ブルキナファソの定番トーのレシピ
「高潔なる人々の国」ブルキナファソの食卓にそびえ立つ、絶対的な主食「トー」。トウモロコシの粉を湯で力強く練り上げた素朴な穀物餅を、とろみのあるオクラと肉の濃厚なシチュー(ソース・ゴンボ)でいただく、労働者階級の不屈の魂が宿る本格レシピをご紹介します。
材料
- 【トー(穀物餅)】
- ホワイトコーンミール(またはイエローコーングリッツの細かいもの) 150g
- 常温の水(粉を溶く用) 150ml
- 熱湯(鍋で沸かす用) 300ml
- 【ソース・ゴンボ(オクラのシチュー)】
- 牛肉(または豚肉・鶏肉) 250g
- オクラ 15〜20本
- 玉ねぎ 1個
- トマト 1個
- ニンニク 2片
- トマトペースト 大さじ1
- 固形ブイヨン 1個
- サラダ油(またはレッドパーム油) 大さじ2
- 水 約300〜400ml(具材が被る程度)
- 塩 小さじ1
- 黒こしょう 少々
トーとソース・ゴンボの作り方
◎シチューの土台となる香味野菜を炒める
トーに合わせるための、最高に濃厚なオクラシチュー(ソース・ゴンボ)から仕込みます。厚手の鍋に少し多めのサラダ油(またはレッドパーム油)を熱し、細かいみじん切りにした玉ねぎ1個とすりおろしたニンニクを中火でじっくりと炒めます。玉ねぎが透き通り、甘い香りがキッチンに充満してきたら、一口大に切った牛肉(または豚肉・鶏肉でも可)を加えます。肉の表面に香ばしい焼き色がつくまで、しっかりと炒め合わせて旨味(メイラード反応)を引き出します。
◎トマトとオクラの粘りを引き出す
肉に火が通ったら、みじん切りにしたトマトと大さじ1杯のトマトペースト、そして塩、黒こしょう、固形ブイヨンを加えます。トマトの水分が飛び、油と馴染んできたら、このシチューの主役である「オクラ」を投入します。オクラ15〜20本はあらかじめヘタを取り、薄い輪切り(または粗みじん切り)にしておきます。具材がひたひたに被る程度の水を注ぎ、蓋をして弱火で30〜40分ほどコトコトと煮込みます。オクラの細胞壁が壊れ、鍋全体がドロドロの強烈なとろみに包まれたらシチューの完成です。
◎トーの粉を水で溶き、ダマを防ぐ
シチューが完成に近づいたら、主食のトーを作ります。日本では手に入りやすいホワイトコーンミール(またはイエローコーングリッツの細かいもの)を使用します。ボウルにコーンミール150gを入れ、そこに同量の「常温の水」を注ぎ、泡立て器でシャバシャバの液状になるまで溶かしておきます。粉を直接熱湯に入れるとダマになって失敗するため、この「水溶き」の工程がトーを滑らかに仕上げる最大の秘訣です。
◎木べらで練り上げる
鍋に水300mlを入れて沸騰させます。沸騰したお湯の中に、先ほど水で溶いたコーンミール液を一気に注ぎ入れます。ここからが体力勝負です。火を弱火にし、丈夫な木べらを使って、鍋底から生地を力強くかき混ぜ続けます。最初はシャバシャバですが、1〜2分で急激に水分を吸い、非常に重たい餅状へと変化します。鍋肌から生地がペロンと剥がれ、ツヤと強い弾力が出るまで、約5〜8分間、鍋底に押し付けるようにして休まずに練り上げ続けます。
◎ドーム状に盛り付ける

練り上がった熱々のトーを、水で濡らしたお椀(ボウル)に入れ、お皿の中央にパカッと伏せてドーム状に盛り付けます。その純白のドームの周囲を取り囲むように、完成した熱々のソース・ゴンボ(オクラシチュー)をなみなみと注ぎ入れます。オクラの緑とトマトの赤、そしてトーのコントラストが、生命力あふれるアフリカの食卓を演出します。

ブルキナファソの国旗
サハラ砂漠の南縁、サヘル地域に位置し、「高潔なる人々(ブルキナベ)の国」という誇り高き名前を持つ西アフリカの国、ブルキナファソ。この国の過酷な自然環境と、人々の日々の苛酷な労働を根底から支え続けている究極の主食が「トー(Tô)」です。トーとは、トウモロコシやソルガム(モロコシ)、あるいはキビの粉を熱湯に入れ、木べらでひたすら力強く練り上げた、日本の「お餅」や「すいとん」によく似た穀物料理です。塩すらも入れないことの多いこの純白(または黄色)の無垢な塊は、それ単体ではほとんど味がありません。しかし、そこに「ソース・ゴンボ」と呼ばれるオクラと肉をドロドロに煮込んだ濃厚なシチューや、ピーナッツのソースをたっぷりとぶっかけ、右手でトーをちぎってソースに絡めながら口に運んだ瞬間、未体験の旨味と生命力が全身を駆け巡ります。飾り気は一切なし。ただ生きるためのエネルギーとして、大地から生まれた粉を水で練り上げる。
料理の歴史と背景
トーは、ブルキナファソをはじめとするマリやコートジボワールなど、西アフリカ内陸部の国々において数千年にわたり人々の命を繋いできた神聖な食べ物です。雨季と乾季がはっきりと分かれ、農業にとって決して容易ではないサヘル地域の気候下でも力強く育つソルガムやトウモロコシは、彼らにとって貴重なエネルギー源でした。村の女性たちは早朝から臼と杵で穀物を粉に挽き、巨大な鍋で大家族全員分のトーを全身の力を使って練り上げます。出来上がったトーは大きなタライのような器に盛られ、家族全員がその周りに座り、一つのシチューを分かち合います。厳しい環境の中で生き抜くための「連帯」と「絆」が、この一つの鍋とトーの中に凝縮されているのです。味付けを極限まで削ぎ落とし、ソースの旨味を受け止めるための完璧なキャンバスとして存在するトーには、足るを知り、大地からの恵みを余すところなくいただくという、ブルキナベ(高潔な人々)の誇り高き哲学が表れています。
このレシピは役に立ちましたか?サイトの継続運営への応援をお待ちしています。
Ko-fiで応援する