アフリカ

アンゴラの定番ムアンバのレシピ

鶏肉をパームオイル・ニンニク・オクラ・カボチャとともに長時間煮込む、アンゴラを代表するパームオイル文化の真骨頂。独特の赤みと芳醇な香りを持つ濃厚なソースと、ご飯またはフンジ(キャッサバのポレンタ)との組み合わせを歴史とともに紹介します。

アンゴラの定番ムアンバのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
90 調理時間
4人前 分量
約560kcal カロリー

材料

  • 鶏もも肉(骨付き) 800g
  • パームオイル(デンデ油) 大さじ4+小さじ1(仕上げ用)
  • 玉ねぎ 2個
  • ニンニク 9片(下味用5片・ベース用4片)
  • スコッチボネットチリ(なければ赤唐辛子) 1〜2本
  • トマト 3個(またはカットトマト缶300g)
  • カボチャ 300g
  • オクラ 200g
  • チキンストック(またはお湯) 400ml
  • ベイリーフ 2枚
  • タイム 小さじ1
  • パプリカパウダー 小さじ1
  • 黒こしょう 小さじ1
  • レモン汁 大さじ1
  • 塩 適量
  • コリアンダーリーフまたはパセリ 適量
  • 【フンジ】
  • キャッサバ粉(またはコーングリッツ) 200g
  • 水 700ml

ムアンバ・デ・ガリーニャ(Muamba de Galinha)はアンゴラを代表する鶏肉の煮込み料理で、骨付き鶏肉をパームオイル(デンデ油)・ニンニク・唐辛子・トマトで作った赤みがかったベースに、オクラ・カボチャとともに加えてじっくりと煮込むことでパームオイルの芳醇な香りと旨みが鶏肉の骨からにじみ出た出汁と完全に溶け合い、オクラの粘りがソース全体にとろみを加えた濃厚でコクのある深みのある一品に仕上がる、ルアンダをはじめアンゴラ全土の家庭の食卓・レストラン・祝いの席で老若男女に愛される国民食です。ムアンバ最大の個性はパームオイルが持つ植物性の芳醇な香りと鮮やかな赤みにあり、この赤いオイルが鶏肉・野菜・スパイスと長時間煮込まれることで生まれるソースの複雑なコクはオリーブオイルやサラダ油では決して代替できない西・中部アフリカ料理特有の深みとして、アンゴラの食文化の中心に位置しています。ムアンバの決め手は鶏肉をパームオイルと塩・ニンニクで下味をつけてから高温でしっかりと表面を焼き付けて旨みを閉じ込めることと、オクラを後半に加えてとろみを引き出しながら煮込み過ぎずに食感を残すことであり、この二つが揃って初めてルアンダの家庭やアンゴラの田舎の食堂で食べるムアンバの力強い旨みと食感のバランスに近づきます。アンゴラではムアンバはご飯・フンジ(キャッサバ粉または白とうもろこし粉のポレンタ状の主食)・カラリュー(キャッサバの葉の煮物)などと組み合わせて食べるのが伝統的なスタイルで、大きな鍋から家族全員が手を伸ばして取り分けながら食べる共食の場はアンゴラのコミュニティの絆を深める最も身近で重要な食の場面として世代を超えて大切にされています。

ムアンバの作り方

◎鶏肉に下味をつける
鶏もも肉(骨付き)800gを一口大に切る。ニンニク5片をすりおろし、塩小さじ1と1/2・黒こしょう小さじ1・パプリカパウダー小さじ1・レモン汁大さじ1とともに鶏肉全体によく揉み込み、密閉袋またはラップをかけて冷蔵庫で最低1時間、できれば一晩漬け込む。(骨付き肉を使うことで長時間の煮込み中に骨から旨みがにじみ出てソースが格段に濃厚になる。一晩漬け込むとスパイスが肉の内部まで浸透して風味が深まる。レモン汁は肉の臭みを取るとともに肉質をやわらかくする働きをする。鶏もも肉の代わりに丸鶏を8等分にしたものを使うと、より本場に近い仕上がりになる)

◎鶏肉を焼き付けてベースを作る
大きめの厚底鍋にパームオイル(デンデ油)大さじ4を中火で熱し、下味をつけた鶏肉を2〜3回に分けて全面にこんがりとした焼き色がつくまで4〜5分ずつ焼き付けて取り出す。同じ鍋に玉ねぎ2個(薄切り)を加えて8〜10分炒め、ニンニク4片(みじん切り)・スコッチボネットチリ(なければ赤唐辛子)1〜2本を加えてさらに2分炒める。トマト3個(粗みじん)またはカットトマト缶300gを加えて木べらで潰しながら中火で10〜12分、トマトの水分が飛んでペースト状になるまでしっかりと炒め煮にする。(パームオイルは常温では固体または半固体の状態のため、加熱すると溶けて液状になる。パームオイルはアフリカ食材店・東南アジア食材店・ネット通販で入手できる。代替として赤パームオイル(レッドパームオイル)を使うと色と香りが最もムアンバに近くなる。トマトはしっかりと炒め煮にして水分を飛ばすことが旨みの濃縮に欠かせない工程。手を抜かないこと)

◎野菜を加えてじっくり煮込む
炒め煮にしたベースに焼き付けた鶏肉を戻し入れ、チキンストック(またはお湯)400ml・ベイリーフ2枚・タイム小さじ1を加えてよく混ぜる。蓋をして中火でひと煮立ちさせてから弱火に落とし、30分煮込む。カボチャ300g(3〜4cm角)を加えてさらに15分煮込む。オクラ200g(ヘタを取り除いて2〜3cm幅)を加え、蓋を少し開けてさらに10〜15分、オクラがやわらかくなりソースにとろみがついたら塩で味を調えて完成。(オクラは必ず最後の15分以内に加えること。早く加えすぎると煮崩れてとろみが出すぎてしまう。カボチャは日本の栗かぼちゃで代用できる。煮込み中にパームオイルが表面に浮き出てくるが、これは正常な状態でムアンバの旨みの証。取り除かずにそのままにしておくこと。仕上げにパームオイルを小さじ1追加すると香りがさらに引き立つ)

◎フンジ(キャッサバのポレンタ)を作る
キャッサバ粉200g(またはコーングリッツ200g)を水100mlで溶いておく。鍋に水600mlを入れて強火で沸騰させ、溶いたキャッサバ粉を少しずつ加えながら木べらで素早くかき混ぜる。弱火にしてダマがなくなるまで5〜7分、もちもちとした塊になるまで練り上げる。(フンジはムアンバと最も相性のよい主食。キャッサバ粉はアフリカ食材店・アジア系スーパー・ネット通販で入手できる。コーングリッツまたはポレンタ粉でも代用できる。フンジが入手・作成困難な場合は白飯でも美味しく食べられる。フンジは作りたての熱いうちに供すること)

◎盛り付け

アンゴラの定番ムアンばの完成品 盛り付け画像
深めの皿にムアンバをたっぷりとよそい、フンジまたは白飯を添える。コリアンダーリーフまたはパセリを散らして仕上げる。カラリュー(キャッサバの葉の煮物)を添えるのがアンゴラの伝統的な盛り合わせスタイル。(ムアンバは翌日以降にスパイスとパームオイルの旨みがさらに馴染んで深まるため、前日に作り置きして温め直すのがおすすめ。フンジをスプーンで丸めてムアンバのソースに浸しながら食べるのがアンゴラの食べ方。パームオイルのソースをフンジやご飯に絡ませながら食べることで一体感のある美味しさが生まれる)

料理の歴史と背景

ムアンバの起源はバントゥー語族の食文化が広がる中部・西部アフリカのパームオイル料理の系譜に遡ります。アブラヤシはギニア湾岸を中心とした西・中部アフリカ原産の植物で、その実から採取されるパームオイルは数千年にわたって西・中部アフリカの料理文化の根幹をなす油として使われ続けてきました。現在のアンゴラの地に暮らしていたバントゥー系の人々は古くから鶏肉・川魚・野菜をパームオイルとともに煮込む料理を日常的に作っており、これがムアンバの原型とされています。16世紀以降のポルトガルによるアンゴラ植民地支配の時代には、ポルトガル人がアメリカ大陸から持ち込んだトマト・唐辛子・カボチャがアンゴラの在来の料理文化に加わることで、現在のムアンバにみられるトマトベース・チリの辛みという要素が加わったとされています。またポルトガルの大航海時代とその後の奴隷貿易を通じて、アンゴラを含む西・中部アフリカのパームオイル料理文化はブラジル・カリブ海地域にも持ち込まれ、ブラジルのムケカ(Moqueca)やカリブのシチューにその影響を見ることができます。

現代のアンゴラにおいてムアンバは首都ルアンダをはじめビエ・ウアンボ・ベンゲラなど全国の家庭・食堂・レストランで日常的に食べられており、アンゴラを訪れる外国人旅行者がまず注文するアンゴラ料理の筆頭として国際的な認知度を高めています。1975年のポルトガルからの独立後も長く内戦が続いたアンゴラ(内戦終結は2002年)において、ムアンバはどの民族・地域・階層にも共通する食文化の象徴として人々の日常生活を支え続けてきました。2002年の内戦終結後の急速な経済成長とともにルアンダのレストランシーンが発展するなかで、ムアンバは「アンゴラを代表する国民食」として国際的なアフリカ料理ガイドにも登場するようになり、アフリカ料理に関心を持つ世界中のフードライターや旅行者から注目を集めています。日本ではアフリカ料理への関心の高まりとともにアンゴラ料理が紹介される機会が少しずつ増えており、パームオイルの芳醇な香りとオクラのとろみが一体となったムアンバの濃厚なソースは、これまでの日本の煮込み料理文化にない強烈な個性を持つ料理として食の冒険好きな日本人の間で関心を集めています。

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