オセアニア

ニュージーランドの定番ホワイトベイト・フリッターのレシピ

ニュージーランドの春にだけ解禁される稚魚ホワイトベイトを卵と合わせてシンプルに焼き上げるフリッター。素材の透明感と繊細な旨みを最大限に生かした、ニュージーランド人が最も愛する季節の料理の本格レシピを紹介します。

ニュージーランドの定番ホワイトベイト・フリッターのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
20 調理時間
2人前 分量
約240kcal カロリー

材料

  • ホワイトベイト(なければ生シラス・稚鮎・ワカサギ) 200g
  • 卵 3個
  • 塩 少々
  • 白胡椒 少々
  • バター 大さじ2
  • レモン 1個
  • 【添え用・任意】
  • 薄切りパンまたはバゲット 適量
  • タルタルソースまたはサワークリーム 適量

ホワイトベイト・フリッター(Whitebait Fritters)はニュージーランドの春にだけ食べられる季節の料理だ。ホワイトベイトとは体長3〜5cmの透明な稚魚で、ニュージーランドではギャラクシアス属の5種が対象となる。毎年8〜11月の漁期にだけ解禁され、この時期になるとニュージーランド全土の川沿いに漁師たちが網を張る光景が現れる。調理法は驚くほどシンプルで、稚魚を卵と合わせてバターで焼くだけ。稚魚自体が持つ繊細な旨みと甘みを壊さないために余計なものを加えないのがニュージーランド流の哲学だ。レモンを絞ってそのまま食べるか、薄切りのパンに挟んで食べるのが定番で、「シーズン中に少なくとも一度は食べなければ春が来た気がしない」というニュージーランド人は多い。

ホワイトベイト・フリッターの作り方

◎ホワイトベイトを準備する
ホワイトベイト200gを冷水で静かに洗い、キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取る。余分な水分が残っているとフリッターがべちゃっとした仕上がりになるため、この工程は丁寧に行う。(本物のニュージーランド産ホワイトベイトは日本では入手困難なため、代用として生シラス・稚鮎・ワカサギの小さいものが使える。いずれも同様に水気をしっかり切ることが大切。シラスを使う場合はやや塩気があるため卵液の塩は控えめにする)

◎卵液を作る
卵3個をボウルに割り入れ、塩少々・白胡椒少々を加えてよく溶きほぐす。ホワイトベイトを卵液に加えて静かに混ぜ合わせる。(ニュージーランドの正統派レシピでは卵と塩のみ。小麦粉・バッター・調味料を加えないのが本場流で、稚魚の繊細な風味を引き立てるシンプルさが命だ。好みで極少量のパセリのみじん切りを加えることがあるが、基本的には卵だけで十分)

◎バターで焼く
フライパンにバター大さじ1を中火で熱し、泡が収まったら卵液ごとホワイトベイトを大さじ3〜4程度(直径8〜10cm程度の円形になる量)ずつ静かに流し入れる。触らずに2〜3分、底面が固まってきつね色になったらフライ返しで静かにひっくり返し、さらに1〜2分焼く。中まで火が通り全体が淡い黄金色になったら取り出す。(バターの泡が収まったタイミングで入れると焦げずに均一に焼ける。フリッターは薄めに焼くほど稚魚の存在感が際立つ。一度にたくさん入れると火の通りが不均一になるため、2〜3枚ずつ焼くこと。ひっくり返すときは崩れやすいため大きめのフライ返しを使う)

◎盛り付ける

ニュージーランドの定番ホワイトベイト・フリッターの完成品 盛り付け画像

盛り付けたホワイトベイト・フリッター

焼き上がったフリッターをキッチンペーパーの上で余分な油を軽く切り、皿に盛る。レモンを添えて搾りかけながら食べるのがニュージーランドの定番スタイルだ。薄切りの白いパン(またはバゲット)に挟んでサンドイッチにするのも同様に親しまれている。好みでタルタルソースやサワークリームを添えても良い。焼きたてを最も美しい状態で食べること——これがホワイトベイト・フリッターの唯一の鉄則だ。

料理の歴史と背景

ニュージーランドにおけるホワイトベイト漁の歴史は、先住民族マオリの食文化にまでさかのぼる。マオリはホワイトベイトを「イナンガ(Inanga)」と呼び、産卵のために川を遡上する時期に網や籠で大量に捕獲して乾燥・燻製にして保存食とした。特に南島のウエストコーストは川が多くホワイトベイトが豊富な地域で、現在もニュージーランド最大のホワイトベイト漁場として知られている。19世紀にヨーロッパ系移民(パケハ)がニュージーランドに定住するようになると、マオリの漁の伝統とヨーロッパの調理技術が融合し、卵と合わせてバターで焼くフリッタースタイルが生まれた。当初は保存食や漁師の日常食として作られていたが、ヴィクトリア朝時代のイギリス植民地文化の影響で洗練された料理として食卓に定着していった。

20世紀後半にかけてホワイトベイトの漁獲量は農業開発による河川の水質悪化・生息地の破壊・乱獲によって急減し、かつては庶民的な食べ物だったホワイトベイトは今や高級食材となった。漁期は厳しく管理されており、1シーズンの漁獲量によって価格が大きく変動するため、繁漁の年には庶民の食卓に並び、不漁の年には1kg数万円に達することもある。ニュージーランド政府は生息地の保全と漁業規制の強化を進めており、持続可能な漁業のあり方が社会的に議論されている。こうした希少性がホワイトベイト・フリッターをさらに特別な存在にしており、漁期になるとニュージーランドのスーパーマーケットには「ホワイトベイト入荷しました」という告知が貼られ、人々が競って買い求める光景が毎年繰り返されている。

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