オセアニア

トンガの定番ケケのレシピ

ヤシ乳と砂糖を練り込んだ生地を揚げるトンガの伝統的な揚げパン。朝食からお祝いの席まであらゆる場面に登場する、南太平洋の島々に根付いた素朴なおやつのレシピを歴史とともに紹介します。

トンガの定番ケケのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
35 調理時間
4人前 分量
約310kcal カロリー

材料

  • 薄力粉 300g
  • ベーキングパウダー 小さじ2
  • 砂糖 大さじ3
  • 塩 小さじ1/4
  • ヤシ乳(なければ牛乳) 150ml
  • バター(溶かす) 大さじ1
  • バニラエッセンス 小さじ1/2
  • 揚げ油 適量
  • 【仕上げ用】
  • 粉砂糖またはシナモンシュガー 適量

ケケ(Keke)はトンガ語で「ケーキ・パン」を広く意味する言葉で、トンガをはじめサモア・フィジー・ニウエなど南太平洋のポリネシア諸島全域で親しまれている揚げパンだ。小麦粉・砂糖・ヤシ乳(またはヤシクリーム)を合わせた生地を丸めて油で揚げると、外はカリッと香ばしく中はふんわりとした食感に仕上がる。ドーナツに似た見た目だが、ヤシ乳の柔らかな甘みと熱帯の温かさが染み込んだケケはドーナツとは全く異なる南太平洋の味わいを持つ。朝食・おやつ・お祝いの食卓を問わず登場し、学校の前の屋台から教会の集まりまで、ポリネシアの日常に溶け込んだ揚げたての一品だ。

ケケの作り方

◎生地を作る
薄力粉300g・ベーキングパウダー小さじ2・砂糖大さじ3・塩小さじ1/4をボウルに合わせてよく混ぜる。ヤシ乳150ml(なければ牛乳)・溶かしバター大さじ1・バニラエッセンス小さじ1/2を別のボウルで混ぜ、粉類に加えてさっくりと混ぜ合わせる。粉気がなくなったらラップをかけて常温で15〜20分休ませる。(生地は混ぜすぎると固くなるため、粉気がなくなった時点で止めること。ヤシ乳を使うとより本場の風味に近づく。缶詰のヤシ乳で十分で、ヤシクリームを使う場合は同量の水で薄めて使う。生地の硬さは柔らかいパン生地程度が目安)

◎成形する
打ち粉をした台に生地を取り出し、手で厚さ2cm程度に軽く伸ばす。直径5〜6cmの丸型(またはコップの口)で抜くか、手で一口大(ゴルフボール大)に丸める。(トンガでは丸型で抜いて真ん中に穴をあけるドーナツ型にするバリエーションと、穴なしの丸型にするバリエーションがある。穴なしの方が中がふんわりと仕上がる。成形した生地は揚げるまで重ねず間隔をあけて並べておく)

◎揚げる
鍋またはフライパンに油を4〜5cm深さまで入れ、170℃に熱する。生地を3〜4個ずつ静かに入れ、触らずに2〜3分揚げる。底面がきつね色になったら裏返し、さらに2分揚げて全体がこんがりした黄金色になったら取り出す。(油温が高すぎると外だけ焦げて中が生になる。170℃を目安に温度計がない場合は生地の小片を落としてみて3〜4秒で浮き上がれば適温の目安。揚げている間は火加減を調整して温度を維持する)

◎仕上げる

トンガの定番ケケの完成品 盛り付け画像

盛り付けたケケ

キッチンペーパーの上で油を切り、熱いうちに粉砂糖をふりかけるか、グラニュー糖を薄くまぶす。またはシナモンシュガー(シナモンパウダー小さじ1・砂糖大さじ2を混ぜたもの)を全体にまぶすと香ばしさが増す。トンガでは揚げたてをそのまま食べることが多く、ジャム・バター・ヤシクリームを添えることもある。(揚げたての状態が最もおいしく、冷めると生地がしっとりとした食感に変わる。どちらの状態でも味わいがあるが、外がカリッとした食感を楽しむなら揚げたてが絶対条件)

料理の歴史と背景

ケケのルーツは19世紀のヨーロッパ人宣教師と商人がポリネシア諸島にもたらした小麦粉・砂糖・ベーキングパウダーという食材にある。それ以前のトンガの食文化はタロイモ・ヤムイモ・バナナ・魚・ヤシを主体としたもので、小麦粉を使うパン系の食べ物は存在しなかった。19世紀前半にロンドン宣教師協会やウェスレー派のキリスト教宣教師たちがトンガに到来すると、彼らが持ち込んだ食材と調理技術がトンガの食文化と融合するようになった。ヤシ乳という島に豊富にある食材と組み合わせることで、西洋由来の揚げパン技術がポリネシアの味に変換され、各島固有のケケのスタイルが生まれていったとされている。

現代のトンガではケケは教会文化と深く結びついている。日曜礼拝の後に教会のコミュニティが集まって食事をする「フェカイ(Fekai)」と呼ばれる共同食事の場では、大量のケケが揚げられてテーブルに並ぶのが定番の光景だ。また結婚式・洗礼式・葬儀といった人生の節目の集まりでも、ケケは必ずといっていいほど登場する。島の至る所にある小規模な売店「フェア(Fea)」でも朝から揚げたてのケケが販売されており、学校への登校前に子どもたちが買い求める朝の風景はトンガの日常そのものだ。トンガ王国が2021年の海底火山噴火と津波による甚大な被害から復興する過程においても、ケケはコミュニティが集まって食べ物を分かち合う絆の象徴として機能し続けた。

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