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フランスの定番ラタトゥイユのレシピ

ズッキーニ・なす・トマト・ピーマン・玉ねぎをオリーブオイルと各種ハーブとともに丁寧に炒め合わせてじっくりと煮込む、ニース発祥のプロヴァンス地方の野菜料理。野菜それぞれの旨みが溶け合う夏の太陽の味を、歴史とともに紹介します。

フランスの定番ラタトゥイユのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
75 調理時間
4人前 分量
約200kcal カロリー

材料

  • なす 2本
  • ズッキーニ 2本
  • 赤ピーマン 1個
  • 黄ピーマン 1個
  • 玉ねぎ 2個
  • ニンニク 4片
  • 完熟トマト 4個(またはカットトマト缶400g)
  • オリーブオイル 大さじ7+仕上げ用大さじ1
  • タイム(生) 3〜4枝(または乾燥小さじ1/2)
  • ローリエ 2枚
  • ロズマリー(生) 1枝(または乾燥小さじ1/2)
  • バジルの葉 ひとつかみ
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 小さじ1と1/2
  • 黒こしょう 適量
  • バゲットまたはカンパーニュ 適量(添え物)

ラタトゥイユ(Ratatouille)はフランス南部プロヴァンス地方・ニースを発祥とする夏野菜の煮込み料理で、ズッキーニ・なす・赤ピーマン・黄ピーマン・トマト・玉ねぎをそれぞれ別々にオリーブオイルで丁寧に炒めてから合わせ、タイム・ローリエ・バジル・ロズマリーなどプロヴァンスのハーブとともにじっくりと煮込むことで夏野菜の旨みが互いに溶け合いながらオリーブオイルの芳醇な香りに包まれたなめらかでコクのある一皿に仕上がる、フランス家庭料理の中でも最も普遍的に愛される国民的郷土料理です。ラタトゥイユ最大の個性は野菜をひとつの鍋でまとめて煮るのではなく各食材を別々に炒めてから合わせるという手間のかかる工程にあり、この工程を踏むことで各野菜が余分な水分を飛ばしてそれぞれの旨みを凝縮させてから合わさることで生まれる仕上がりの深みは、すべてを一緒に煮込む方法では決して出せない複雑さと豊かさを持ちます。ラタトゥイユの決め手は完熟した旬の夏野菜を使うことで引き出せる自然の甘みと酸みのバランスと、良質なオリーブオイルをたっぷりと使って各野菜の旨みを油脂に溶け込ませながら炒める工程にあり、この二つが揃って初めてニースやエクス=アン=プロヴァンスの家庭の食卓で食べるラタトゥイユの豊かな味わいに近づきます。プロヴァンスではラタトゥイユは作りたてより翌日以降に野菜の旨みとハーブの香りが完全に溶け合ったものを温め直すか冷たいままで食べるほうが美味しいと広く信じられており、冷蔵庫で4〜5日間保存できるため週の始めにまとめて作っておき平日の付け合わせ・前菜・パスタのソースとして活用する食べ方がフランスの家庭に広く定着しています。完全に植物性食材のみで作られるヴィーガン料理でありながら豊かな旨みと満足感を持つラタトゥイユは、近年の健康志向・地中海食への関心の高まりとともに世界中で再評価されています。

ラタトゥイユの作り方

◎野菜を切り揃える
なす2本・ズッキーニ2本を2cm角のさいの目に切り、塩小さじ1を全体にまぶして30分置いてから出てきた水気をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る。赤ピーマン1個・黄ピーマン1個を2cm角に切る。玉ねぎ2個を粗みじんにする。ニンニク4片を薄切りにする。完熟トマト4個(またはカットトマト缶400g)を粗みじんにする。(なすとズッキーニに塩をまぶして水出しをする工程は余分な水分と苦みを取り除くとともに炒めたときに油を吸いすぎるのを防ぐ。完熟したトマトを使うことがラタトゥイユの甘みと酸みの基盤を作る。冬に作る場合はカットトマト缶の使用が推奨される。すべての野菜をできるだけ同じ大きさに切りそろえることで火の通りが均一になる)

◎野菜を別々に炒める

フランスの定番ラタトゥイユの完成品 盛り付け画像

盛り付けたラタトゥイユ
大きめのフライパンにオリーブオイル大さじ2を強めの中火で熱し、なすを全面にこんがりとした色がつくまで5〜6分炒めて取り出す。同じフライパンにオリーブオイル大さじ2を足してズッキーニを4〜5分炒めて取り出す。さらにオリーブオイル大さじ1を足してピーマンを3〜4分炒めて取り出す。最後にオリーブオイル大さじ2で玉ねぎを弱火で12〜15分、透明感が出てしんなりとするまでじっくりと炒める。(各野菜を別々に炒めることがラタトゥイユの味の深みを生む最重要工程。一度にすべてを鍋に入れると野菜から一斉に水分が出て蒸し状態になり旨みが凝縮されない。フライパンは野菜を入れるたびにしっかりと再加熱すること。なすは特に油を吸いやすいため、フライパンに入れたら最初の1〜2分は動かさずに待つと色よく仕上がる)

◎ハーブを合わせて煮込む
玉ねぎを炒めた同じ鍋にニンニクを加えて1〜2分炒め、トマトを加えて木べらで崩しながら中火で8〜10分、水分が半量になるまで煮詰める。炒めておいたなす・ズッキーニ・ピーマンを加えてよく混ぜ、タイム3〜4枝・ローリエ2枚・ロズマリー1枝(または乾燥各小さじ1/2)・砂糖小さじ1・塩小さじ1・黒こしょうを加える。蓋をして弱火で25〜30分、全体がなじんでソースにとろみがついたら蓋を外してさらに10分煮詰める。火を止めてバジルの葉をちぎって加え、良質なオリーブオイルを大さじ1回しかけて仕上げる。(トマトをしっかりと煮詰めてから他の野菜を加えることで酸みが旨みに変わりラタトゥイユ全体の味の骨格が定まる。ハーブは乾燥より生のほうが香りが豊かに仕上がる。仕上げのバジルとオリーブオイルは火を止めてから加えることで香りが飛ばずに残る。砂糖小さじ1はトマトの酸みをやわらげる隠し味として有効)

◎盛り付けと食べ方

盛り付けたラタトゥイユ
深めの皿に盛り付け、バジルの葉を数枚飾り、オリーブオイルを細くたらして仕上げる。バゲットまたはカンパーニュを添えてソースをすくいながら食べるのがプロヴァンスの定番スタイル。温かいままでも冷たいままでも美味しく食べられ、パスタのソース・キッシュの具・オムレツの中身・グリルした魚や肉の付け合わせとしても幅広く活用できる。(冷蔵庫で一晩置いた翌日のラタトゥイユはすべての味が溶け合って格段に美味しくなる。食べる前に室温に30分ほど戻してから温め直すか、夏は冷たいままアンティパストとして前菜に使うのがプロヴァンス流。パルミジャーノレッジャーノを削ってかけると風味がさらに豊かになる)

料理の歴史と背景

ラタトゥイユの起源は18世紀のフランス南部プロヴァンス地方に遡るとされており、料理名はプロヴァンス方言で「かき混ぜる」「ごった煮」を意味する動詞「touiller(トゥイエ)」と「rata(ラタ)」(軍隊の俗語で粗末な食事を意味する)が組み合わさった言葉に由来するとされています。もともとは農民や兵士が夏に収穫した余り野菜を大鍋で煮込んだ素朴な料理として始まったラタトゥイユは、プロヴァンスの夏に豊富に収穫されるズッキーニ・なす・トマト・ピーマンといった地中海野菜とオリーブオイル・ハーブを組み合わせることで地域の食材文化を体現する料理として定着しました。ニース周辺の農村では各家庭が秋の収穫前の夏野菜を大量に使い切るための保存食として作られていたとも伝えられており、翌日以降も美味しく食べられるラタトゥイユの特性はこの保存食文化から生まれたとも考えられています。20世紀に入りフランス料理が体系化されるなかで、ラタトゥイユはプロヴァンス郷土料理の代表として料理書に収録されるようになり、フランス全土のビストロ・ブラッスリーの定番メニューとして全国に普及しました。

現代のフランスにおいてラタトゥイユはニース・マルセイユ・アヴィニョンをはじめフランス全土の家庭料理の定番として広く愛されており、夏の終わりに大量の旬野菜を使って作り置きする季節の料理としてフランスの家庭に深く根付いています。国際的にはピクサーが2007年に公開したアニメーション映画『レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)』がラタトゥイユを世界的に有名にした最大の契機となり、映画の中で描かれた精緻に盛り付けられたコンフィ・ビガラードスタイルのラタトゥイユは「コンカッセ(confit byaldi)」として世界中のシェフに影響を与えました。地中海食が健康長寿の食事スタイルとしてWHOや各国の栄養機関から推奨されるようになった2010年代以降は、ラタトゥイユはオリーブオイル・野菜・ハーブを中心とした地中海食の象徴として世界中で再評価されています。日本ではフランス料理・地中海料理への関心の高まりとともにラタトゥイユは家庭料理の定番として広く浸透しており、旬の夏野菜を使った健康的な一品として料理教室・レシピサイト・家庭料理の文脈で頻繁に紹介されています。

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