アジア

韓国の定番サムギョプサルのレシピ

厚切りの豚バラ肉を鉄板でじっくりと焼き、サンチュ・エゴマの葉・ニンニク・サムジャン(味噌ダレ)とともにひと包みにして食べる、韓国全土の焼き肉文化の中心。炭火を囲む共食の喜びとともに本格レシピを歴史とともに紹介します。

韓国の定番サムギョプサルのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
25 調理時間
4人前 分量
約520kcal カロリー

材料

  • 豚バラ肉(ブロック・1〜1.5cm厚さに切る) 500g
  • サンチュ 1束
  • エゴマの葉(ケンニプ) 1束
  • ニンニク 1玉
  • 青唐辛子 2〜3本
  • 白菜キムチ・カクトゥギなどパンチャン 各適量
  • 【サムジャン(包みダレ)】
  • コチュジャン 大さじ2
  • 韓国味噌(テンジャン、なければ赤味噌) 大さじ1
  • ごま油 小さじ2
  • 砂糖 小さじ1
  • ニンニク(すりおろし) 1片
  • 白ごま 小さじ1
  • 【ネギのヤンニョム】
  • 長ねぎ(白い部分) 1本
  • ごま油 小さじ1
  • 塩 ひとつまみ
  • 白ごま 適量

サムギョプサル(삼겹살)は韓国を代表する豚バラ肉の焼き料理で、厚さ1〜1.5cmに切った豚バラ肉を下味をつけずにそのままテーブルに埋め込まれた鉄板または卓上グリルで両面じっくりと焼き上げ、ハサミで一口大に切り分けたものをサンチュ・エゴマの葉(ケンニプ)でくるみ、薄切りのニンニク・青唐辛子・ネギのヤンニョム・サムジャン(コチュジャンと味噌を合わせた甘辛ダレ)をのせてひと口でほおばる、ソウルをはじめ韓国全土の焼き肉店・居酒屋・家庭の食卓で老若男女に日常的に愛される韓国国民食です。サムギョプサル最大の個性は下味をいっさいつけない豚バラ肉そのものの旨みと脂の甘みを鉄板の高熱で引き出すシンプルさにあり、焼き上がった肉をサンチュで包む瞬間にサムジャンの甘辛さ・ニンニクのパンチ・エゴマの葉の清涼な香りが一体となることで生まれる複合的な美味しさは、韓国料理の中でも最も直感的に理解しやすく世界中の人々に愛される料理のひとつとなっています。サムギョプサルの決め手は豚バラ肉の脂身と赤身の比率が均等な厚切りの肉を選ぶことで焼いたときに脂がじゅわりと溶け出して赤身をジューシーに仕上げることと、鉄板を充分に熱してから肉を置いて最初の数分間は動かさずに焼き面にしっかりとした焼き色をつけることであり、この二つが揃って初めてソウルの焼き肉店で食べるサムギョプサルのカリッとした外側ととろけるような内側の食感が生まれます。韓国ではサムギョプサルは「三枚肉の日」として語呂合わせから3月3日が「サムギョプサルデー(삼겹살 데이)」と呼ばれるほど文化的な存在感を持ち、友人・家族・職場の仲間と焼き肉店を囲みながらソジュ(焼酎)やマッコリとともに楽しむ共食の場は韓国のコミュニティ文化と切り離せない社会的な結びつきの場として機能しています。

サムギョプサルの作り方

◎肉と野菜を準備する
豚バラ肉(ブロック)500gを1〜1.5cm厚さに切り揃える。サンチュ1束・エゴマの葉(ケンニプ)1束を流水でよく洗い、水気を拭き取る。ニンニク1玉の皮を剥いて薄切りにする。青唐辛子2〜3本を斜め薄切りにする。長ねぎ1本の白い部分を細かいせん切りにして水に5分さらし、水気を切ってごま油小さじ1・塩ひとつまみ・白ごまを和えてネギのヤンニョムを作る。(豚バラ肉はスーパーの薄切りではなく、精肉コーナーのブロック肉またはやや厚切りのものを選ぶこと。三枚の層(脂・赤身・脂)が均等なものが旨みと食感のバランスが最もよい。韓国食材店では「삼겹살用」として販売されている厚切り豚バラが入手できる。エゴマの葉はサンチュだけでも代用できるが、エゴマの葉特有の清涼感はサムギョプサルの香りの重要な要素なので可能であれば使うこと)

◎サムジャン(包みダレ)を作る
コチュジャン大さじ2・韓国味噌(テンジャン、なければ日本の赤味噌)大さじ1・ごま油小さじ2・砂糖小さじ1・ニンニク1片(すりおろし)・白ごま小さじ1・ごま油小さじ1をよく混ぜ合わせる。(サムジャンは市販品も韓国食材店で入手できる。自家製の場合はコチュジャンと味噌の比率を好みに合わせて調整してよい。甘みを強くしたい場合は砂糖を増量し、辛みを抑えたい場合はコチュジャンを減らしてテンジャンを増やすとよい。サムジャンはサムギョプサルの味を決定づける重要なタレなので手を抜かないこと。前日に作り置きして冷蔵庫で保存すると味が馴染んでより美味しくなる)

◎鉄板で焼く
卓上の鉄板グリル(またはフライパン・スキレット)を強火で煙が出るほどしっかりと予熱する。油を引かずに豚バラ肉を並べ、最初の3〜4分は動かさずに片面にしっかりとした焼き色をつける。ひっくり返してさらに3〜4分焼く。焼けた肉はキッチンバサミで一口大(3〜4cm角)に切り分け、鉄板の端でニンニクの薄切りを一緒に焼いて両面に軽く色がつくまで加熱する。(鉄板は充分に熱してから肉を置くこと。温度が低いと肉が鉄板に貼り付いて脂が溶け出す前に表面が固まり、旨みがすべて流れ出てしまう。肉から出た脂は取り除かずにそのまま鉄板に残しておき、ニンニクや青唐辛子を焼くために使うこと。煙が気になる場合は換気扇を強にするか窓を開けること。家庭のコンロでも中火〜強火でフライパンまたはスキレットを使えば十分に美味しく仕上がる)

◎ケジャン(醤油漬けカニ)の簡単な代替:キムチの提供
白菜キムチ・カクトゥギ(大根キムチ)・もやしのナムルなどのパンチャン(副菜)を小皿に並べてテーブルに出す。キムチは豚バラ肉と一緒に鉄板で炒めても美味しい。(サムギョプサルにはパンチャン(副菜・おかず)を複数テーブルに並べるのが韓国の定番スタイル。白菜キムチ・大根キムチ・ほうれん草のナムル・豆モヤシのナムルなどが最もよく合う。キムチは肉が焼けてきたころに一緒に鉄板に乗せて炒めると、豚の脂とキムチの酸みが溶け合った「キムチポックム」になり、また別の美味しさが生まれる)

◎包んで食べる

韓国の定番サムギョプサルの完成品 盛り付け画像

盛り付けたサムギョプサル
サンチュの葉を手のひらに広げ、エゴマの葉を重ねる。焼いた豚バラ肉を1〜2切れのせ、サムジャンをひとなすり、焼きニンニクを1〜2枚・青唐辛子の薄切り・ネギのヤンニョムをのせてひと口で包んで食べる。(ひと口で食べることが韓国のサムギョプサルの基本作法。大きすぎて一口では食べられない場合はもう一枚サンチュを重ねて包み直すこと。サムジャンは塩気が強いため最初は少量から始めて好みに合わせて調整すること。葉の代わりにご飯と一緒に食べたり、焼いた肉をご飯の上にのせてサムジャンと混ぜて食べるスタイルも韓国では一般的)

料理の歴史と背景

豚肉を炙り焼きにして葉物野菜とともに食べる文化は朝鮮半島に古くから存在しており、その起源は三国時代(4〜7世紀)以前に遡るとする見解もありますが、現代のサムギョプサルのスタイルが確立したのは20世紀に入ってからのことです。朝鮮半島では伝統的に牛肉が高級食材として扱われ、豚肉は牛肉より安価な庶民の食材として位置づけられていたため、豚バラ肉を使ったサムギョプサルはもともと庶民的な食事として発展した料理とされています。韓国戦争(1950〜1953年)後の復興期に外食産業が急速に発展するなかで、安価で腹持ちのよい豚バラ肉を卓上グリルで焼いて食べるスタイルが労働者・学生・サラリーマンの間に広まり、1970〜80年代の韓国の高度経済成長期に焼き肉店(구이집)が全国に普及するとともにサムギョプサルは韓国の大衆的な外食文化の中心に定着しました。「サムギョプサル(삼겹살)」という名称はそのまま「三(삼)・層(겹)・肉(살)」すなわち脂と赤身が三層に重なった豚バラ肉の構造を表しており、日本語の「三枚肉」に相当する呼び名です。

現代の韓国においてサムギョプサルはソウルをはじめ釜山・大邱・仁川・光州など全国の焼き肉専門店・居酒屋・フードコートで毎日膨大な量が消費されており、韓国農林畜産食品部の統計によると韓国人が最も多く消費する肉料理のひとつとしてコギ(肉)文化の象徴となっています。語呂合わせから生まれた3月3日の「サムギョプサルデー」はSNSを通じて広まった近年の文化現象で、この日に焼き肉店の売上が急増する社会現象として毎年メディアに取り上げられます。韓国ドラマ・K-POPの世界的なブームとともに韓国の食文化への関心が急上昇した2010年代以降は、サムギョプサルは日本・アメリカ・ヨーロッパ・東南アジアでも韓国料理の顔として広く認知されるようになりました。日本では韓国料理ブームとともに韓国式焼き肉店が全国に普及しており、サムギョプサルはカルビ・ロースと並んで最も親しまれている韓国焼き肉メニューとして定着し、スーパーでも厚切り豚バラ肉・サンチュ・エゴマの葉・コチュジャンが手軽に入手できる環境が整っています。

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