アルゼンチンの定番チョリパンのレシピ
アルゼンチンの熱狂的なサッカー観戦や週末のアサード(BBQ)に欠かせない国民的ストリートフード「チョリパン」。極太のチョリソーから溢れる肉汁と、酸味と辛味が絶妙なハーブソース「チミチュリ」が織りなす、南米の情熱が詰まった究極のサンドイッチの本格レシピを紹介します。
材料
- 極太の豚肉生ソーセージ(チョリソー・なければ大きめのフランクフルトで代用) 2本
- フランスパン(またはバゲット・チャバタなど外がカリッとしたパン) 1本
- 【チミチュリソース】
- イタリアンパセリ(みじん切り) 大さじ3
- オレガノ(乾燥またはフレッシュ) 小さじ1
- ニンニク(みじん切り) 1片
- 白ワインビネガー(または赤ワインビネガー) 大さじ2
- オリーブオイル 大さじ3
- 粗挽き赤唐辛子(チリフレーク) 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
- 黒こしょう 少々
チョリパンの作り方
◎魂のソース「チミチュリ」を仕込む
チョリパンの味の要となるのが、自家製のチミチュリソースです。イタリアンパセリの葉とニンニクを極めて細かいみじん切りにします。ボウルにそれらを入れ、乾燥オレガノ、粗挽きの赤唐辛子(チリフレーク)、塩、黒こしょうを加えます。そこに白ワインビネガー(または赤ワインビネガー)と良質なオリーブオイルを加え、全体が均一になるまでよく混ぜ合わせます。作ってすぐでも食べられますが、最低でも30分から1時間、できれば一晩冷蔵庫で寝かせることで、ハーブの香りとビネガーの酸味が油に溶け出し、驚くほどまろやかで奥深い味わいへと変化します。
◎チョリソーを「マリポーサ(蝶々)」に開く
アルゼンチンのチョリソーは、メキシコの唐辛子入りスパイスソーセージとは異なり、豚肉の旨味とマイルドなスパイスで作られた生の極太ソーセージを指します。日本では、できるだけ太くて肉肉しい生ソーセージ、または上質なフランクフルトを用意します。現地の屋台でよく行われる「マリポーサ(スペイン語で蝶の意味)」と呼ばれる切り方を実践します。ソーセージの縦半分に深めの切り込みを入れ、本を開くように完全に平らに開きます。こうすることで、肉の焼ける面積が広がり、より香ばしく、かつパンに挟みやすくなります。
◎ソーセージとパンを香ばしく焼く
フライパン、またはBBQの網を中火で熱し、油を引かずに開いたソーセージを乗せます。ジュージューと音を立てて滲み出てくる自らの脂で、両面がこんがりと濃いきつね色になり、端がカリッとするまで香ばしく焼き上げます。同時に、フランスパン(またはバゲット)をソーセージの長さに合わせて切り、横に切れ目を入れて開きます。ソーセージが焼き上がる直前に、パンの内側を下にしてフライパンの端(または網の上)に乗せ、ソーセージから出た肉汁とスモークの香りをパンの表面に軽く吸わせるようにして温めます。
◎滴るソースとともに挟み込む

盛り付けたチョリパン
内側が少しカリッと温まったパンを取り出し、その上に熱々で肉汁が弾けるソーセージ(マリポーサ)を乗せます。そして、用意しておいたチミチュリソースを、ソーセージの切り込みの間に染み込ませるように、スプーンでたっぷりと惜しげもなくかけます。パンをしっかりと閉じ、肉汁とソースが滴り落ちるのを気にせず、両手で掴んで大きく口を開けてかぶりつきます。

アルゼンチンの国旗
南米大陸の南部に位置し、どこまでも続く大平原パンパと、情熱的なタンゴのリズム、そして世界中を熱狂させるサッカーの強豪国として知られるアルゼンチン。牛肉の消費量が世界トップクラスであるこの「肉の国」において、高級なステーキ以上に国民の魂(ソウルフード)として愛されているのが、極めてシンプルなストリートフード「チョリパン(Choripán)」です。その名前は、スペイン語で粗挽きの豚肉ソーセージを意味する「チョリソー(Chorizo)」と、パンを意味する「パン(Pan)」を組み合わせただけの直球なネーミング。炭火で香ばしく焼き上げた極太のソーセージを、外側がカリッとしたフランスパンに挟み、アルゼンチン特有の魔法のハーブソース「チミチュリ」をたっぷりと滴るほどにかけて豪快に頬張ります。スタジアムの熱気の中や、休日に家族が集まる庭先で、冷えたビールや赤ワインとともに味わうチョリパンは、まさにアルゼンチンの人生そのもの。今回は、日本のキッチンやBBQでも簡単に、かつ最高に美味しく再現できる本格レシピと、その背景にある壮大なガウチョ(カウボーイ)の歴史を紐解いていきます。
料理の歴史と背景
チョリパンの歴史は、19世紀中頃のアルゼンチンに広がる大平原「パンパ」を馬で駆け巡っていた牧童たち、「ガウチョ(Gaucho)」の食文化に端を発しています。彼らは広大な土地で牛や羊を放牧しながら生活しており、食事の基本は「アサード(Asado)」と呼ばれる、獲れたての肉を岩塩だけで味付けし、焚き火で豪快に丸焼きにするバーベキューでした。しかし、仕事の合間や移動中に手軽にエネルギーを補給するため、あらかじめ腸詰めにして保存性を高めたチョリソーを焚き火で炙り、携帯していた硬いパンに挟んで食べたのが、現在のチョリパンの原型と言われています。その後、20世紀に入って都市化が進むと、チョリパンはブエノスアイレスなどの大都市の労働者や、サッカースタジアムに集まる熱狂的なサポーター(インチャ)たちの間で、安価で腹持ちが良く、片手で食べられる最強のファストフードとして爆発的な人気を誇るようになりました。現在でも、スタジアムの周辺には試合前から何十台ものチョリパンの屋台(パリージャ)が立ち並び、煙と肉の焼ける匂いが街全体を包み込みます。
「チミチュリ」がもたらす魔法の酸味
極太のソーセージの強烈な脂と塩気を、見事なまでに中和し、いくらでも食べられるようにしてくれるのが「チミチュリ(Chimichurri)」の存在です。このソースの名前の由来には諸説あり、一説には19世紀にアルゼンチンにやってきたイギリス人のジミー・マクカリー(Jimmy McCurry)という人物が考案したソースが訛ってチミチュリになったというユーモア溢れる伝説や、先住民の言葉で「様々なものを混ぜ合わせたもの」を意味するという説もあります。いずれにせよ、新鮮なパセリの青々とした香り、オレガノの土の匂い、ニンニクのパンチ、そしてビネガーの鋭い酸味の組み合わせは、重たい肉料理を劇的に軽く、かつ華やかにする魔法の液体です。アルゼンチンの家庭にはそれぞれ「秘伝のチミチュリ」のレシピがあり、肉の焼き上がりを待つ間に、このソースの味見をしながら赤ワイン(マルベック種)を飲むのがアサードの正しい楽しみ方とされています。
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