アジア

インドの定番サモサのレシピ

スパイス炒めじゃがいもと豆をサクサクのパリパリ生地で包んで揚げる北インドを代表するスナック。チャツネとともに楽しむ街角の味を自宅で再現する本格レシピを、歴史とともに紹介します。

インドの定番サモサのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
60 調理時間
2人前 分量
約480kcal カロリー

材料

  • 薄力粉 200g
  • ギー(なければ溶かしバター) 大さじ3
  • 塩 小さじ1/2
  • アジョワン(なければクミンシード) 小さじ1/2
  • 水 大さじ4〜5
  • じゃがいも 3個
  • グリーンピース(冷凍) 100g
  • 青唐辛子 2本
  • 生姜 10g
  • クミンシード 小さじ1
  • コリアンダーパウダー 小さじ2
  • ターメリックパウダー 小さじ1/2
  • ガラムマサラ 小さじ1
  • アムチュール(乾燥マンゴーパウダー) 小さじ1
  • 塩 小さじ1(フィリング用)
  • コリアンダーの葉 ひとつかみ
  • サラダ油 大さじ2(炒め用)
  • 揚げ油 適量
  • コリアンダーチャツネ・タマリンドチャツネ 各適量

サモサ(Samosa)は北インドを代表する三角形の揚げ包み料理で、薄力粉とギー(澄ましバター)を合わせてこねた硬くて薄いパリパリの生地にターメリック・クミン・コリアンダー・アムチュール(乾燥マンゴーパウダー)でスパイシーに炒めたじゃがいもとグリーンピースのフィリングを包み込み、低温からじっくりと揚げることで外側は薄くサクサクとパリパリに仕上がり内側はスパイスの香りが凝縮したほっくりとしたフィリングが溶け合うインド亜大陸全域からアフガニスタン・中東・東アフリカに至る広大な地域で日常的に食べられている国民的スナックです。サモサの最大の個性は硬くてパリパリとした生地の食感とスパイスが効いたじゃがいもフィリングの柔らかさの劇的な対比にあり、ひと口噛んだ瞬間に生地がパリッと割れてスパイスの香りが一気に解放される瞬間の官能的な食体験がサモサを世界中のインド料理店の最も普遍的なスナックとして定着させてきた最大の理由です。サモサの決め手は生地にギーを丁寧に擦り込むことで生まれるサブレのようにほろほろとしたパリパリの食感と、フィリングにアムチュール(乾燥マンゴーパウダー)を加えることで生まれる清涼感のある酸みがクミンとコリアンダーの香りと溶け合うことで実現する北インドらしいスパイスの複雑な奥行きであり、この二つが揃って初めてデリー・ジャイプール・ラクナウの街角のスナック屋台で揚げたての熱々を紙袋に入れて売るおじさんの味に近づきます。インドではサモサはチャイ(スパイスミルクティー)とセットで食べるのが定番スタイルであり、雨の降る午後に熱々のサモサとチャイを楽しむことはインド人にとって最も幸福な時間のひとつとして国民の共通の記憶に刻まれており、家庭でのティータイム・学校の売店・駅のホームの屋台・結婚式の前菜まであらゆる場面に登場するインドの食文化に欠かせない存在です。

サモサの作り方

◎生地を作る
薄力粉200g・塩小さじ1/2・アジョワン(なければクミンシード)小さじ1/2をボウルに合わせる。ギー(なければ溶かしたバター)大さじ3を加えて指先で粉全体に擦り込み、パン粉状になるまで混ぜる。水大さじ4〜5を少しずつ加えながらひとまとめにし、硬くてなめらかな生地に仕上げる。ラップに包んで室温で30分休ませる。(ギーを粉に丁寧に擦り込む工程がサモサのサクサクとパリパリの生地食感を決定づける最重要工程。生地は柔らかすぎると揚げたときに油を吸いすぎるため硬めに仕上げること。水は少しずつ加えて調整する)

◎フィリングを作る
じゃがいも3個を茹でて皮をむき、粗くつぶす。グリーンピース(冷凍)100gを解凍する。フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、クミンシード小さじ1を加えて弾けるまで加熱する。青唐辛子2本(みじん切り)・生姜10g(みじん切り)を加えて30秒炒め、コリアンダーパウダー小さじ2・ターメリックパウダー小さじ1/2・ガラムマサラ小さじ1・アムチュール(乾燥マンゴーパウダー)小さじ1・塩小さじ1を加える。つぶしたじゃがいもとグリーンピースを加えてよく混ぜ合わせ、仕上げにコリアンダーの葉ひとつかみを刻んで加える。冷ましておく。(アムチュールはサモサフィリングに欠かせない酸みをもたらす乾燥マンゴーパウダー。アジア系食材店で入手できる。なければレモン果汁小さじ2で代用できる。フィリングは完全に冷ましてから包むこと。温かいまま包むと生地が崩れる)

◎包む
休ませた生地を8等分にして丸め、直径15cm程度の楕円形に薄く伸ばす。半分に折って半円形にし、端に水を塗って貼り合わせてコーン形(円錐形)を作る。フィリングを詰めて上端に水を塗り三角形になるように折り畳んでしっかりと貼り合わせる。(端をしっかりと密着させないと揚げるときに破裂してフィリングが出てしまう。生地が乾燥してくっつきにくい場合は水を多めに塗ること。三角形の形が歪んでも味には影響しないので包むことに集中する)

◎揚げる
鍋に揚げ油を深さ5cm程度入れて160℃に熱する。サモサを静かに入れ、低温でじっくりと10〜12分、全体がきつね色になるまで揚げる。途中で裏返しながら均一に色づけする。(サモサは高温で揚げると外側だけが焦げて生地の内部が生焼けになる。160℃の低温でじっくりと揚げることで生地全体が均一にサクサクと仕上がる。油の温度管理がサモサの成功を決定づける最重要ポイント)

◎盛り付ける

インドの定番サモサの完成品 盛り付け画像

揚げたてのサモサを油を切って皿に盛る。コリアンダーチャツネ(パクチー・ミント・青唐辛子・レモン果汁・塩をミキサーにかけたもの)とタマリンドチャツネ(市販品)を小皿に添えて完成。熱々のチャイとともに食べるのがインドの定番スタイル。

料理の歴史と背景

サモサの起源は10〜13世紀の中央アジアに求められ、当時の料理書にはシャムサー(Sanbusaj)という名の三角形の揚げ包み菓子の記述が見られます。シルクロードの交易路を通じてペルシャ・アラブ・中央アジアの商人や軍隊とともに移動し、13〜16世紀にデリースルタン朝・ムガル帝国の時代にインド亜大陸に持ち込まれたとされています。当初は羊の挽き肉・干し果物・ナッツを包んだ贅沢な宮廷スナックとして貴族に食されていたものが、インド大陸の豊かなスパイス文化と融合し菜食主義のヒンドゥー文化の影響を受けてじゃがいもと豆を使う現在の完全菜食スタイルへと変化しました。じゃがいもがインドに普及したのは16世紀以降のポルトガル人によるものであることからサモサの現在の形は17世紀以降に確立されたと考えられており、ムガル帝国の宮廷料理の洗練されたスパイス使いとインドの民間食文化が融合することで生まれた料理として北インドの食文化の歴史的な重層性を体現しています。イギリス植民地時代には植民地政府の関係者やインド人労働者を通じてサモサがアフリカ・カリブ海・東南アジアへと広まり現地の食文化と融合した多様なバリエーションが生まれました。

現代のインドにおいてサモサはデリー・ムンバイ・コルカタ・チェンナイなど全国の街角の屋台・駅のホーム・バス停・学校の売店・結婚式の前菜まであらゆる場所と場面で日常的に食べることができ、インドで最も広く消費されるスナックのひとつとして老若男女すべての生活に根付いています。インドでは毎年1000億個以上のサモサが消費されているという推計があり、この数字がサモサのインド国民食としての圧倒的な普及度を示しています。インド系移民コミュニティが存在するイギリス・アメリカ・カナダ・UAE・南アフリカなど世界各国でもサモサはインド料理を代表するスナックとして定着しており、ロンドンのインド料理店では1970年代からサモサが前菜の定番として提供されてきた歴史があります。日本ではインド料理専門店・カレー専門店・一部のスーパーの総菜コーナーでサモサを提供する店が増えており、パリパリの生地とスパイスが効いたじゃがいもフィリングの組み合わせは餃子や春巻きなど揚げ包み料理文化に親しんだ日本人の味覚にも直感的に理解しやすいスナックとして高い人気を誇っています。

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