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カンボジアの定番サムローカリーのレシピ

レモングラス・ガランガル・ターメリックを効かせたクメールカレーペーストで鶏肉とさつまいもを煮込む。カンボジアの家庭の味を自宅で再現するレシピです。

カンボジアの定番サムローカリーのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
45 調理時間
2人前 分量
約490kcal カロリー

材料

  • 鶏もも肉 400g
  • ココナッツミルク 400ml
  • 水 200ml
  • さつまいも 1本(200g)
  • いんげん 10本
  • レモングラス 2本(クルーン用)
  • ガランガル 15g(クルーン用)
  • ターメリック 10g(またはターメリックパウダー小さじ1)
  • コブミカンの皮 1個分+葉4〜5枚(仕上げ用)
  • シャロット 3個(クルーン用)
  • にんにく 3片(クルーン用)
  • 乾燥赤唐辛子 2本
  • プラホック(発酵魚ペースト) 小さじ1(またはナンプラー大さじ1)
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 少々
  • サラダ油 大さじ2
  • 赤唐辛子 飾り用・適量
  • ジャスミンライス(またはバゲット) 適量

サムローカリー(សម្លការី)は「カレーのスープ」を意味するカンボジアを代表するカレー料理です。タイのカレーとも異なる独自のクメールカレーペーストをベースに、鶏肉・さつまいも・いんげんをココナッツミルクでじっくり煮込んだ穏やかな辛さと自然な甘みが共存するカレーで、カンボジアの家庭料理の中で最も日常的に食べられる料理のひとつです。クメールカレーペーストの決め手はクルーン(Kroeung)と呼ばれるカンボジア独自のハーブペーストで、レモングラス・ガランガル・ターメリック・コブミカンの皮・シャロット・にんにくをすり鉢で丁寧につぶして作ります。タイカレーより辛みが穏やかでココナッツミルクの甘みが前面に出た優しい味わいは、バゲットに浸して食べるスタイルからもフランス植民地時代の影響を感じさせます。プノンペンの食堂では朝食として鉄鍋ごとテーブルに運ばれるサムローカリーの光景が今も日常的に見られます。

サムローカリーの作り方

◎クルーンペーストを作る
レモングラス2本(薄切り)・ガランガル15g(薄切り)・ターメリック10g(薄切り、またはターメリックパウダー小さじ1)・コブミカンの皮1個分・シャロット3個・にんにく3片・乾燥赤唐辛子2本をすり鉢に入れ、なめらかなペースト状になるまでしっかりすりつぶす。(クルーンはカンボジア料理の根幹をなすハーブペーストで、サムローカリーの風味のすべてを決定づける。フードプロセッサーを使う場合は少量のサラダ油を加えると回りやすい。作り置きは冷蔵で3日・冷凍で1ヶ月保存できる)

◎ペーストを炒める
鍋にサラダ油大さじ2を中火で熱し、クルーンペーストを加えて2〜3分炒める。香りが立ってペーストの水分が飛び、油と分離してきたら次の工程へ進む。(ペーストをしっかり炒めることで生臭さが消え、スパイスの香りが最大限に引き出される。焦げないよう木べらで絶えず混ぜながら炒める)

◎鶏肉を加えて炒める
鶏もも肉400gを食べやすい大きさに切り、ペーストに加えて中火で3〜4分炒める。鶏肉の表面全体が白くなり、ペーストがしっかり絡んだら次の工程へ進む。(鶏肉はペーストとよく炒め合わせることでスパイスが肉の内部まで浸透しやすくなる。骨付きのぶつ切りを使うとスープに旨みが増す)

◎ココナッツミルクと水を加えて煮込む
ココナッツミルク400ml・水200mlを加えてよく混ぜ、強火でひと煮立ちさせる。アクを丁寧にすくったら弱火に落とし、蓋をして15分煮込む。(ココナッツミルクは沸騰させ続けると分離するため、ひと煮立ちしたら必ず弱火に落とすこと。水を加えることでココナッツミルクだけの濃厚すぎる甘みが和らぎ、スープとしてのバランスが整う)

◎野菜を加える
さつまいも1本(200g・2cm角切り)を加えて10分煮る。いんげん10本(4cm長さに切る)を加えてさらに5分煮る。(さつまいもはカンボジアのサムローカリーに欠かせない野菜で、煮崩れてスープに溶け込む自然な甘みがカレーの味わいを豊かにする。いんげんは食感を残すために最後に加える)

◎調味して仕上げる
プラホック(発酵魚ペースト)小さじ1(またはナンプラー大さじ1で代用)・砂糖小さじ1・塩少々を加えて全体を混ぜ合わせ、味を整える。コブミカンの葉4〜5枚を葉脈を取り除いて加えてひと混ぜし、火を止める。(プラホックはカンボジア料理の魂とも言える発酵魚ペーストで、スープに深い旨みと複雑さを加える。独特の香りが気になる場合はナンプラーで代用できるが、プラホックの旨みは格別)

◎盛り付け

カンボジアの定番サムローカリーの完成品 盛り付け画像
深めの器にサムローカリーをたっぷり注ぎ、コブミカンの葉のせん切りと赤唐辛子の薄切りを散らして完成。ジャスミンライスまたはバゲットを添えて一緒に食べる。

料理の歴史と背景

サムローカリーのルーツはアンコール王朝時代にまで遡るとされており、インドとの交易を通じてもたらされたスパイス文化がクメール人の在来のハーブ文化と融合して独自のカレー料理に発展したと考えられています。クメール帝国が東南アジア最大の版図を誇っていた9〜15世紀、アンコールワットを中心とする宮廷文化の中でカレーは貴族や僧侶の食事として重要な位置を占めていたとされています。ターメリックの鮮やかな黄金色はクメール文化において聖なる色として特別な意味を持ち、サムローカリーの黄金色のスープにはその文化的な記憶が刻まれています。フランス植民地時代(1863〜1953年)にはバゲットがカンボジアに持ち込まれ、サムローカリーをバゲットに浸して食べるスタイルが定着したことで、フランス料理とクメール料理が交差するカンボジアの食文化の歴史が一皿の中に凝縮されています。

現代のカンボジアではサムローカリーはプノンペンをはじめ全土の食堂・市場・家庭で日常的に食べられており、特に朝食として鍋ごとテーブルに運ばれるスタイルはプノンペンの朝の風物詩です。ポル・ポト政権による壊滅的な文化破壊(1975〜1979年)の後、カンボジアの伝統料理は一時深刻な断絶の危機に瀕しましたが、生き延びた料理人たちと海外のカンボジア難民コミュニティによって食の記憶が守られ、復興とともに伝統的なクメール料理が再評価される動きが広まりました。現在はプノンペンを中心に若いシェフたちがクメール料理の再発見と現代的な解釈に取り組んでおり、サムローカリーはその象徴的な料理として国内外から注目を集めています。日本でもカンボジア料理への関心が少しずつ高まっており、クルーンペーストの複雑な香りとココナッツミルクの甘みが溶け合うサムローカリーはカンボジア料理入門として親しみやすい一皿です。

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