南アフリカの定番チャカラカのレシピ
玉ねぎ・トマト・ピーマン・にんじん・豆をカレーパウダーとチリで炒め煮にした、南アフリカのブライ(屋外バーベキュー)に欠かせない万能野菜リレッシュ。パップ・パン・肉料理どれにも合う本格レシピを歴史とともに紹介します。
材料
- 玉ねぎ 2個
- ニンニク 4片
- 生姜 15g
- ピーマン(赤・黄・緑) 各1個
- にんじん 3本
- トマト 3個(またはカットトマト缶400g)
- 青唐辛子または赤唐辛子 1〜2本
- 水煮インゲン豆(またはベイクドビーンズ缶) 400g
- カレーパウダー 大さじ1と1/2
- パプリカパウダー 小さじ1
- クミンパウダー 小さじ1/2
- ターメリックパウダー 小さじ1/4
- 砂糖 小さじ1
- 塩・黒こしょう 適量
- サラダ油 大さじ3
- コリアンダーリーフ 適量
- パップ(またはご飯・パン) 適量(付け合わせ)
チャカラカ(Chakalaka)は南アフリカを代表するスパイシーな野菜の炒め煮で、玉ねぎ・トマト・ピーマン・にんじん・インゲン豆をカレーパウダー・チリ・生姜とともに炒め合わせてとろりと煮詰めることで野菜の旨みとスパイスの香りが溶け合ったコクのある万能リレッシュ(薬味的付け合わせ)に仕上がる、南アフリカ全土のブライ・家庭の食卓・学校の給食にいたるまで欠かせない国民的料理です。チャカラカの最大の個性は単独で食べるおかずというよりも肉料理・パップ(とうもろこし粉のポレンタ状主食)・パン・ご飯のどれに添えても料理全体を引き立てる万能な「名脇役」としての役割にあり、スパイシーでありながら野菜の甘みが下支えする複雑な旨みは南アフリカのどんな食卓にも自然に溶け込みます。チャカラカの決め手はカレーパウダーとチリを充分に炒めてスパイスを油に溶かし出す工程と、トマトをしっかりと煮詰めて酸みを旨みに変えることであり、この二つの工程を丁寧に行うことで初めてヨハネスブルグの屋台や家庭で食べるチャカラカの深みが生まれます。チャカラカは作り置きがきく料理としても重宝されており、冷蔵庫で3〜4日間保存できるだけでなく冷めてから食べたほうがスパイスが馴染んでより美味しくなるため、南アフリカの家庭では週末にまとめて作り置きして平日の食卓に活用するスタイルが広く定着しています。家庭では豆の種類や辛さを好みに合わせてアレンジでき、ヴィーガン料理としてもそのまま楽しめます。
チャカラカの作り方
◎野菜を切り揃える
玉ねぎ2個を薄切り、ニンニク4片をみじん切り、生姜15gをすりおろす。ピーマン(赤・黄・緑)各1個を細切り、にんじん3本をせん切りまたは粗みじんにする。トマト3個(またはカットトマト缶400g)を粗みじんにする。青唐辛子または赤唐辛子1〜2本をみじん切りにする。(にんじんはせん切りにすると短時間で火が通り食感が残る。粗みじんにするとよりトロトロに仕上がる。辛さは唐辛子の量で調整し、辛いのが苦手な場合は省略してカレーパウダーの量も半量にするとマイルドに仕上がる)
◎スパイスを炒めて香りを出す
大きめのフライパンまたは鍋にサラダ油大さじ3を熱し、玉ねぎを中火で10〜12分、きつね色になるまでじっくり炒める。ニンニク・生姜・唐辛子を加えてさらに2分炒め、カレーパウダー大さじ1と1/2・パプリカパウダー小さじ1・クミンパウダー小さじ1/2・ターメリックパウダー小さじ1/4を加え、油とよく混ぜながら1〜2分炒めてスパイスの香りを充分に引き出す。(スパイスは高温の油の中で短時間加熱することで香り成分が最大限に引き出される。この工程を省いたり時間を短縮すると生スパイスの粉っぽい味が残るため手を抜かないこと。スパイスが鍋底につき始めたらすぐに次の工程に進むこと)
◎野菜を加えて煮詰める
にんじんを加えて3分炒め、ピーマンを加えてさらに3分炒める。トマトを加えて木べらで崩しながら混ぜ、中火で10〜15分、トマトの水分が飛んでペースト状になるまでしっかりと煮詰める。水煮インゲン豆(またはベイクドビーンズ缶)400gを加えてよく混ぜ合わせ、砂糖小さじ1・塩小さじ1・黒こしょうで味を調え、さらに5分煮込んで全体に味を馴染ませる。(トマトをしっかり煮詰めることが酸みを旨みに変える最重要工程。トマトの水分が完全に飛んでから豆を加えること。ベイクドビーンズ缶を使うとほんのりとした甘みが加わり、より本場の屋台スタイルに近い味わいになる。豆は好みでひよこ豆・キドニービーンズなどに変えてもよい)
◎仕上げと盛り付け

チャカラカ
火を止めてそのまま10〜15分置き、粗熱を取りながらスパイスを全体に馴染ませる。コリアンダーリーフを散らして仕上げる。パップ(なければポレンタ・コーングリッツ・ご飯)・パン・焼いた肉に添えるのが南アフリカの定番スタイル。冷蔵庫で一晩置いたほうがスパイスが馴染んでより美味しくなる。(チャカラカは温かくても冷たくても美味しく食べられる。作りたてより翌日のほうがスパイスと野菜の旨みが溶け合ってより深みのある味になるため、ブライやパーティーには前日に作り置きしておくのが南アフリカ流の定番)
料理の歴史と背景
チャカラカの起源については複数の説がありますが、最も有力なのは20世紀初頭から中頃にかけてヨハネスブルグの金鉱山・工場地帯周辺に密集した労働者居住区(タウンシップ)で生まれたという説です。アパルトヘイト体制下の南アフリカでは黒人労働者は都市から隔離されたタウンシップに住むことを余儀なくされており、低賃金で働く労働者たちは限られた食材と安価なスパイスを使って栄養価が高く大人数を満たせる料理を工夫しました。タウンシップの屋台では缶詰の豆・市場で安く手に入る野菜にカレーパウダーを効かせたスパイシーな炒め煮が売られ、これがチャカラカの原型になったとされています。料理名の由来については諸説あり、ズールー語・コサ語・ソト語など複数の南アフリカの言語に関連する説が唱えられていますが定説には至っておらず、「ゆらゆらと揺れる・賑やかな」といった意味合いを持つ言葉が語源という説が広く伝えられています。
現代の南アフリカにおいてチャカラカは1994年のアパルトヘイト廃止後にタウンシップの料理から全人種に愛される国民食へと急速に広まり、現在ではスーパーマーケットで瓶詰め商品が販売されるほど日常的な存在となっています。チャカラカはポトジェコスやブライの肉料理と並んで南アフリカのアウトドア食文化を代表する料理として定着しており、週末のブライにチャカラカとパップが並ぶ光景は全国どこでも見られる南アフリカの日常風景となっています。また完全な植物性食材のみで作れるヴィーガン料理であることから、近年は南アフリカ国内外の健康志向の高まりとともにあらためて注目を集めています。日本では南アフリカ料理やアフリカ料理の認知度向上に伴い、カレー風味の野菜炒め煮という親しみやすいスタイルから日本人にも直感的に理解しやすい料理として関心を集めています。
このレシピは役に立ちましたか?サイトの継続運営への応援をお待ちしています。