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マレーシアの定番アヤムレンダンのレシピ

レモングラス・ガランガル・ターメリックのペーストで鶏肉をヤシ乳とともに長時間煮詰めるマレーシアの祝祭料理。本格レシピを紹介します。

マレーシアの定番アヤムレンダンのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
80 調理時間
2人前 分量
約560kcal カロリー

材料

  • 鶏もも肉(骨付きぶつ切りまたは骨なし) 600g
  • ココナッツミルク 400ml
  • 水 100ml
  • レモングラス 3本(ペースト用)+2本(煮込み用)
  • ガランガル 20g(ペースト用)
  • ターメリック 10g(またはターメリックパウダー小さじ1)
  • シャロット 5個(ペースト用)
  • にんにく 4片(ペースト用)
  • 乾燥赤唐辛子 5本
  • 生の赤唐辛子 2本
  • ケラス(ヤシの実の炒り粉) 大さじ3
  • コブミカンの葉 6〜8枚+飾り用・適量
  • ターメリックリーフ 2枚(入手できれば)
  • 砂糖 大さじ1(煮込み用)+少々(仕上げ用)
  • 塩 小さじ1(煮込み用)+少々(仕上げ用)
  • ナンプラー(またはブドゥ) 大さじ1
  • サラダ油 大さじ3
  • 赤唐辛子 飾り用・適量
  • ジャスミンライス(またはナシレマのライス) 適量

アヤムレンダン(Ayam Rendang)は「鶏肉のレンダン」を意味するマレーシアを代表する料理で、スパイスペーストと鶏肉をココナッツミルクとともに水分が完全に飛ぶまで長時間煮詰める「乾式カレー」の傑作です。「アヤム」は鶏、「レンダン」はインドネシア・ミナンカバウ族発祥の乾式調理法を指します。スープ状の一般的なカレーと異なり、レンダンは水分を意図的に完全に飛ばして濃厚なスパイスペーストを肉の表面に絡みつかせる調理法で、煮詰めていく過程でココナッツミルクの脂肪分が分離してスパイスを揚げ炒める効果が生まれ、香ばしさと複雑な旨みが凝縮された唯一無二の仕上がりになります。レンダンの香りの決め手はケラス(ヤシの実の炒り粉)とターメリックリーフの二つで、これらがなければ本場の香りには近づけません。マレーシアではイド・フィトリ(断食明けの祝日)やハリラヤの祝いの席に欠かせない料理として特別な位置を占めており、大家族が集まる祝祭の食卓の中心に必ずレンダンが置かれます。手間と時間を惜しまない長時間の煮詰め作業の果てに生まれる褐色に輝く鶏肉は、マレーシアの食文化の豊かさと奥深さを体現する一皿です。

アヤムレンダンの作り方

◎レンダンペーストを作る
レモングラス3本(薄切り)・ガランガル20g(薄切り)・ターメリック10g(薄切り、またはターメリックパウダー小さじ1)・シャロット5個・にんにく4片・乾燥赤唐辛子5本(水で戻す)・生の赤唐辛子2本をミキサーまたはすり鉢でなめらかなペースト状になるまで撹拌する。(レンダンペーストは風味のすべての土台。乾燥と生の赤唐辛子を両方使うことで辛みに奥行きが生まれる。ミキサーを使う場合はサラダ油大さじ1を加えると撹拌しやすくなる。レモングラスは外側の硬い皮を剥いて白い柔らかい部分だけを使う)

◎ケラスを準備する
ケラス(ヤシの実の炒り粉)大さじ3をフライパンで香ばしい香りが立つまで弱火で3〜4分空炒りする。(ケラスはレンダン最大の個性を決定づける食材で、煮詰めた際のとろみと独特の香ばしさの源。日本では製菓材料店やアジア食材店で入手できる。なければ乾煎りしたデシケートコーンフレークを細かく砕いたものや、乾煎りしたすりごまで代用できるが風味は異なる)

◎ペーストを炒める
厚手の鍋またはウォックにサラダ油大さじ3を中火で熱し、レンダンペーストを加えて5〜6分じっくり炒める。香りが立ってペーストの水分が飛び、油が分離して鮮やかな赤みがかった色になったら次の工程へ進む。(ペーストをしっかり炒めることが生臭さを消してスパイスの香りを最大限に引き出す最重要工程。焦げないよう木べらで絶えず混ぜながら炒める。ここを丁寧に行うかどうかがレンダンの仕上がりを決定づける)

◎鶏肉を加える
鶏もも肉600g(骨付きぶつ切りが理想、または骨なしひと口大切り)を加えて中火で4〜5分炒め合わせる。鶏肉の表面全体が白くなりペーストがしっかり絡んだら次の工程へ進む。(骨付きのぶつ切りを使うとスープに旨みが増し長時間煮詰めても肉が崩れにくくなる。ペーストを鶏肉全体にしっかり絡めながら炒めることでスパイスが肉の内部まで浸透しやすくなる)

◎ココナッツミルクを加えて煮込む
ココナッツミルク400ml・水100ml・コブミカンの葉6〜8枚(葉脈を除く)・ターメリックリーフ2枚(なければ省く)・レモングラスの茎2本(叩いてつぶす)・砂糖大さじ1・塩小さじ1を加えてよく混ぜ合わせ、強火でひと煮立ちさせる。アクを丁寧にすくってから中火に落とし、蓋をせずに煮詰め始める。(ターメリックリーフは生葉が入手できれば加えることで本場の香りが格段に増す。コブミカンの葉は多めに加えるほど香りが豊かになる。蓋をしないことが水分を飛ばす必須条件)

◎水分を飛ばして煮詰める
中火のまま40〜50分、時折かき混ぜながら煮詰める。スープがなくなりココナッツミルクの脂肪分が分離してペーストを揚げ炒めるような状態になったら弱火に落とし、さらに10〜15分かき混ぜながら鶏肉の表面にペーストを絡みつかせる。全体が深い褐色になり鶏肉の表面がつやつやした状態になったら完成。(この最後の「揚げ炒め」の工程がレンダン最大の特徴で、ココナッツミルクの脂肪でスパイスが炒められることで香ばしさが凝縮される。焦げやすいので弱火で絶えずかき混ぜながら丁寧に仕上げること。水分が飛ぶタイミングは使う鶏肉の量と火力によって変わるので、スープの量を目で確認しながら火加減を調節する)

◎ケラスを加えて仕上げる
空炒りしたケラスを加えて全体をよく混ぜ合わせる。ナンプラー(またはマレー式の魚醤・ブドゥ)大さじ1・砂糖・塩で最終的な味を整えて火を止める。(ケラスは最後に加えることでとろみと香ばしさが加わり、レンダンのソースが鶏肉にしっかりと絡みつく仕上がりになる。焦げやすいので加えたら素早く混ぜ合わせて火を止めること)

◎盛り付け

マレーシアの定番アヤムレンダンの完成品 盛り付け画像
器に盛り、コブミカンの葉のせん切りと赤唐辛子の薄切りを彩りよく散らして完成。炊きたてのジャスミンライスまたはナシレマのライスと一緒に食べる。翌日以降は味がさらに馴染んでより美味しくなる。

料理の歴史と背景

レンダンの起源はインドネシア・スマトラ島のミナンカバウ族にあるとされており、17〜18世紀にかけてミナンカバウ族がマレー半島に渡って定住する過程でレンダンの調理技術がマレーシアに伝わったとされています。水分を意図的に飛ばして肉を長時間スパイスとともに煮詰めるという調理法は、冷蔵技術がなかった時代に熱帯気候の中で食品を長期間保存するための実用的な知恵として発展しました。水分が完全に飛んだ乾式レンダンは常温で数日から1週間程度保存でき、儀礼や祝祭の場に大量に作り置いて振る舞うためにも適していたことから、ハリラヤ・イド・フィトリなどの祝祭料理として定着していきました。マレーシアのレンダンがインドネシアのオリジナルと異なる独自のスタイルに発展した最大の要因はケラスとコブミカンの葉の使い方で、これらの食材がマレーシアのレンダンに他にはない香りと食感の層を生み出しています。

2011年にCNNが発表した「世界で最も美味しい料理50選」でレンダンが1位に選ばれたことは、マレーシアとインドネシア両国でレンダンに対する誇りを改めて高め、国際的な注目を集めるきっかけになりました。現代のマレーシアではレンダンはイド・フィトリの祝いの食卓に欠かせない料理として受け継がれるとともに、日常的な家庭料理としてもナシカンダル店・マンミー店・マレー料理屋台で年間を通じて提供されています。クアラルンプールやペナンのレストランでは牛肉・鶏肉・鴨肉・イカなど様々な食材を使ったレンダンが提供されており、それぞれのシェフや地域によって微妙にスパイスの配合と煮詰めの度合いが異なります。日本ではマレーシア料理への関心の高まりとともにアヤムレンダンを提供する料理店が増えており、深い褐色に輝く鶏肉とスパイスの凝縮した香りは日本の煮物文化に慣れた日本人の感性にも深く響く料理として評価が高まっています。

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