アフリカ

エジプトの定番バスプーサのレシピ

セモリナ粉・ヨーグルト・ヤシ油を合わせて焼いたケーキにローズウォーターとオレンジブロッサム入りのシロップをたっぷりと染み込ませる、エジプト全土のパティスリーと家庭の食卓を彩る伝統的なシロップ菓子。しっとりと粒感の残る独特の食感と花の香りを、歴史とともに紹介します。

エジプトの定番バスプーサのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
70 調理時間
4人前 分量
約320kcal カロリー

材料

  • 粗挽きセモリナ粉 250g
  • 薄力粉 50g
  • 砂糖 80g(生地用)
  • ベーキングパウダー 小さじ1
  • 塩 ひとつまみ
  • プレーンヨーグルト 150g
  • ココナッツオイル(またはバター) 80g
  • 牛乳 50ml
  • アーモンド(または松の実) 適量(飾り用)
  • シュレッドココナッツまたは粉砂糖 適量(仕上げ)
  • 【シロップ】
  • 砂糖 200g
  • 水 150ml
  • レモン汁 小さじ2
  • ローズウォーター 大さじ1
  • オレンジブロッサムウォーター 大さじ1

バスブーサ(Basbousa)はエジプトを代表するセモリナ粉のシロップ菓子で、粗挽きのセモリナ粉にヨーグルト・砂糖・ヤシ油(またはバター)・ベーキングパウダーを合わせてオーブンで焼き上げ、熱々のうちにローズウォーターとオレンジブロッサムウォーターを加えた砂糖シロップをたっぷりと染み込ませることでセモリナ粒の粗い食感とじんわりとした甘さ・花の芳香が重なる独特のしっとりさに仕上がる、エジプト全土のパティスリー・屋台・家庭の食卓で老若男女に愛される国民的伝統菓子です。バスブーサの最大の個性はセモリナ粉を使うことで生まれるケーキともクッキーとも異なる粒感のある独特の食感と、焼きたての熱い生地にシロップを染み込ませることで生まれるしっとりとした仕上がりにあり、この二つが合わさることでスポンジケーキともパウンドケーキとも違う中東菓子ならではの食感が生まれます。バスブーサの決め手は焼き上がり直後の熱い状態でシロップをかけ始めることで生地がシロップを最大限に吸収することと、シロップにローズウォーターとオレンジブロッサムウォーターを両方加えることで生まれる複合的な花の香りであり、この二つが揃って初めてカイロのハン・ハリーリ市場や老舗パティスリーで食べるバスブーサの味に近づきます。エジプトではバスブーサはラマダン明けのイード・アル=フィトル・誕生日・結婚式・家族の集まりなど祝いの席に欠かせない菓子として愛されており、冷蔵庫で3〜4日間保存できるため家庭では大きなバットで一度にたくさん作ってゲストに振る舞うスタイルが全国的に定着しています。

バスブーサの作り方

◎シロップを先に作る
小鍋に砂糖200g・水150mlを入れて中火にかけ、砂糖が完全に溶けてから3〜4分煮立てる。火を止めてレモン汁小さじ2・ローズウォーター大さじ1・オレンジブロッサムウォーター大さじ1を加えてよく混ぜ、そのまま冷ます。(シロップは必ず先に作って完全に冷ましておくこと。熱い生地に冷たいシロップをかけることで生地がシロップをよく吸収する。反対に熱いシロップを熱い生地にかけると表面が固まって内部まで染み込まない。ローズウォーターとオレンジブロッサムウォーターはカルディや輸入食材店で入手できる)

◎生地を合わせる
粗挽きセモリナ粉250g・薄力粉50g・砂糖80g・ベーキングパウダー小さじ1・塩ひとつまみをボウルに入れてよく混ぜ合わせる。プレーンヨーグルト150g・ヤシ油(またはバター)80g・牛乳50mlをよく混ぜて粉類のボウルに加え、全体がひとつにまとまるまで木べらでよく混ぜる。生地を30分休ませてセモリナ粉に水分を吸わせる。(セモリナ粉は水分の吸収に時間がかかるため、生地を30分以上休ませることが粒感のある仕上がりの鍵。ヤシ油はバターで代用できるが、ヤシ油を使うとよりエジプト伝統の風味に近づく。砂糖の量はシロップでしっかりと甘みを加えるため、生地にはやや控えめに入れる)

◎成形してオーブンで焼く
オーブンを180度に予熱する。耐熱バット(20×25cm程度)にヤシ油またはバターを薄く塗り、生地を流し込んで表面を均一に平らにならす。ナイフで菱形または正方形に切り込みを入れ、各ピースの中央にアーモンド(または松の実)を1粒ずつ置いてlightly押し込む。180度のオーブンで25〜30分、表面が均一なきつね色になるまで焼く。(切り込みを先に入れておくことで焼き上がり後に綺麗に切り分けられる。アーモンドは飾りと同時に焼くことで香ばしく仕上がる。焼き色が均一につかない場合はアルミホイルをかぶせて焼くと表面の焦げを防げる。焼き上がりの目安は竹串を刺して生地がつかない状態)

◎シロップを染み込ませて仕上げる

エジプトの定番バスプーサの完成品 盛り付け画像

バスプーサ
オーブンから取り出した直後の熱い状態で、冷ましておいたシロップを全体にまんべんなくかける。シロップが生地に充分に染み込むまで30分以上そのまま置く。先に入れておいた切り込みに沿ってカットし、皿に並べてお好みでシュレッドココナッツまたは粉砂糖を軽く散らして仕上げる。(シロップをかけた直後は生地がシロップを吸ってやわらかくなるが、30分以上置くと生地が落ち着いてしっとりとまとまった食感になる。翌日以降は全体にシロップが行き渡ってより美味しくなる。冷蔵庫で保存する場合は食べる30分前に室温に戻すと花の香りが引き立つ)

料理の歴史と背景

バスブーサの起源は中東・北アフリカ全域に広がるセモリナ粉を使ったシロップ菓子の系譜に遡り、オスマン帝国時代にアラブ・ペルシャ・トルコのお菓子文化が地中海沿岸からエジプトへと伝わる中で現在の形に発展したとされています。アラビア語で「バスブーサ」という名はエジプトで最も広く使われる呼び名ですが、同じ菓子はレバノンでは「ナンムーラ(Namoura)」・シリアでは「ハリーサ(Harissa)」・トルコでは「レヴァニ(Revani)」・ギリシャでは「ラヴァリ(Ravani)」など国や地域ごとに異なる名前で親しまれており、これらはすべてセモリナ粉をシロップに浸すという共通の製法を持つ地中海・中東菓子文化の広がりを示しています。エジプトではオスマン帝国の支配下にあった時代からカイロのパティスリーでバスブーサが販売されてきた記録が残っており、砂糖・ローズウォーター・セモリナ粉という比較的安価で入手しやすい材料で作れることから貴族の宮廷菓子から庶民の屋台菓子まで幅広い層に浸透しました。

現代のエジプトにおいてバスブーサはカイロのハン・ハリーリ市場をはじめアレクサンドリア・ルクソールなど全国の伝統菓子店・スーパーマーケット・街角の屋台で日常的に販売されており、イード・アル=フィトル(ラマダン明けの祭り)の時期には家庭でも大量に作られて親族・隣人へのギフトとして贈り合う習慣が全国的に定着しています。21世紀に入りアラブ系のフードコンテンツがソーシャルメディアで世界中に広まったことを機に、バスブーサはトルコのレヴァニやレバノンのナンムーラとともに中東・北アフリカ伝統菓子として国際的な認知度が急上昇しました。日本では中東料理・アラブ料理への関心の高まりとともにローズウォーターを使ったアラブ菓子が注目を集めており、セモリナ粉のシロップ菓子というこれまでの日本の菓子文化にない独自の食感と花の香りが食の冒険好きな日本人のあいだでじわじわと人気を集めています。

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