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中央アフリカ共和国の定番フフのレシピ

キャッサバ粉を熱湯で練り上げてもちもちと弾力のある塊に仕上げる、中央アフリカ共和国をはじめ中部・西部アフリカ全域の食卓に欠かせない主食。スープやシチューと一緒に手でちぎって食べる共食の文化を、歴史とともに紹介します。

中央アフリカ共和国の定番フフのレシピ
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郷土レシピ.com代表

材料

  • キャッサバ粉(または乾燥キャッサバ粉) 300g
  • 水 700ml(生地用)+適量(硬さ調整用)
  • 【相性のよいスープ:グンボ(オクラスープ)】
  • オクラ 200g
  • 水 300ml
  • 玉ねぎ 1個
  • ニンニク 2片
  • パームオイル(なければサラダ油) 大さじ3
  • スモークフィッシュまたは干し魚 適量
  • トマト 1個
  • 塩・唐辛子 各適量

フフ(Fufu)は中央アフリカ共和国をはじめコンゴ民主共和国・カメルーン・ナイジェリア・ガーナなど中部・西部アフリカ全域で日常的に食べられている主食で、キャッサバ粉(または乾燥キャッサバ粉・ヤム芋粉・プランテン粉など地域によって異なる原料)を熱湯に加えながら木べらで力強くかき混ぜて練り上げることで表面はなめらかで内部はもちもちとした弾力のある大きな塊に仕上がる、中央アフリカ共和国のバンギをはじめ農村・都市を問わず朝昼晩の食卓に欠かせない最も基本的な主食です。フフ最大の個性は小麦粉のパンや米のご飯とはまったく異なるキャッサバ由来のもちもちとした弾力と、ほのかに残るキャッサバの発酵した酸みにあり、この独特の食感と風味がグンボ(オクラスープ)・ムワンバ(パームオイルのシチュー)・カンガ(魚のスープ)などの濃厚なソースやスープと組み合わさることで生まれる一体感はアフリカ大陸の食文化の中でも最も普遍的な美味しさとして大陸全土の人々に深く愛されています。フフの決め手は熱湯を少しずつ加えながら絶えず力強く練り続けることで生地に充分なコシとなめらかさを与える工程と、塊の表面に気泡やひび割れが一切ない均一になめらかな状態に仕上げることであり、この二つが揃って初めて中央アフリカ共和国の家庭で食べるフフの本来の食感に近づきます。中央アフリカ共和国ではフフは手でちぎって小さく丸め、スープやシチューに浸してから口に運ぶ「ちぎって浸す」という食べ方が唯一の正しいスタイルとされており、フォークやスプーンを使わずに右手だけで食べながら家族や友人と大皿を囲む共食の場はコミュニティの絆を深める最も重要な日常の儀式として世代を超えて受け継がれています。

フフの作り方

◎材料と道具を準備する
キャッサバ粉(またはキャッサバ澱粉)300gをボウルに計量する。大きめの厚底鍋に水700mlを入れて強火にかけ、完全に沸騰させる。木べら(または頑丈なシリコンへら)と清潔な台ふきんを手元に用意する。(キャッサバ粉はアフリカ食材店・一部のアジア系スーパー・ネット通販で入手できる。「ガリ(Gari)」と表示されている粗挽きのキャッサバ粉でも作れるが、細かく挽いた白いキャッサバ粉のほうがなめらかな仕上がりになる。道具は重い木べらが最適。シリコンへらでも代用できるが、長時間の練り作業に耐えられる頑丈なものを選ぶこと。鍋は厚底でないと底が焦げやすいため注意)

◎粉を溶かして初期の生地を作る
沸騰した湯の火を中火に落とし、キャッサバ粉の半量(150g)をゆっくりと鍋に加えながら木べらで素早くかき混ぜる。全体がひとまとまりになってきたら残りの粉を少しずつ加えながらさらによく混ぜ合わせる。生地が硬くなってきたら熱湯を大さじ1〜2ずつ足しながら、耳たぶよりやや硬い程度のかたさになるまで中火で練り続ける。(粉は一度に全量加えると鍋底にダマができて均一に混ざらないため、必ず少量ずつ加えること。生地の硬さは使用するキャッサバ粉の種類・産地・水分含有量によって変わるため、水の量はあくまでも目安。耳たぶよりやや硬い程度が最初の目標だが、この後の練り工程でさらに調整できる)

◎力強く練り上げる
生地がひとまとまりになったら弱火にし、木べらを使って鍋の底から大きくすくうように返しながら力強く10〜15分練り続ける。生地の表面が鍋底から完全に離れてひとつの滑らかな塊になり、木べらを引き抜いたときに糸を引かずにスッと離れる状態になるまで練り続ける。仕上げに濡らした手で生地を数回たたいて表面をなめらかに整える。(練り作業はフフ作りで最も体力を使う工程。生地が鍋底にくっつきやすいため、常に底からすくい上げるように混ぜること。焦げつきそうになれば水を少量足す。表面がなめらかでツヤのある状態が仕上がりの目安。家庭によっては二人がかりで交互に練る。フードプロセッサーは使えないが、スタンドミキサーのドウフックアタッチメントで代用することも可能)

◎成形して盛り付ける

中央アフリカ共和国の定番フフの完成品 盛り付け画像

盛り付けたフフ
濡らした手またはぬらした器を使って生地を丸く整形し、大きめのボウルに水を張った中にひとつずつ入れて形を整える。盛り付ける直前に取り出して皿の中央に置き、スープまたはシチューとともに出す。人数分に合わせて一人あたり拳大ひとつ分を目安に取り分ける。(フフは作りたての熱いうちが最もやわらかくて食べやすい。時間が経つと表面が固くなるため、食卓に出したらすぐに食べ始めること。残ったフフはラップで包んで冷蔵庫で保存し、翌日は湯煎または電子レンジで温め直すとある程度やわらかさが戻る。食べるときは右手の指先で小さくちぎって丸め、スープに浸して口に運ぶのが中央アフリカの伝統的な食べ方)

◎相性の良いスープ:グンボ(オクラスープ)の簡単な作り方
オクラ200gを小口切りにして水300mlとともに10分煮てとろみを出す。玉ねぎ1個(みじん切り)・ニンニク2片をパームオイル(なければサラダ油)大さじ3で炒め、スモークフィッシュ(またはシュリンプ)・トマト1個・塩・唐辛子を加えて5分煮込み、煮たオクラを加えてさらに5分煮る。(グンボはフフと最も相性のよいスープのひとつ。オクラの粘りがフフをスープに絡ませる橋渡しをする。パームオイルは東南アジア食材店・アフリカ食材店で入手できる。スモークフィッシュはスモークサーモンや干し魚で代用可能)

料理の歴史と背景

フフの起源はキャッサバがアフリカに持ち込まれた歴史と不可分に結びついています。キャッサバはもともと南アメリカ原産の作物で、16世紀にポルトガルの奴隷貿易船によって西アフリカ・中部アフリカに持ち込まれました。乾燥した土地でも育ち・高いカロリーを持ち・加工して長期保存できるというキャッサバの特性は、中央アフリカの熱帯雨林地帯の農業環境に驚くほど適合し、またたく間にコンゴ盆地・中央アフリカ一帯の主要作物として定着しました。フフ自体の調理法(粉を熱湯で練り上げて弾力のある塊を作る技法)はキャッサバが伝わる以前からヤム芋やバナナを用いて行われていた在来の調理文化に由来するとされており、16〜17世紀にキャッサバが普及するとともに同じ技法がキャッサバ粉に適用されて現在のフフの形が確立したと考えられています。バントゥー語族の言語圏に広くまたがる「フフ」という名称は、練る際の「フフフフ」という音や息づかいに由来するという説と、バントゥー語で「粉」または「食物」を意味する語根に由来するという説が並立しており、いずれにせよこの名が中部・西部アフリカの広大な地域で共有されていることがフフの文化的な広がりを示しています。

現代の中央アフリカ共和国においてフフは首都バンギをはじめオボ・バンバリ・カルノなど全国の家庭で朝昼晩の主食として食べられており、グンボ(オクラスープ)・ムワンバ(パームナッツのシチュー)・カバ(落花生スープ)・カンガ(魚スープ)など地域ごとに異なる豊かなスープ・シチュー文化とともに中央アフリカの食の根幹を担っています。長年にわたる政情不安・紛争・食料不安という厳しい状況下でも、安価で高カロリーなキャッサバを原料とするフフは中央アフリカ共和国の人々の食生活を支え続けており、フフを囲む共食の場は困難な時代においても家族とコミュニティの絆をつなぐ最も身近な文化的実践として機能しています。近年は在外中央アフリカ人コミュニティがフランス・ベルギー・アメリカなどに広がるにつれてフフとともに育った味の記憶がディアスポラの文化的アイデンティティの核として大切にされており、SNSを通じた故郷の味の発信が中央アフリカ料理を世界に紹介する役割を果たしています。日本ではアフリカ料理への関心の高まりとともにフフを提供するアフリカ系レストランが都市部に登場しており、もちもちとした弾力のある食感と手でちぎって食べるというスタイルの新鮮さがアフリカ料理の入口として日本人の関心を集めています。

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