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ベトナムの定番カーコートーのレシピ

キャラメル状に煮詰めたヌクマムの甘辛いタレで魚を土鍋ごと煮込むベトナム南部の家庭料理。ご飯がすすむ本格レシピを詳しく解説します。

ベトナムの定番カーコートーのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
45 調理時間
2人前 分量
約380kcal カロリー

材料

  • 鯖(または鯉・ぶり) 2切れ(約300g)
  • パームシュガー(なければきび砂糖) 大さじ2(カラメル用)+大さじ1(タレ用)
  • ヌクマム(またはナンプラー) 大さじ2
  • にんにく 2片
  • 青唐辛子 1本
  • 白こしょう 少々
  • 塩 少々(下処理用)
  • 水 大さじ1(カラメル用)+100ml(タレ用)
  • 青ねぎ 2本
  • 赤唐辛子 飾り用・適量
  • ライム 1/2個
  • ジャスミンライス 適量

カーコートー(Cá Kho Tộ)は「土鍋で煮た魚」を意味するベトナム南部を代表する煮魚料理です。ヌクマム(魚醤)・砂糖・パームシュガーをカラメル状に煮詰めたタレで魚を土鍋ごと長時間煮込み、甘辛く濃厚な味わいに仕上げます。表面が飴色にてりてりと輝く煮詰まったタレが魚にしっかりと絡み、ご飯の上に乗せてほぐしながら食べると止まらなくなる美味しさです。メコンデルタ地帯では川魚のなまずを使うのが伝統的ですが、鯖・ぶり・鯉など脂ののった魚であれば何でも美味しく仕上がります。調理自体はシンプルですが、カラメルを作る工程と煮詰める火加減が味の決め手で、その奥深さが家庭料理でありながら専門店でも看板料理になる理由です。炊きたてのジャスミンライスと一緒に食べるのが南部ベトナムの家庭の定番スタイルです。

カーコートーの作り方

◎魚を下処理する
鯖(または鯉・ぶり)2切れに塩少々をまぶして10分おき、出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る。(塩をあてることで魚の臭みを引き出して取り除く重要な下処理。水分を残したままだとタレが薄まり、煮崩れの原因にもなる。できれば切り身よりも骨付きの筒切りを使うと旨みが増す)

◎カラメルを作る
土鍋(または厚手の鍋)にパームシュガー大さじ2(なければきび砂糖)と水大さじ1を入れ、中火にかける。砂糖が溶けて濃いアンバー色になるまでかき混ぜずに待ち、縁が焦げ始めたら鍋を揺すって均一に色づかせる。(カラメルはカーコートーの甘みと色の核心。焦がしすぎると苦くなるので、アンバー色になった瞬間に次の工程へ素早く移ること。砂糖が完全に溶けてからは目を離さないこと)

◎タレを作る
カラメルにヌクマム(ナンプラー)大さじ2・砂糖大さじ1・水100mlを加える。このとき激しく跳ねるので注意しながら静かに混ぜ合わせる。すりおろしにんにく2片・薄切りにした青唐辛子1本・白こしょう少々を加えてひと煮立ちさせる。(カラメルに液体を加えると急激に蒸気が上がるため、腕を遠ざけながら加えること。タレはこの段階でやや濃いめの味に仕上げておく。煮込むうちに魚の水分で薄まり、最終的にちょうどよい塩加減になる)

◎魚を加えて煮込む
タレが入った土鍋に下処理した魚を皮目を上にして並べる。中火でひと煮立ちさせてアクをすくったら弱火に落とし、蓋をして20〜25分煮込む。途中で一度だけそっとひっくり返し、タレを全体に絡める。(弱火でじっくり煮込むことが魚に味を浸透させる鍵。強火で煮ると煮崩れてタレが濁る原因になる。ひっくり返すのは一度だけにして魚をなるべく動かさないことが形を保つコツ)

◎煮詰めて仕上げる
蓋を取って中火に上げ、タレが半量以下になりとろりと煮詰まるまで5〜8分かける。魚の表面が飴色にてりてりと輝いたら火を止める。(この最後の煮詰めの工程がカーコートーの見た目の美しさと濃厚な味わいを生む。タレが焦げやすくなるので鍋から目を離さず、鍋を揺すりながら全体に絡める)

◎盛り付け

ベトナムの定番カーコートの完成品 盛り付け画像
土鍋のままテーブルに出すか、器に盛り付ける。小口切りにした青ねぎ・刻んだ赤唐辛子を散らし、炊きたてのジャスミンライスを添えて完成。好みでカットしたライムを添えてもよい。

料理の歴史と背景

カーコートーはベトナム南部、特にメコンデルタ地帯に古くから根付く家庭料理です。「コートー」とはベトナム語で素焼きの土鍋を指し、熱伝導がゆるやかで食材に均一に火が通る土鍋の特性がカーコートーの長時間煮込みに理想的な環境を作り出します。メコンデルタは世界有数の淡水魚の産地であり、豊富な川魚を長持ちさせる保存食として、強い甘辛のタレで煮詰める調理法が発展したとされています。パームシュガーはメコンデルタで広く栽培されるヤシから採れる天然の砂糖で、カーコートーの独特の深みのある甘みと美しい飴色はパームシュガーなしには生まれません。発酵魚醤であるヌクマムとパームシュガーという、ベトナム南部の二大調味料が組み合わさったこの料理は、メコンデルタという土地の食文化の結晶といえます。

南部ベトナムの家庭においてカーコートーは最も日常的なおかずのひとつで、大きな土鍋で作り置きして数日かけて食べ続けるスタイルが一般的です。煮詰まるほどに味が濃くなり旨みが凝縮されるため、翌日・翌々日とむしろ時間が経つほど美味しくなるとされています。南部ベトナムの食卓には炊きたてのご飯とカーコートー、カインチュアの酸味スープという組み合わせが定番として根付いており、この三点セットはベトナムの家庭料理の原型のひとつとして語られます。近年は日本でもヌクマムやパームシュガーがアジア食材店やオンラインで入手しやすくなり、本格的なカーコートーを家庭で再現できる環境が整ってきました。甘辛く煮詰めた飴色の煮魚という味わいの方向性は日本の煮魚文化とも通じる部分があり、初めて食べたベトナム料理がカーコートーだったという日本人も少なくありません。
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