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台湾の定番蚵仔煎(オアチェン)のレシピ

新鮮な牡蠣とサツマイモデンプンの生地を鉄板で焼き上げ卵でとじてスイートチリソースをかける台湾を代表する夜市料理。もちもちとした独特の食感を自宅で再現する本格レシピを、歴史とともに紹介します。

台湾の定番蚵仔煎(オアチェン)のレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
25 調理時間
2人前 分量
約320kcal カロリー

材料

  • 牡蠣(加熱用) 150g
  • サツマイモデンプン(またはタピオカ粉) 大さじ4
  • 水 150ml(生地用)
  • 塩 ひとつまみ
  • 卵 2個
  • 小松菜(または空心菜) ひとつかみ
  • 片栗粉 大さじ1(牡蠣の下処理用)
  • サラダ油 大さじ2
  • 甜辣醤(スイートチリソース) 大さじ3
  • 味噌 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1
  • 水 大さじ2(ソース用)
  • 片栗粉 小さじ1/2(ソース用)
  • パクチー 適量

蚵仔煎(オアチェン・Ô-á-tsian)は台湾語で「牡蠣の卵焼き」を意味する台湾を代表する夜市料理で、新鮮な牡蠣にサツマイモデンプンを水で溶いた半透明のとろとろとした生地を絡めて熱した鉄板の上に広げ、卵を割り入れてかき混ぜながら焼き固め、小松菜または空心菜をのせて仕上げた上にスイートチリベースの特製ソースをたっぷりとかけて提供する、牡蠣の磯の旨みとサツマイモデンプンのもちもちとした独特の食感と甘辛いソースの三位一体が生み出す台湾夜市を象徴する一皿です。蚵仔煎の最大の個性はサツマイモデンプンという台湾独自の食材が熱を加えることで半透明のもちもちとした質感に変化するという食感の魔法にあり、卵の柔らかさと牡蠣の旨みとデンプンのもちもちとした弾力が同時に口の中で展開する食体験は、世界中の牡蠣料理の中でも台湾の蚵仔煎だけが持つ唯一無二の個性として国際的な食通から高い評価を受けています。蚵仔煎の決め手はサツマイモデンプンの生地の水分量を絶妙に調整することで焼いたときにもちもちでありながら鉄板に張り付かない適度な硬さに仕上げることと、牡蠣を生地に加えた後に強火で一気に焼き固めることで牡蠣の旨みを閉じ込めながら外側にわずかな焦げ目をつけることであり、この二つが揃って初めて本場台南の水仙宮市場・台北の士林夜市・高雄の六合夜市の名店が夜ごと提供する一皿の完成度に近づきます。台湾では蚵仔煎は夜市の最も定番な料理のひとつとして18時から深夜にかけて大きな鉄板の上で職人がリズミカルに焼き続けており、地元の高校生から年配の夫婦まで誰もが当たり前のように注文する台湾の夜の食文化の核心的な存在として何世代にもわたって受け継がれており、一皿の蚵仔煎に台湾の海と土地の恵みと夜市という共食の文化が凝縮されています。

蚵仔煎の作り方

◎生地を作る
サツマイモデンプン(タピオカ粉でも可)大さじ4・水150mlをボウルに合わせてよく混ぜて溶かす。塩ひとつまみを加えてよく混ぜておく。(サツマイモデンプンはアジア系食材店で入手できる。タピオカ粉でも近似した食感が出る。片栗粉は代用できるが食感が異なる。生地はとろとろとした半液体状が理想で水分量が多すぎると焼いたときにべたつき少なすぎるとパサつく)

◎特製ソースを作る
甜辣醤(スイートチリソース)大さじ3・味噌大さじ1・砂糖小さじ1・水大さじ2・片栗粉小さじ1/2を小鍋に合わせて弱火で混ぜながら加熱し、とろみがつくまで煮詰める。(台湾の蚵仔煎のソースは甘みと辛みと味噌の発酵の旨みが溶け合った独特の味。市販のスイートチリソースに白味噌を混ぜるだけでも代用できる。ソースはたっぷりかけることで料理全体の甘辛い味わいが完成する)

◎牡蠣を下処理する
牡蠣(加熱用)150gを塩水でやさしく洗って水気をよく切る。片栗粉大さじ1を全体にまぶして再度洗い流すことで臭みを取り除く。キッチンペーパーで水気をよく拭き取る。(牡蠣の臭みを取る工程は省略せずに丁寧に行うこと。新鮮な牡蠣ほど旨みが強く蚵仔煎の完成度を高める。小粒の牡蠣のほうが生地との一体感が生まれやすい)

◎焼き上げる
フライパンまたは鉄板を強火で十分に熱し、サラダ油大さじ2を引く。牡蠣を広げて30秒ほど焼いて表面に焼き色をつける。サツマイモデンプンの生地を牡蠣の上から全体に流しかけ、生地が半透明になるまで1〜2分焼く。卵2個を生地の上に割り入れ、菜箸でかき混ぜながら全体に広げる。小松菜(または空心菜)ひとつかみをのせて蓋をして30秒蒸らす。全体をひっくり返してさらに30秒焼いて皿に盛る。(生地が半透明になるまでしっかりと加熱することがもちもちの食感を引き出す条件。ひっくり返す際は大きなフライ返しを使って一気にひっくり返すこと。卵は完全に固めず半熟状態でひっくり返すのが本場スタイル)

◎盛り付ける

台湾の定番オアチェンの完成品 盛り付け画像

皿に盛った蚵仔煎の上に特製ソースをたっぷりとかける。好みでパクチーを散らして完成。台湾の夜市スタイルでは使い捨ての皿にのせてプラスチックフォークで食べるのが定番だが、家庭では陶器の皿に盛り付けて楽しむ。

料理の歴史と背景

蚵仔煎の起源は台湾南部の台南・嘉義・安平周辺の海岸漁村に求められます。台湾海峡に面した台南は古来から牡蠣の養殖が盛んな土地として知られており、豊富に水揚げされる新鮮な牡蠣を手軽に美味しく食べるための庶民の知恵としてサツマイモデンプンと卵を合わせた料理が生まれたとされています。サツマイモデンプンを使う調理法は台湾に大量のサツマイモが普及した17〜18世紀以降に発展したと考えられており、オランダ統治時代(1624〜1662年)にサツマイモがアメリカ大陸からもたらされて台湾全土に普及したことが蚵仔煎の誕生の歴史的前提となっています。清朝統治時代(1683〜1895年)に台南を中心に漢民族の移民が増加するとともに福建省・広東省の食文化が台湾に持ち込まれ、海産物と卵を使った炒め料理の技法と台湾在来のサツマイモデンプン文化が融合することで蚵仔煎が台南の庶民料理として確立されました。日本統治時代(1895〜1945年)に台湾各地に夜市文化が発展するとともに蚵仔煎は夜市の定番料理として全土に普及し、戦後の台湾経済成長期に夜市が台湾の食文化の中心として繁栄するとともに台湾を代表する夜市料理としての地位を不動のものにしました。

現代の台湾において蚵仔煎は台北・台南・高雄・台中・嘉義など全国の夜市・市場・食堂で夕暮れから深夜にかけて日常的に食べることができ、台湾の夜市文化を象徴する料理として観光客にとっても必食の一皿として定着しています。台南の蚵仔煎は発祥地の誇りを持つ地元民から特に高い評価を受けており、台南旧市街の水仙宮市場周辺には創業数十年の蚵仔煎専門店が集中し食通の巡礼地として国内外から訪問者が絶えません。2008年のCNNの「台湾で食べるべき料理」特集・2019年のニューヨークタイムズの台湾グルメ特集でも蚵仔煎は必ず取り上げられる料理として国際的な評価が定着しており、台湾旅行者がソーシャルメディアに投稿する台湾料理の中で最も拡散される料理のひとつとなっています。日本では台湾料理専門店・夜市スタイルのアジア料理店でで蚵仔煎が提供される機会が増えており、牡蠣料理文化に親しんだ日本人にも直感的に理解しやすい食材でありながらサツマイモデンプンのもちもちとした唯一無二の食感と甘辛いソースの組み合わせが新鮮な驚きをもたらす料理として関心が高まっています。

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