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ベトナムの定番カインチュアのレシピ

タマリンドの酸味・トマトの甘み・パイナップルの香りが溶け合う南部ベトナムの酸味スープ。えびや白身魚を使った本格レシピを紹介します。

ベトナムの定番カインチュアのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
30 調理時間
2人前 分量
約280kcal カロリー

材料

  • 白身魚(鱸・鯛など) 200g
  • タマリンドペースト 大さじ2
  • トマト 2個
  • パイナップル 100g
  • さといも茎(またはセロリ) 80g
  • オクラ 3本
  • もやし ひとつかみ
  • ナンプラー 大さじ2+仕上げ用・適量
  • 砂糖 大さじ1
  • 塩 少々
  • 白こしょう 少々
  • 水 1リットル
  • ぬるま湯 200ml(タマリンド溶き用)
  • 青ねぎ 2本
  • パクチー(またはゴック・ガー) 適量
  • ジャスミンライス 適量
  • ライム 1/2個(仕上げ調整用)

カインチュア(Canh Chua)は「酸っぱいスープ」を意味するベトナム南部を代表する家庭料理です。タマリンドの酸味を骨格に、トマト・パイナップル・もやし・さといも茎・オクラを煮込んだ野菜豊富なスープで、甘み・酸味・旨みが高いレベルで共存するベトナム料理らしい複雑な味わいを持ちます。メコンデルタ地帯では川魚を使うのが伝統的で、なまずやスズキに代表される淡水魚の旨みがタマリンドの酸味と溶け合うことで、重くなりすぎず爽やかに仕上がります。えびやイカで作ることも広く行われており、材料の組み合わせは家庭ごとに微妙に異なります。炊きたてのジャスミンライスと一緒に食べるのが南部ベトナムの家庭の基本スタイルで、暑い気候の中でも食が進む理にかなった一皿です。

カインチュアの作り方

◎タマリンドの出汁を作る
タマリンドペースト大さじ2(またはタマリンドの実30g)をぬるま湯200mlに溶かし、漉してタマリンド水を作る。(タマリンドはカインチュアの酸味の要。市販のタマリンドペーストが最も手軽だが、ブロック状のタマリンドをぬるま湯でほぐして漉したものの方が香りが豊かに仕上がる。酸味が足りない場合はライム果汁で補うことができる)

◎スープベースを作る
鍋に水1リットルを入れて中火で沸かし、タマリンド水を加える。ざく切りにしたトマト2個・一口大に切ったパイナップル100g・砂糖大さじ1・ナンプラー大さじ2・塩少々を加えてひと煮立ちさせる。(トマトとパイナップルはカインチュアに甘みとフルーティーな香りを加える重要な食材。パイナップルは缶詰でも代用できるが、フレッシュの方が香りが際立つ)

◎魚を加える
白身魚(鱸・鯛・なまず)を一口大のぶつ切りにし、塩・白こしょう少々をまぶして5分おく。スープに加えて中火で5〜6分、魚に完全に火が通るまで静かに煮る。(魚は煮すぎると崩れやすくなるので、火が通ったらすぐに次の工程へ進む。えびやイカを使う場合も同様に火を通しすぎないことが大切)

◎野菜を加える
さといも茎(またはセロリ)を3cm長さに切って加え、2分煮る。オクラ3本をへたを取って斜め切りにして加え、もやしひとつかみとともにさっとひと煮立ちさせて火を止める。(野菜は食感を残すために入れるタイミングをずらす。さといも茎は火が通るのに時間がかかり、もやしとオクラは余熱で十分なので最後に加える)

◎仕上げる
ナンプラーで最終的な塩加減を整え、味見をしながら酸味が足りなければタマリンドペーストまたはライム果汁を少量加えて調整する。(カインチュアは酸味・甘み・塩気の三つのバランスが命。酸っぱすぎず、甘すぎず、それでいて明確な酸味が感じられる状態が理想。最後の味見を丁寧に行うことが美味しさを決める)

◎盛り付け

ベトナムの定番カインチュアの完成品 盛り付け画像.
深めの器にスープをたっぷり注ぎ、魚・野菜を美しく盛り付ける。仕上げにゴック・ガー(米田七草)またはパクチーをひとつかみのせ、刻んだ青ねぎを散らして完成。ジャスミンライスを添えて一緒に食べる。

料理の歴史と背景

カインチュアはベトナム南部、特にメコンデルタ地帯を流れる豊かな水系に育まれた料理です。メコン川の恵みである淡水魚・川エビ・豊富な野菜を使い、タマリンドという熱帯の酸味料を合わせるスタイルは、この地域の生態系と食文化が直接結びついた産物といえます。タマリンドはインド原産の豆科の植物で、東南アジア全域に広まった後、ベトナム南部ではカインチュアの酸味の主役として欠かせない食材となりました。同じ酸味のスープはタイのゲーンソム・カンボジアのサムラーマチュー・フィリピンのシニガンなど東南アジア各国に存在し、熱帯の暑さの中で食欲を維持するための共通の知恵として広く根付いています。

南部ベトナムの家庭においてカインチュアはほぼ毎日食卓に上る日常のスープであり、ベトナム人にとって「お母さんの味」の筆頭として語られることの多い料理です。具材の組み合わせは地域・家庭・季節によって自由度が高く、川魚を使うメコンデルタスタイル・えびを使うホーチミンスタイル・魚の丸揚げを加えるスタイルなど無数のバリエーションが存在します。近年は日本でもベトナム食材の流通が充実してきており、タマリンドペーストやさといも茎がアジア食材店やオンラインで入手しやすくなりました。酸っぱくて甘くて旨いという重層的な味わいは日本人の口にもよく合い、フォーやバインミーに続くベトナム料理の定番として注目が集まっています。
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