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ウルグアイの定番アサードのレシピ

南米ウルグアイのアイデンティティであり、週末の神聖な儀式である「アサード」。パリージャ(焼き網)と薪の炎を使い、粗塩だけで骨付き塊肉の旨味を極限まで引き出す、シンプルにして奥深い南米流BBQの本格レシピと、大平原を生きるガウチョたちの歴史をご紹介します。

ウルグアイの定番アサードのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
130 調理時間
4人前 分量
約650kcal カロリー

材料

  • 牛肉(骨付きカルビブロック、または極厚のハラミや肩ロース) 800g〜1kg
  • 粗塩(岩塩など粒の大きいもの) 適量
  • 【チミチュリソース】
  • イタリアンパセリ(みじん切り) 大さじ4
  • ニンニク(細かいみじん切り) 2片
  • 乾燥オレガノ 小さじ1
  • 粗挽き赤唐辛子 小さじ1/2
  • 白ワインビネガー(または赤ワインビネガー) 大さじ3
  • エキストラバージンオリーブオイル 大さじ4
  • 塩 小さじ1/2
  • 黒こしょう 少々

アサードの焼き方

◎薪(または炭)で完璧な「熾火(おきび)」を作る
アサードの成功は、火おこしの段階で8割が決まると言っても過言ではありません。ウルグアイでは「レニャ」と呼ばれる硬い薪を燃やして火を作りますが、日本では良質な木炭(できれば黒炭や備長炭)を使用します。炎が勢いよく上がっている状態ではなく、炭が白く灰を被り、チロチロと赤い光を放つ「熾火」の状態になるまでじっくりと待ちます。網の上に手をかざし、7〜8秒ほど耐えられる程度の「弱〜中火の遠火」が、塊肉を焼くための理想的な温度です。

◎塊肉に「サル・パリージェラ(粗塩)」を打つ
アサードの主役となるのは、骨付きの牛バラ肉(ショートリブ/ティラ・デ・アサード)や、赤身の旨味が強いハラミなどの塊肉です。焼く30分前には冷蔵庫から出し、常温に戻しておきます。ウルグアイでは「サル・パリージェラ」と呼ばれる、少し粒の粗い岩塩を肉の表面にたっぷりとまぶします。塩の粒が大きいことで、肉の内部に塩分が浸透しすぎず、表面で肉汁と結びついて極上の旨味のクラスト(膜)を形成してくれます。

◎時間を味方につけ、じっくりと焼き上げる
熾火が整ったパリージャ(焼き網)に、骨付き肉を「骨の面を下にして」乗せます。ここからは忍耐の時間です。焦ってひっくり返したり、火を強めたりしてはいけません。1時間から1時間半ほどかけ、骨から伝わる熱で肉の内部までじんわりと火を通していきます。肉の表面に肉汁がうっすらと浮き上がり、骨の周りの肉が縮んで骨の先端が顔を出してきたら、初めて裏返します。裏面は30分ほど焼き、表面が香ばしいきつね色になれば焼き上がりです。

◎自家製チミチュリで酸味と香りを添える

ウルグアイの定番アサード の完成品 盛り付け画像

盛り付けたアサード

焼き上がった大ぶりの肉を木のボード(タブラ)に乗せ、豪快に切り分けます。味付けは塩だけで十分に美味しいですが、ウルグアイの食卓に欠かせないのが「チミチュリ(Chimichurri)」です。みじん切りにしたパセリ、ニンニク、オレガノに、白ワインビネガーとオリーブオイルを混ぜ合わせたこの爽やかなハーブソースは、脂の乗った牛肉の重たさを劇的に軽くし、飽きることなく肉を口へと運ばせてくれます。


ウルグアイ 国旗

ウルグアイの国旗

南米大陸の南部に位置し、広大なパンパ(大平原)に恵まれた国、ウルグアイ。国民一人当たりの牛肉消費量が世界トップクラスであるこの国において、「アサード(Asado)」は単なるバーベキューや料理名ではなく、家族や友人が集い、炎を囲む「神聖な儀式」そのものを指します。ウルグアイのアサードの特徴は、極限まで削ぎ落とされたミニマリズムにあります。複雑なマリネ液や甘いBBQソースは一切使わず、味付けは「粗塩」のみ。骨付きの牛肉(ティラ・デ・アサード)や極厚の塊肉を、「パリージャ」と呼ばれる焼き網の上に乗せ、薪から作られた熾火(おきび)の柔らかな熱で、数時間かけてじっくりと焼き上げます。肉から滴り落ちる脂が煙となり、それが再び肉を燻すことで生まれる圧倒的な香ばしさと、噛み締めるほどに溢れ出す野性味あふれる旨味。

料理の歴史と背景

アサードの起源は、18世紀から19世紀にかけてパンパ(大平原)を馬で駆け巡った南米のカウボーイ、「ガウチョ(Gaucho)」たちの野営食にあります。彼らは牛を追いながら移動する厳しい生活の中で、捕らえた牛の肉を骨ごと切り出し、地面に突き刺した鉄の十字架(クルス)に括り付け、焚き火の熱で何時間もかけて丸焼きにしました(アサード・ア・ラ・クルス)。調理器具も調味料も限られた大自然の中で、「火と塩と肉」という極限まで削ぎ落とされた要素だけで命の糧を得る。そのガウチョたちの不屈の精神と質実剛健なスタイルが、現代のウルグアイの人々にも脈々と受け継がれています。週末になると、どの家からもパリージャの煙が立ち上り、父親が火の番(アサドール)を務めながら、家族や友人と赤ワイン(タナ種)を傾ける。アサードは、彼らにとって労働の疲れを癒やし、人間関係の絆を深めるための何よりも大切な時間なのです。

「焼肉の街」の熱狂とアサードの共鳴

アサードの「肉そのもののポテンシャルを信じる」という哲学。ここ日本において、その精神を最も深く理解し、共鳴できる場所の一つが、独自の焼肉文化が熱狂的に支持されている北の大地・北見でしょう。極寒の冬の夜でも、あるいは短い夏の週末でも、新鮮で野性味あふれる質の高い肉を求めて人々が集い、炭火を囲む。その風景は、地球の裏側にあるウルグアイのパリージャの熱気と驚くほどリンクします。余計な装飾を排し、シンプルに上質な肉を焼く。北の大地が誇る地元産の素晴らしい牛肉の塊を手に入れ、この南米のガウチョスタイルで焼き上げる時、郷土料理は国境を越え、その土地のリアルな食文化として新たな命を吹き込まれるのです。

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