南アフリカの定番ボボティのレシピ
スパイスで炒めたひき肉をケープタウン発祥のケープマレー料理の伝統に従い卵液で覆ってオーブンで焼き上げる、南アフリカの国民食。カレー・チャツネ・レーズンが一体となった甘辛の深みを、歴史とともに紹介します。
材料
- 牛豚合びき肉 600g
- 玉ねぎ 2個
- ニンニク 3片
- 生姜 15g
- カレーパウダー 大さじ1
- ターメリックパウダー 小さじ1と1/2(ひき肉用小さじ1・卵液用小さじ1/4・イエローライス用小さじ1/4)
- クミンパウダー 小さじ1
- コリアンダーパウダー 小さじ1
- シナモンパウダー 小さじ1/4
- マンゴーチャツネ(またはアプリコットジャム) 大さじ2
- ウスターソース 大さじ1
- レーズン 80g(ひき肉用50g・イエローライス用大さじ2)
- 食パン(牛乳に浸してほぐす) 1枚
- 卵 3個
- 牛乳 200ml(卵液用)+食パン浸し用適量
- ベイリーフ 2〜3枚
- シナモンスティック 1本
- バター 10g
- 塩 適量
- サラダ油 大さじ2
- 米 2合
- マンゴーチャツネ・バナナ・コリアンダーリーフ 各適量(添え物)
ボボティ(Bobotie)は南アフリカを代表するケープマレー料理で、ターメリック・カレーパウダー・クミン・コリアンダーを合わせたスパイスで炒めたひき肉にチャツネ・レーズン・アプリコットジャムを加えて甘みと酸味を重ね、卵とミルクを合わせた卵液を表面に流し込んでオーブンでじっくりと焼き上げることで上層はふわりとしたカスタード状に固まり下層はスパイスの香り豊かなジューシーなミート層になる、南アフリカの国民食として世界中に知られる料理です。ボボティの最大の個性はひき肉のスパイシーな旨みとレーズン・チャツネが加える甘み・酸みのコントラストにあり、卵液のまろやかさがすべてをひとつにまとめることで生まれる甘辛で複雑な味の重なりは南アフリカ料理の中でも最も個性的な美味しさとして世界の食通から高く評価されています。ボボティの決め手は玉ねぎをじっくり炒めてスパイスを充分に香らせたひき肉の層と、卵・ミルク・ターメリックを合わせた卵液が低温でゆっくりと固まることで生まれるなめらかなトッピングのコントラストであり、この二層が揃って初めてケープタウンのケープマレー食堂で食べるボボティの味に近づきます。南アフリカではボボティはイエローライス(サフランまたはターメリックで色付けしたご飯)・チャツネ・バナナのスライスとともに供するのが伝統的な定番スタイルとして愛されており、家庭の日曜日の食卓・学校の給食・レストランのメニューを問わず老若男女に親しまれる国民食として南アフリカ人のアイデンティティに深く結びついています。家庭では調理済みのカレーペーストやチャツネを活用することで、本場ケープタウンの食堂で食べるような奥深い味わいを手軽に再現することができます。
ボボティの作り方
◎ひき肉ベースを作る
玉ねぎ2個をみじん切りにする。鍋にサラダ油大さじ2を熱し、玉ねぎを中火で15分、飴色になるまでじっくり炒める。ニンニク3片・生姜15g(すりおろし)を加えてさらに2分炒める。カレーパウダー大さじ1・ターメリックパウダー小さじ1・クミンパウダー小さじ1・コリアンダーパウダー小さじ1・シナモンパウダー小さじ1/4を加えて1分炒めてスパイスを香らせる。(玉ねぎを丁寧に飴色になるまで炒めることがボボティの甘みと深みを決定づける最重要工程。スパイスは油に溶けると香りが格段に引き立つので、必ず油と一緒に炒めること)
◎ひき肉を合わせて煮る
牛豚合びき肉600gを加えて木べらで崩しながら中火で5〜7分炒め、全体に火を通す。マンゴーチャツネ(またはアプリコットジャム)大さじ2・ウスターソース大さじ1・レーズン50g・牛乳に浸した食パン1枚分(水気を絞ってほぐす)・塩小さじ1を加えてよく混ぜ合わせ、弱火で5分煮込んでから耐熱皿に移す。(食パンをミルクに浸して加えることがボボティならではのしっとりとした食感の秘訣。レーズンとチャツネはボボティの甘酸っぱさを決定づける重要な材料なので省略しないこと。ひき肉は牛豚合びきが最もコクが出るが、牛ひき肉のみでも美味しく仕上がる)
◎卵液を作ってオーブンで焼く
オーブンを170度に予熱する。卵3個・牛乳200ml・ターメリックパウダー小さじ1/4・塩ひとつまみをよく混ぜ合わせて卵液を作る。耐熱皿に移したひき肉の表面を平らにならし、卵液を全体に静かに流し込む。ベイリーフ2〜3枚を卵液の上に差し込み、170度のオーブンで30〜35分、卵液の表面がきれいな黄金色に固まるまで焼く。(卵液は低温でゆっくり焼くことでなめらかなカスタード状に仕上がる。高温で焼きすぎると卵液がスフレのように膨らんで縮んでしまうので温度管理に注意すること。焼き上がりの目安は卵液の中心を竹串で刺して液が出てこない状態)
◎イエローライスを炊く
米2合を洗い、ターメリックパウダー小さじ1/2・塩小さじ1/2・バター10g・シナモンスティック1本を加えて通常通り炊く。炊き上がったらシナモンスティックを取り除き、レーズン大さじ2を混ぜ込む。(イエローライスはボボティに欠かせない付け合わせ。ターメリックの鮮やかな黄色がテーブルを華やかにする。レーズン入りのイエローライスは南アフリカの伝統的なスタイルで、ボボティの甘辛さとよく合う)
◎盛り付け

焼き上がったボボティを大きめのスプーンで切り分けてイエローライスと並べて盛り付ける。マンゴーチャツネ・バナナの薄切り・コリアンダーリーフを添えるのが南アフリカの定番スタイル。
料理の歴史と背景
ボボティの起源は17世紀後半、オランダ東インド会社の中継貿易港として栄えたケープタウンに、インドネシア・マレーシア・インドなどから連れてこられた奴隷や契約労働者が持ち込んだスパイス料理の文化にあります。彼らはケープマレーと呼ばれる独自のムスリムコミュニティを形成し、東南アジアとインドのスパイス料理を南アフリカの食材・食文化と融合させることで独自の「ケープマレー料理」を発展させました。ボボティの名はマレー語の「ボバトック(bobatok)」またはインドネシア語の「ボボト(bobotok)」に由来するという説が有力で、肉とスパイスを合わせて蒸し焼きにする東南アジアの調理法がケープタウンで発展し卵液を加えたオーブン焼きというスタイルに変化したものとされています。南アフリカで最初にボボティのレシピが文字として記録されたのは1609年のことで、これは南アフリカにおける料理レシピの記録としては最古の部類に入ります。
現代の南アフリカにおいてボボティは1994年のアパルトヘイト廃止後に南アフリカを象徴する国民食として国際的な認知度が急上昇し、2003年には国際スローフード協会がボボティを「味の箱舟(Ark of Taste)」に登録したことで世界中の食文化関係者の注目を集めました。現在ではケープタウンのケープマレー地区ボカープ・ヨハネスブルグ・ダーバンをはじめ南アフリカ全土のレストランや家庭の食卓で愛され続けており、南アフリカのムスリム系・白人系・黒人系を問わずあらゆるコミュニティに受け入れられた多文化共生の料理として南アフリカ人のアイデンティティに深く根付いています。日本では南アフリカ料理専門店や世界料理イベントでボボティが紹介される機会が増えており、チャツネやレーズンが加わるユニークな甘辛スタイルの焼き料理として注目を集めています。
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