アフリカ

タンザニアの定番マンダジのレシピ

ココナッツミルク・カルダモン・ターメリックを練り込んだ生地を三角形または丸形に成形して揚げる、タンザニアをはじめ東アフリカ全域の朝食・屋台・おやつに欠かせない揚げパン。外はサクッと中はふわりとした独特の食感と南国の香りを、歴史とともに紹介します。

タンザニアの定番マンダジのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
110 調理時間
4人前 分量
約380kcal カロリー

材料

  • 薄力粉 300g
  • 強力粉 100g
  • 砂糖 大さじ3
  • ドライイースト 小さじ1と1/2
  • 塩 小さじ1/2
  • カルダモンパウダー 小さじ1
  • ターメリックパウダー 小さじ1/4
  • ココナッツミルク(缶詰) 150ml(なければ牛乳)
  • 卵 1個
  • 揚げ油 適量
  • 粉砂糖 適量(仕上げ)
  • スパイスチャイ・ジャム・はちみつ 各適量(添え物)

マンダジ(Mandazi)はタンザニア・ケニア・ウガンダ・モザンビークをはじめ東アフリカ沿岸地域を代表するスワヒリ系の揚げパンで、薄力粉にココナッツミルク・砂糖・カルダモン・ターメリック・イーストを合わせてこねた生地をひと晩または数時間発酵させてから三角形・半円形・丸形に成形して油でじっくりと揚げることで外側はうっすらと黄金色でサクッとした食感を持ち内側はカルダモンとココナッツミルクの香りがふんわりと広がるやわらかい食感に仕上がる、東アフリカ全土の朝食テーブル・道端の屋台・ラマダン期間の夕食後のおやつとして老若男女に愛される国民的揚げパンです。マンダジ最大の個性は揚げパンでありながらカルダモンとココナッツミルクが生み出すスパイシーかつクリーミーな香りにあり、シンプルな材料から生まれるこの香りの組み合わせは東南アジアのスパイス貿易を通じてスワヒリ沿岸に根付いた食文化の歴史をそのまま体現しています。マンダジの決め手は生地を充分に発酵させてグルテンをしっかりと形成することで生まれるふわりとした内部の食感と、揚げ油の温度を170〜180度に保ちながらゆっくりと揚げることで外側だけが先に固まらずに全体が均一に膨らむことであり、この二つが揃って初めてダルエスサラームやモンバサの屋台で食べるマンダジの食感に近づきます。タンザニアではマンダジは朝食にチャイ(スパイスミルクティー)と組み合わせて食べるのが最もポピュラーなスタイルで、熱々のマンダジをチャイに浸しながら食べる朝の光景は東アフリカの日常生活を象徴する風景として世代を超えて受け継がれています。

マンダジの作り方

◎生地をこねて発酵させる
薄力粉300g・強力粉100g・砂糖大さじ3・ドライイースト小さじ1と1/2・塩小さじ1/2・カルダモンパウダー小さじ1・ターメリックパウダー小さじ1/4をボウルに入れてよく混ぜ合わせる。ココナッツミルク150ml(なければ牛乳150ml)・卵1個をよく混ぜてから粉類に加え、なめらかになるまで10分こねる。生地をひとまとめにしてボウルにラップをかけ、温かい場所で1〜2時間、生地が1.5〜2倍に膨らむまで一次発酵させる。(薄力粉と強力粉を7:3で合わせることでふわりとしながらも形を保てるマンダジ特有の食感が生まれる。薄力粉だけでも作れるが、強力粉を加えることでこしが出て成形しやすくなる。ココナッツミルクは缶詰タイプをよく振ってから計量すること。ターメリックは生地をうっすらと黄金色に染める役割を果たす)

◎生地を成形する
発酵した生地を軽く押さえてガスを抜き、打ち粉をした台の上に取り出す。生地を4等分にして、それぞれを厚さ1cm弱の丸形に伸ばし、包丁またはカードで4〜6等分の三角形に切り分ける(丸形に抜いてもよい)。切り分けた生地をクッキングシートの上に並べ、濡れ布巾をかぶせて15〜20分二次発酵させる。(三角形に切るのがタンザニア・ケニアで最もポピュラーな形。生地を切るときは包丁を真下に押し下げて切ると断面が潰れない。二次発酵をしっかり取ることで揚げたときに均一に膨らむ。生地が乾燥すると揚げたときに割れるため、布巾を忘れずにかけておくこと)

◎揚げる
深めのフライパンまたは鍋にサラダ油をたっぷりと注いで170〜180度に熱する。生地を1バッチ3〜4枚ずつ静かに入れ、途中で数回返しながら片面3〜4分ずつ、全体がきれいな黄金色になるまでじっくりと揚げる。揚がったものをペーパータオルに取り出して油を切る。(揚げ油の温度管理がマンダジの仕上がりを決定づける。170度以下だと油を吸いすぎてべたつき、190度以上だと外側だけが先に固まって内部が生のまま膨らまない。温度計がない場合は生地の端を入れてゆっくりと泡が出始める状態が適温の目安。一度にたくさん入れると油温が下がるので少量ずつ揚げること)

◎盛り付けと食べ方

タンザニアの定番マンダジの完成品 盛り付け画像

マンダジ
揚げたてを皿に盛り、好みで粉砂糖を軽くふる。スパイスチャイ(マサラチャイ)とともに食べるのがタンザニアの定番の朝食スタイル。ジャム・はちみつ・ヤシ砂糖シロップを添えてデザートとして食べたり、カレーやシチューと合わせて主食代わりに食べることもできる。(マンダジは揚げたて熱々が最もふわふわで美味しい。冷めると少し固くなるが、電子レンジで20〜30秒温め直すとふんわりと復活する。翌日以降は半分に割ってバターを塗り、フライパンで焼き直すと新たな美味しさが楽しめる)

料理の歴史と背景

マンダジの起源はインド洋交易が盛んだった7〜15世紀にかけて、アラビア半島・インド・東南アジアの商人たちが東アフリカのスワヒリ沿岸(現在のタンザニア・ケニア・モザンビーク海岸部)との交易を通じて持ち込んだスパイス文化・小麦粉料理・揚げパン文化が在来の食文化と融合することで生まれたとされています。カルダモンはインド・スリランカ産、ターメリックも南アジア・東南アジア産であり、これらのスパイスがマンダジの核心的な香りを担っていることは、マンダジがまさにインド洋交易の産物であることを示しています。スワヒリ語でマンダジを意味する言葉はアラビア語の揚げパン「マンドゥーズィ(mandūzī)」に由来するという説があり、アラブ商人が持ち込んだ揚げパン文化が現地の食材・スパイスと結びついてスワヒリ独自の形に発展したと考えられています。19世紀にはオマーン・スルタン国がザンジバル島を中心に東アフリカ沿岸一帯に影響力を拡大し、ココナッツミルク・スパイス・小麦粉を豊富に使ったスワヒリ料理文化がさらに発展したことがマンダジの普及を後押ししました。

現代のタンザニアにおいてマンダジはダルエスサラームをはじめドドマ・アルーシャ・ザンジバルなど全国の朝市・バスターミナル・街角の屋台で夜明けとともに揚げられ始め、チャイとともに食べる朝食として国民の日常生活に深く溶け込んでいます。ケニアでも同名の揚げパンとして広く親しまれており、ウガンダではマンダジに類似した「チャパティ」とともに東アフリカを代表するパン食文化の柱となっています。ラマダン期間中は断食明けの夕食(イフタール)後のデザートとしても重要な役割を果たし、東アフリカのムスリムコミュニティの宗教的・文化的な食の場においても欠かせない存在です。日本では東アフリカ料理・スワヒリ料理への関心の高まりとともにマンダジを提供するアフリカ料理店が増えており、カルダモンとココナッツミルクという組み合わせが生み出す異国情緒あふれる揚げパンとして、パン・揚げ菓子文化に親しんだ日本人にも直感的に理解しやすい料理として注目を集めています。

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