さじ1・黒醤油(なければ濃口醤油)小さじ1・ごま油小さじ1を加えてよく混ぜる。(黒醤油は肉に深みのある色と甘みを与える。ない場合は濃口醤油に黒蜜小さじ1/2を加えると近似した味になる。砂糖は焼いたときのカラメル化した焦げ目の香ばしさを生み出す重要な役割を担う)

◎牛肉を漬け込む
牛肉(ランプ・サーロイン・肩ロースなど)300gを5mm〜1cm厚さに切り、全体にフォークで穴を開ける。漬けダレを全体によく揉み込み、密閉袋またはボウルにラップをかけて冷蔵庫で最低1時間、できれば3時間以上置く。(フォークで穴を開けることでダレが内部まで浸透する。漬け込み時間が長いほど旨みと香りが深まる。薄切りにすれば30分の漬け込みでも十分味が入る)

◎焼き上げる
魚焼きグリルまたはフライパンを強火でしっかり熱する。余分なタレを軽く落とした牛肉を並べ、片面2〜3分ずつ焼く。表面にしっかりと焦げ目がついたら裏返し、同様に焼く。(強火で一気に焼くことで表面をカラメル化させながら内部をジューシーに保つのがポイント。炭火の場合は遠火でじっくり焼くと香ばしさが増す。焼きすぎると固くなるので焦げ目がついたらすぐに取り出すこと)

◎ジャオを作る
乾燥赤唐辛子3本・ニンニク3片・ホムデン(小玉ねぎ)3個をアルミホイルで包んで直火または魚焼きグリルで黒くなるまで焼く。粗熱が取れたらすり鉢に入れてパーデーク大さじ1・ライム果汁大さじ1・塩少々とともに粗くすり潰す。(ジャオはラオスの定番唐辛子ディップソースで焼き物には欠かせない存在。焦がすことでスモーキーな旨みが生まれる。辛さは唐辛子の量で調整すること)

◎盛り付け

ラオスの定番ピンシンの完成品 盛り付け画像

焼き上がった牛肉を食べやすい大きさに切り分けて皿に盛る。ジャオ・ボンを小皿に添え、もち米(カオ・ニャオ)・パクチー・スライスしたきゅうり・ライムのくし切りをそえて完成。

料理の歴史と背景

ピンシンの起源はメコン川流域の農耕・牧畜文化に根ざしています。ラオスの農村では水牛や牛が農耕の重要な労働力として飼育されており、老いて農作業に使えなくなった牛を解体して肉を食べる習慣が古くから続いていました。新鮮な牛肉を薪や炭火でそのまま焼いて食べるという素朴な技法が、レモングラスやガランガルなど周辺に自生するハーブ類やパーデークなどの発酵調味料と組み合わさることでピンシンという洗練された料理へと発展してきたとされています。ラオス中部のサワンナケートやターケークなどメコン川沿いの商業都市ではタイやベトナムとの交易が盛んであったため、オイスターソースや黒醤油といった中国系調味料がラオスの食文化に取り込まれ、現在のピンシンの漬けダレに欠かせない要素として定着したと考えられています。ピンガイと並ぶラオスの代表的な炭火焼き料理として、ピンシンは結婚式や収穫祭などの祝いの席でも大量に作られる祝祭料理としての側面も持ち、家族や共同体が炭火を囲んで食べる共食の文化とともに受け継がれてきました。

現代のラオスにおいてピンシンはビエンチャンのメコン川沿いの夜市・ルアンパバーンの路地裏の屋台・各地の市場で夕暮れ時になると炭火の煙とともに姿を現し、もち米のかごを手にした市民が列をつくる光景が日常として続いています。特にビエンチャンのメコンリバーサイドには複数のピンシン専門屋台が並び、川風に吹かれながら炭火焼き牛肉ともち米とビアラーオ(ラオスビール)を楽しむスタイルはラオスを訪れる旅行者にとっても欠かせない体験のひとつとなっています。日本ではラオス料理専門店での提供は限られているものの、レモングラスとオイスターソースを合わせた漬けダレの汎用性の高さから家庭での再現が比較的容易であり、焼き肉文化に親しんだ日本人の味覚にも深く響く料理として静かに関心が高まっています。

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