ウガンダの定番マトケのレシピ
青バナナを皮ごと蒸して潰したウガンダの国民食マトケ。シチューのように仕立てたグラウンドナッツソースや牛肉の煮込みと合わせて食べる、東アフリカ料理の入門となる一皿の本格レシピを紹介します。
材料
- 青バナナ(調理用・プランテン可) 8本
- 塩 適量
- バナナの葉(なければアルミホイル) 適量
- 【グラウンドナッツソース】
- ピーナッツバター(無糖) 大さじ4
- 玉ねぎ 1個
- トマト 2個
- ニンニク 2片
- 水 200ml
- サラダ油 大さじ2
- 塩 少々
- パクチーまたはネギ 適量
マトケ(Matoke)はウガンダの国民食であり、東アフリカ内陸部の食文化を語る上で欠かせない料理だ。熟していない青バナナ(調理用バナナ)を皮ごとバナナの葉で包んで蒸し、潰してクリーム状に仕上げる——その見た目はマッシュポテトに近く、味はほんのりとした甘みと澱粉質の柔らかさを持つ。主食として単独で食べられることはなく、グラウンドナッツ(落花生)のソースや牛肉・山羊肉の煮込みと必ずセットで提供される。ウガンダではマトケを出せない家庭は「豊かではない」とみなされた時代があったほど、この料理は単なる食事を超えた文化的・社会的な意味を持つ。バナナの葉が手に入らなくても、アルミホイルで代用して自宅で本格的なマトケを再現できる。
マトケの作り方
◎青バナナを準備する
調理用の青バナナ(プランテンでも可)8本の皮を厚めにむく。皮をむいたバナナはすぐに変色するため、むいたそばから塩水(水1Lに塩小さじ1)に浸けておく。(必ず緑色の硬い青バナナを使うこと。黄色く熟したものは甘みが強くなりすぎてマトケ本来の風味にならない。日本ではプランテンをアジア系食材店で入手できる。皮をむく際は手が黒くなりやすいため手袋をするとよい)
◎バナナの葉またはアルミホイルで包んで蒸す
水気を切った青バナナをバナナの葉(入手できない場合はアルミホイル)で隙間なく包む。蒸し器に入れて強火で40〜50分、バナナがフォークで簡単に刺さるほど柔らかくなるまで蒸す。(蒸している間に水が少なくなったら足す。アルミホイルで包む場合は二重にすると蒸気が漏れにくい。バナナの葉で包むと葉の香りがほんのりとバナナに移り、より本場の風味に近づく)
◎蒸し上がったバナナを潰す
蒸し上がったバナナを葉またはホイルから取り出し、木製のスプーンまたはマッシャーで滑らかになるまで潰す。塩少々で味を調える。ウガンダでは専用の木のスプーン(エンセンベ)を使って同じ鍋の中で叩くように潰すのが伝統スタイルだ。(なめらかなクリーム状に仕上げるのが正式だが、少し粒感を残してもよい。バターを少量加えるとよりコクが出る)
◎グラウンドナッツソースを作る
フライパンにサラダ油大さじ2を熱し、みじん切りにした玉ねぎ1個を中火で10分炒める。トマト2個(みじん切り)・ニンニク2片(すりおろし)を加えてさらに5分炒め煮にする。ピーナッツバター大さじ4・水200ml・塩少々を加えてよく混ぜ、弱火で5〜7分、全体がなじんでとろみがつくまで煮る。仕上げにパクチーまたはネギを散らす。(ピーナッツバターは無糖・無添加のものを選ぶ。サラサラしたタイプより粒入りの方が食感のアクセントになる。牛肉や鶏肉を一緒に加えて煮込むと、よりボリュームのあるメインのおかずになる)
◎盛り付ける

盛り付けたマトケ
潰したマトケを大皿または深めの器にこんもりと盛り、グラウンドナッツソースをかけるかまたは隣に添える。手で丸めてソースにつけながら食べるのが東アフリカ伝統のスタイル。スプーンで食べる場合は一口ずつソースとともにすくって食べる。
料理の歴史と背景
マトケに使われる調理用バナナ(エンサガラ種)はウガンダのバガンダ族の農業文化と深く結びついており、その栽培の歴史は少なくとも数百年前にさかのぼる。ビクトリア湖周辺の豊かな土壌と温暖湿潤な気候はバナナの栽培に極めて適しており、ウガンダ南部のブガンダ王国では調理用バナナが主食として王族から農民まですべての階層の食卓を支えてきた。「マトケ」という言葉はバガンダ族の言語・ルガンダ語で調理用バナナそのものを指す言葉が料理名として定着したもので、バナナと料理が不可分な関係にあることを示している。19世紀にブガンダ王国を訪れたヨーロッパの探検家たちの記録にもバナナを蒸して潰す料理の描写が残されており、当時すでに王宮の饗宴料理として位置づけられていたことがわかる。
独立後のウガンダでもマトケはバガンダ族にとってのアイデンティティの象徴であり続け、国内の他民族(アチョリ族・ランゴ族・アンコーレ族など)の主食がキャッサバ・ミレット・サツマイモであるのに対し、バナナ地帯の南部ウガンダではマトケが圧倒的な主食の地位を占めている。ウガンダ政府は2000年代以降、マトケを国家的な農業・食文化遺産として保護・振興する政策を取っており、2022年にはウガンダの「マトケ食文化」がユネスコの無形文化遺産申請候補として議論されたこともある。首都カンパラの市場では朝から大量のマトケが取引され、家庭・レストラン・路上の食堂を問わずウガンダの食卓に欠かせない一皿として今日も変わらず食べ続けられている。
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