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コロンビアの定番バンデハ・パイサのレシピ

赤インゲン豆の煮込み・白飯・チチャロン(豚の皮揚げ)・挽き肉炒め・豚ソーセージ・目玉焼き・アボカド・プランテン・アレパを一枚の大皿に盛り合わせる、コロンビア・アンティオキア地方発祥の国民食。山の民パイサの労働と誇りが詰まった圧巻の一皿を、歴史とともに紹介します。

コロンビアの定番バンデハ・パイサのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
120 調理時間
4人前 分量
約950kcal カロリー

材料

  • 【フリホーレス(赤インゲン豆の煮込み)】
  • 赤インゲン豆(乾燥) 300g(または缶詰400g)
  • 玉ねぎ 1個
  • ニンニク 4片
  • トマト 2個
  • クミンパウダー 小さじ1
  • パプリカパウダー 小さじ1
  • 砂糖 小さじ1/2
  • 塩 小さじ1
  • サラダ油 大さじ2
  • 【チチャロン(豚の皮揚げ)】
  • 豚の皮または皮付き豚バラ肉 300g
  • ニンニク 2片
  • クミンパウダー 小さじ1/2
  • 塩 適量
  • 揚げ油 適量
  • 【その他の盛り合わせ食材】
  • 牛豚合びき肉 200g
  • コロンビア産チョリソ(なければスペイン産または粗挽きポークソーセージ) 200g
  • 熟したプランテン(黄色・黒い斑点あり) 1本
  • アレパ(市販の冷凍または粉末から手作り) 4枚
  • 卵 4個
  • アボカド 1個
  • レモン 1/2個
  • 米 2合
  • 塩・サラダ油・クミンパウダー・パプリカパウダー・ニンニク・トマト 各適量(ホルミガ用)

バンデハ・パイサ(Bandeja Paisa)はコロンビアを代表するアンティオキア地方の伝統料理で、赤インゲン豆の煮込み(フリホーレス)・白飯・チチャロン(豚の皮の揚げ物)・ホルミガ(挽き肉の炒め物)・チョリソ(豚ソーセージ)・目玉焼き・アボカドのスライス・タハダ(揚げプランテン)・アレパ(とうもろこし粉の薄焼きパン)を一枚の大皿または金属製のトレイに所狭しと盛り合わせることで合計9品目の食材が一皿に並ぶコロンビア料理最大のボリュームを誇る国民食であり、メデジン・ボゴタ・カリをはじめコロンビア全土のレストランと家庭の食卓で老若男女に愛されています。バンデハ・パイサ最大の個性は9品目という圧倒的な食材の種類と量にあり、それぞれが独立した料理として成立しながらも隣り合う食材の旨みと食感が皿の上で自然に交わることで生まれる組み合わせの妙が、どれかひとつを食べ終えるたびに次の食材へと箸(手)が伸びる飽きのこない豊かな食体験を作り出しています。バンデハ・パイサの決め手はフリホーレス(赤インゲン豆の煮込み)にあり、チチャロンの揚げカスや豚足・玉ねぎ・トマトとともに数時間かけて豆が完全にとろけるまで煮込むことで皿全体の味の中心を担う濃厚でコクのあるベースソースが生まれることと、チチャロンをカリカリになるまで高温で揚げることで生まれる食感のコントラストが皿全体を引き締めることであり、この二つが揃って初めてメデジンの食堂や農場の食卓で食べるバンデハ・パイサの満足感が生まれます。コロンビアではバンデハ・パイサはアンデスの山岳地帯で農業・鉱山労働・牧畜に従事する「パイサ(Paisa)」と呼ばれるアンティオキア地方の人々の文化的アイデンティティに深く結びついており、一日の重労働を支えるための高カロリーで栄養バランスの取れた食事として生まれたこの料理が今日では国全体の誇りとしてコロンビア人に愛されています。

バンデハ・パイサの作り方

◎フリホーレス(赤インゲン豆の煮込み)を作る
赤インゲン豆(乾燥)300gをたっぷりの水に一晩浸けて戻し、水を捨てて新しい水800mlとともに鍋に入れ、強火でひと煮立ちさせてから弱火で1時間煮る。玉ねぎ1個(みじん切り)・ニンニク4片(みじん切り)・トマト2個(粗みじん)をサラダ油大さじ2で10分炒め、クミンパウダー小さじ1・パプリカパウダー小さじ1・塩小さじ1・砂糖小さじ1/2を加えて混ぜる。豆の鍋にこの炒め合わせを加え、さらに弱火で30〜40分、豆がほろりとくずれるほどやわらかくなりソースにとろみがつくまで煮込む。(フリホーレスは前日に作り置きすると翌日に味が落ち着いてより美味しくなる。乾燥豆の代わりに缶詰の赤インゲン豆400gを使う場合は一晩浸けと下茹での工程を省いて炒め合わせと合わせてから弱火で20分煮込むだけでよい。本場ではここにチチャロンの揚げカスや豚足を加えて煮込むことでより濃厚な旨みが出る)

◎チチャロン(豚の皮揚げ)を作る
豚の皮(豚バラ皮付き・または皮だけ)300gを5cm角に切る。鍋に豚の皮・水500ml・塩小さじ1・ニンニク2片・クミンパウダー小さじ1/2を入れて中火で30分下茹でし、水気を完全に拭き取ってから網の上で1〜2時間乾燥させる。180〜190度の油でカリカリになるまで5〜8分揚げ、塩をふる。(豚の皮は下茹でと乾燥をしっかり行うことで揚げたときにカリッと均一に膨らむ。水気が残ったまま揚げると油が激しく跳ねて危険なため必ず完全に乾燥させること。豚バラ肉(皮付き)を使う場合は皮と肉が一体になったチチャロンに仕上がる。揚げたてが最もカリカリで美味しいため、他の料理と盛り合わせる直前に揚げること)

◎ホルミガ(挽き肉炒め)・チョリソを仕上げる
牛豚合びき肉200gをフライパンにサラダ油大さじ1を熱して強火で炒め、塩小さじ1/2・クミンパウダー小さじ1/2・パプリカパウダー小さじ1/2・みじん切りのニンニク2片・みじん切りのトマト1個を加えてさらに5〜7分、肉がしっかりと火が通りパラパラになるまで炒める。コロンビア産チョリソ(なければスペイン産チョリソまたは粗挽きポークソーセージ)200gをフライパンで中火で8〜10分、全面にこんがりとした焼き色がつくまで焼く。(ホルミガはスペイン語で「アリ(蟻)」を意味し、細かくパラパラに炒まった挽き肉の見た目が蟻の群れに似ていることが名前の由来とされている。チョリソはコロンビア産のものはスペイン産より脂が少なく食感が引き締まっているが、スペイン産でも充分に代用できる)

◎タハダ(揚げプランテン)・アレパを仕上げる
熟したプランテン(黄色く皮に黒い斑点が出たもの)1本を斜め1cm厚さに切り、サラダ油を1cm深さまで注いだフライパンで中火で片面2〜3分ずつ、両面が黄金色になるまで揚げ焼きにする。アレパ(市販の冷凍または粉末から作ったもの)を焼き網またはフライパンで焦げ目がつくまで焼く。目玉焼きを好みの加減に焼き、アボカド1個を薄くスライスしてレモン汁をかける。(プランテンは完熟した甘みの強いものを使うこと。バナナで代用できるが、プランテンのほうが加熱しても崩れにくく甘みと食感のバランスがよい。アレパ粉(マサレパ)は輸入食材店・ラテンアメリカ食材店・ネット通販で入手できる。市販の冷凍アレパを使えば手間が大幅に省ける)

◎白飯を炊いて盛り合わせる

コロンビアの定番バンデハ・パイサの完成品 盛り付け画像

盛り付けたバンデハ・パイサ
米2合を塩少量とサラダ油小さじ1を加えて通常通り炊く。大きめの皿またはトレイに白飯・フリホーレス・チチャロン・ホルミガ・チョリソ・目玉焼き・アボカドスライス・タハダ・アレパをそれぞれ隣り合って隙間なく盛り合わせる。(コロンビアの伝統的なスタイルではすべての料理を同時に一枚の大皿に盛り合わせて出す。各料理の位置に決まりはないが、フリホーレスを米の隣に置いてソースが馴染みやすくするのが定番。目玉焼きは半熟の黄身が崩れると他の食材と混ざり合って美味しさが増す。チチャロンは最後に盛り付けてカリカリの食感を保つこと)

料理の歴史と背景

バンデハ・パイサの起源は19世紀後半から20世紀初頭にかけて、コロンビア・アンデス山脈の中部に位置するアンティオキア県・カルダス県・リサラルダ県・キンディオ県にまたがる「パイサ文化圏(Región Paisa)」の農場労働者や鉱夫たちの食文化に遡ります。「パイサ(Paisa)」とはアンティオキア地方出身者を指す呼称で、スペイン系植民者の子孫が多いこの地域の人々は農業・牧畜・コーヒー栽培・金鉱採掘に従事する勤勉な山の民として知られており、一日の重い肉体労働に耐えるために高カロリーで栄養バランスの取れた食事が必要とされていました。赤インゲン豆・とうもろこし・豚肉という在来の食材と、スペイン植民地時代に持ち込まれた米・小麦・牛肉・乳製品が組み合わさることで現在のバンデハ・パイサの原型となる大盛りの盛り合わせ料理が農場の食卓に生まれたとされています。特にコロンビアのコーヒー産業が急成長した20世紀初頭には、コーヒー農園の労働者たちの食事としてバンデハ・パイサが広く食べられるようになり、アンティオキア地方の食文化の象徴として定着しました。

現代のコロンビアにおいてバンデハ・パイサは2005年にコロンビア文化省によって国家文化遺産(Patrimonio Cultural de la Nación)に認定されており、コロンビアを代表する料理として国際的にも広く知られています。メデジンでは専門レストランが軒を連ねるほか、ボゴタ・カリ・バランキージャなど全国のコロンビア料理レストランでも定番メニューとして並んでおり、コロンビアを訪れる外国人旅行者が必ず注文する料理のひとつとして観光ガイドにも欠かさず登場します。近年はコロンビアのコーヒー文化・音楽・アート・観光の国際的な認知度の急上昇とともに、バンデハ・パイサも世界の食メディアで「中南米最強の皿」「世界一ボリュームのある国民食のひとつ」として紹介される機会が増えており、2010年代以降は欧米の食専門メディア・旅行ブログで頻繁に取り上げられるようになりました。日本では中南米料理への関心の高まりとともにコロンビア料理専門店が都市部に登場しており、9品目を一皿に盛り合わせるという圧倒的なビジュアルと食べごたえが日本のフードシーンでも強いインパクトをもって受け入れられつつあります。

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