タイの定番トムカーガイのレシピ
ガランガルとレモングラスの香りにやさしいヤシ乳のコクが広がるタイの定番スープ。鶏肉とマッシュルームを使った本格レシピを材料・手順とともに解説します。
材料
- 鶏もも肉 250g
- ガランガル(なければしょうが) 30g
- レモングラス 2本
- コブミカンの葉 4〜5枚
- 赤唐辛子 2本
- しめじ(またはエリンギ) 80g
- ココナッツミルク 400ml
- 鶏がらスープ(または水) 500ml
- ナンプラー 大さじ2
- 砂糖 小さじ1
- ライム 1/2個
- パクチー 適量
- ジャスミンライス 適量
トムカーガイ(ต้มข่าไก่)は「ガランガルと鶏肉のスープ」を意味するタイ料理を代表するココナッツミルクスープです。トムヤムクンが酸味と辛さで刺激的な印象を与えるのに対し、トムカーガイはココナッツミルクの濃厚な甘みとガランガル・レモングラスの上品な香りが前面に出た、穏やかで深みのある味わいが特徴です。ガランガルはしょうがに似た根茎ですが、より樟脳に近い清涼感と土のような香りを持ち、このスープの風味の核を担います。タイでは家庭でもレストランでも日常的に食卓に並ぶ定番中の定番であり、シンプルな材料で驚くほど香り高いスープが完成します。
トムカーガイの作り方
◎香味野菜を準備する
レモングラス2本を斜め薄切りにし、ガランガル(またはしょうが)を薄切りにする。コブミカンの葉は葉脈を取り手でちぎる。赤唐辛子は半分に裂く。(ガランガルはしょうがより繊維が固いため薄めに切るのがポイント。食べるというより香りを抽出するための素材なので、厚切りは避ける)
◎スープのベースを作る
鍋に鶏がらスープ(または水)500mlを入れて中火で沸かし、レモングラス・ガランガル・コブミカンの葉・赤唐辛子を加える。5分ほど煮て香りをしっかり引き出す。(この工程でスープの骨格が決まる。沸騰させすぎず、香りがふわりと立つ程度の火加減を保つ)
◎鶏肉ときのこを加える
一口大にそぎ切りにした鶏もも肉を加え、中火で5〜6分煮る。しめじまたはエリンギ(食べやすく裂く)を加えてさらに3〜4分煮る。(鶏肉はあまり動かさず静かに煮ると、ふんわりとした食感に仕上がる)
◎ジャシミルクを加える
ここでやや火を弱め、ココナッツミルク400mlを加える。沸騰直前まで温めたら、ナンプラー大さじ2・砂糖小さじ1で味を調える。(ココナッツミルクは沸騰させると油分が分離して舌触りが悪くなる。沸騰直前の状態をキープすることがなめらかな仕上がりの鍵)
◎ライムで酸味を加える
火を止める直前にライム果汁大さじ1〜2を加え、ひと混ぜする。(ライムは加熱すると酸味が飛び苦みが出るため、必ず火を止めてから加えること。酸味の量はお好みで調節してよい)
◎盛り付け

深めの器にスープをたっぷり注ぎ、パクチーをのせて完成。ジャスミンライスを添えるか、スープ単体でどうぞ。
料理の歴史と背景
トムカーガイの記録は19世紀後半のタイ宮廷料理の文献に登場しており、もともとはスープというよりハーブと鶏肉を煮た薬膳的な料理として発展したと考えられています。ガランガルは古くから東南アジア全域で消化促進・身体を温める薬草として重宝されており、ココナッツミルクとの組み合わせはタイ中部の宮廷料理師によって洗練されたとされています。トムヤムクンが20世紀に世界的な知名度を獲得した一方、トムカーガイはタイ国内での愛着が特に深く、「母親の味」として語られることの多い家庭料理の代表格です。
タイでは地域によってバリエーションがあり、北部では唐辛子を多めに加えて辛みを強調し、南部ではココナッツミルクの量を増やしてよりこってりとした仕上がりにすることが多い傾向があります。具材も鶏肉に限らず、えびや豆腐・マッシュルームを使ったアレンジが家庭や食堂で広く作られています。1990年代以降、タイ料理が世界各国に浸透するとともにトムカーガイも海外のタイ料理レストランの定番メニューとなり、特にヤシ乳スープが珍しかった欧米では「マイルドで食べやすいタイスープ」として人気を博しました。香りのやさしさと奥行きのある味わいは、タイ料理初心者にとっての入り口となる一方、食べ慣れた人ほどそのシンプルさの奥にある複雑な香りに気づかされる、何度でも食べたくなるスープです。
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