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ドミニカ共和国の定番ラ・バンデラのレシピ

白飯・赤インゲン豆の煮込み(アビチュエラス)・鶏肉または牛肉の煮込み(ポジョ・グイサード)・揚げプランテンを一皿に盛り合わせる、ドミニカ共和国の昼食の定番国民食。三色が国旗を象徴する料理の誇りを、歴史とともに紹介します。

ドミニカ共和国の定番ラ・バンデラのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
90 調理時間
4人前 分量
約680kcal カロリー

材料

  • 【ソフリート(香味ベース・共通)】
  • 玉ねぎ 1個
  • ニンニク 6片
  • 赤ピーマン 半個
  • トマト 2個
  • コリアンダーリーフ ひとつかみ
  • 乾燥オレガノ 小さじ1
  • 青唐辛子 1本
  • 【アビチュエラス(赤インゲン豆の煮込み)】
  • 赤インゲン豆(乾燥) 250g(または缶詰400g)
  • かぼちゃ 100g
  • チキンブイヨン 1個
  • 砂糖 小さじ1
  • 塩 小さじ1
  • サラダ油 大さじ2
  • 【ポジョ・ギサード(鶏肉の煮込み)】
  • 鶏もも肉(骨付き) 600g
  • チキンストック 200ml
  • トマトペースト 大さじ1
  • サラダ油 大さじ2
  • アドボ(ニンニクパウダー・オレガノ・塩・黒こしょう・酢を混ぜたもの) 適量
  • サゾン(コリアンダーパウダー・クミン・ターメリック・ニンニクパウダー・塩を混ぜたもの) 大さじ1
  • 【その他】
  • 米 2合
  • 熟したプランテン(黄色・黒い斑点あり) 1本
  • アボカド 1個
  • コリアンダーリーフ 適量(仕上げ)
  • 塩・サラダ油・揚げ油 各適量

ラ・バンデラ・ドミニカーナ(La Bandera Dominicana)はドミニカ共和国を代表する国民食で、「ラ・バンデラ」とはスペイン語で「国旗」を意味し、白い米・赤いインゲン豆の煮込み(アビチュエラス・ギサーダス)・褐色の鶏肉または牛肉の煮込み(ポジョ・ギサードまたはカルネ・ギサーダ)・黄金色の揚げプランテン(タハダス)を一皿に盛り合わせた色彩がドミニカ共和国の赤・白・青の三色旗を連想させることからその名が付いた、サント・ドミンゴをはじめドミニカ共和国全土の家庭・食堂・レストランで月曜日から金曜日の昼食として毎日食べられる最も日常的な料理です。ラ・バンデラ最大の個性は各要素が独立した料理として完成しながらも一皿に盛り合わせることで互いの旨みと食感が補い合う完全食的な構成にあり、白飯がアビチュエラスの濃厚なソースを吸い、揚げプランテンの甘みが肉煮込みの塩気と絶妙に調和することで生まれる一体感は、カリブ海の食文化が育てた素朴にして完成された食の智恵を体現しています。ラ・バンデラの決め手はアビチュエラスを玉ねぎ・にんにく・トマト・アヒ(島唐辛子)・カルランドロ(コリアンダー)・オレガノで作るソフリート(炒め合わせ)を土台にして豆がとろりと崩れるまで煮込むことと、ポジョ・ギサードにサゾンとアドボという二種類のドミニカ特有の合わせ調味料で深みのある下味をつけてから煮込むことであり、この二つが揃って初めてサント・ドミンゴの家庭や食堂で食べるラ・バンデラの豊かな味わいに近づきます。ドミニカ共和国では「ラ・バンデラのない昼食は昼食ではない」という言葉があるほどこの料理は昼食文化の絶対的な中心に位置しており、毎週月曜から金曜の昼12〜14時にはドミニカ共和国中の家庭と食堂でラ・バンデラが出来上がる光景は、この国の日常生活を象徴する最も普遍的な風景となっています。

ラ・バンデラの作り方

◎ソフリート(香味ベース)を作る
玉ねぎ1個・ニンニク6片・赤ピーマン半個・トマト2個・コリアンダーリーフひとつかみ・乾燥オレガノ小さじ1・青唐辛子(またはアヒ・キューバネル)1本をミキサーで粗めのペースト状に撹拌する。(ソフリートはラ・バンデラ全体の風味の土台となる最重要の香味ベースで、アビチュエラスにもポジョ・ギサードにも共通して使う。まとめて作り置きできるため、倍量で作って冷蔵庫に保存しておくと平日の調理が大幅に楽になる。コリアンダーはドミニカ共和国ではシラントロとも呼ばれ、ソフリートに欠かせないハーブ。乾燥オレガノはカリブ料理特有の香りを担うスパイスで省略しないこと)

◎アビチュエラス・ギサーダス(赤インゲン豆の煮込み)を作る
赤インゲン豆(乾燥)250gを一晩水に浸けて戻し、水を捨てて新しい水700mlとともに圧力鍋(または普通の鍋で1時間)で豆がやわらかくなるまで茹でる。鍋にサラダ油大さじ2を熱し、ソフリート大さじ4を加えて中火で3〜4分炒める。茹でた豆を煮汁ごと加え、かぼちゃ100g(一口大)・砂糖小さじ1・塩小さじ1・チキンブイヨン1個を加えて弱火で20〜25分、豆の一部が崩れてスープにとろみがつくまで煮込む。(乾燥豆の代わりに赤インゲン豆の缶詰400gで代用する場合は一晩浸けと茹での工程が不要で、ソフリートで炒めてから缶の豆を汁ごと加えて煮込むだけでよい。かぼちゃを加えることで豆のスープに自然なとろみと甘みが生まれる。とろみが足りない場合はかぼちゃを木べらで崩しながら煮込んで調整する。アビチュエラスは白飯の上にかけて食べるため、スープのとろみが重要)

◎ポジョ・ギサード(鶏肉の煮込み)を作る
鶏もも肉(骨付き)600gにアドボ(ニンニクパウダー小さじ1・オレガノ小さじ1/2・塩小さじ1・黒こしょう小さじ1/2・酢大さじ1を混ぜたもの)を全体に揉み込んで30分置く。鍋にサラダ油大さじ2を強火で熱し、鶏肉を全面こんがりとしたきつね色になるまで焼き付けて取り出す。同じ鍋にソフリート大さじ4・サゾン(コリアンダーパウダー小さじ1・クミンパウダー小さじ1/2・ターメリックパウダー小さじ1/4・ニンニクパウダー小さじ1/2・塩小さじ1/2を混ぜたもの)大さじ1・トマトペースト大さじ1を加えて2〜3分炒め、鶏肉を戻してチキンストック200mlを加え、蓋をして弱火で25〜30分煮込む。(アドボとサゾンはドミニカ料理の二大合わせ調味料で、ドミニカ系の食材店では既製品も入手できる。自家製の場合は上記のレシピで簡単に作れる。サゾンのターメリックが肉とソースに鮮やかな黄色みを加えてラ・バンデラの色を豊かにする。鶏肉はしっかりとブラウニングすることでフォンが生まれてソースの深みが増す)

◎白飯を炊き、タハダス(揚げプランテン)を仕上げる
米2合にサラダ油小さじ2・塩小さじ1/2を加えて通常通り炊く。熟したプランテン(皮が黄色く黒い斑点が出たもの)1本を斜め1.5cm厚さに切り、サラダ油を1cm深さまで注いだフライパンで中火で片面2〜3分ずつ、両面が黄金色になるまで揚げ焼きにして塩をひとふりする。(白飯に少量の油と塩を加えて炊くのはカリブ料理特有のスタイルで、ふっくらとしてほんのりとコクのある仕上がりになる。プランテンは完熟したものを使うことで揚げたときに甘みが増す。バナナで代用できるが、プランテンのほうが加熱しても崩れにくい。タハダスは盛り付け直前に揚げることでカリッとした食感を保てる)

◎盛り付け

ドミニカ共和国の定番ラ・パンデラの完成品 盛り付け画像

盛り付けたラ・パンデラ
大きめの皿に白飯を大きく盛り、隣にアビチュエラスをたっぷりとかける。ポジョ・ギサードを白飯の反対側に盛り付け、タハダスを皿の端に並べる。アボカドのスライスを添えるのがドミニカの定番スタイル。(本場のドミニカ共和国では白飯の上にアビチュエラスをかけてから食べ始めるスタイルが一般的。アビチュエラスは飯の上にたっぷりとかけることで白飯がソースを吸って全体がひとつにまとまる。アボカドは塩とレモン汁をかけると風味が引き立つ。コリアンダーリーフを散らすと見た目と香りが一層よくなる)

料理の歴史と背景

ラ・バンデラの成立はドミニカ共和国の食文化の根底にある三つの歴史的系譜、すなわちスペイン植民地文化・アフリカ系奴隷の食文化・アラワク族など先住民の食文化が交差したカリブ海のメスティサヘ(混淆)文化に遡ります。白米はスペイン植民者が16世紀にカリブ海に持ち込んだ食材で、アフリカ系の人々はアフリカ原産の豆類・プランテン・根菜の料理文化を奴隷船と奴隷制の中でもカリブ海に伝え、先住民のアラワク族はカリブ海固有の根菜・唐辛子・コリアンダーの使い方を食文化に刻みました。この三つの食文化が300年以上の歴史の中で混じり合い、米・豆・肉・プランテンという組み合わせがドミニカの食の基本形として定着したとされています。「ラ・バンデラ」という名称がいつ頃から使われ始めたかについては明確な記録は残っていませんが、1844年のドミニカ共和国独立後に国旗への誇りが高まるなかで、国民食としてのこの料理の色と構成が国旗と重ねられて「ラ・バンデラ」と呼ばれるようになったという説が広く伝えられています。

現代のドミニカ共和国においてラ・バンデラは全国民が週5日の昼食として食べる文字通りの「日常の国民食」として、ドミニカ人のアイデンティティに最も深く結びついた料理となっています。ドミニカ共和国の食文化省は学校給食・病院食・公共施設の食堂においてラ・バンデラを昼食の基本メニューとして位置づけており、国家的な食文化の継承の観点からもこの料理の重要性が認識されています。ドミニカ系移民が多く居住するニューヨーク・マイアミ・プエルトリコのドミニカ系コミュニティでは故郷の味としてラ・バンデラが大切に受け継がれており、ドミニカ料理レストランでは必ずランチメニューの中心にラ・バンデラが並んでいます。日本ではドミニカ共和国料理を専門に提供するレストランはまだ少ないものの、中南米料理への関心の高まりとともにカリブ料理の認知度が上がるなかで、米・豆・肉・プランテンという組み合わせの親しみやすさとカリブのスパイスの香りが日本人にも受け入れられやすい料理として紹介される機会が増えています。

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