中国の定番火鍋のレシピ
中国全土を熱狂させる究極のエンターテインメント鍋「火鍋」。しびれる辛さの「麻辣」と、滋味深い「白湯」の二つのスープが太極図を描く、港湾労働者の過酷な歴史から生まれた本格スパイス鍋をご家庭で楽しむレシピをご紹介します。
材料
- 【麻辣(マーラー)スープ】
- サラダ油(または牛脂) 大さじ4
- ニンニク(薄切り) 3片
- 生姜(薄切り) 1片
- 長ネギ(ぶつ切り) 1/2本
- 豆板醤 大さじ3〜4
- 乾燥赤唐辛子 10〜15本
- 花椒(ホール) 大さじ1
- 八角 1個
- 桂皮(シナモン) 1片
- 鶏ガラスープ 800ml
- 醤油 大さじ2
- 酒 大さじ2
- 【白湯(パイタン)スープ】
- 市販の鶏白湯スープの素(規定量で薄めたもの) 800ml
- ニンニク(薄切り) 2片
- 生姜(薄切り) 1片
- 長ネギ(ぶつ切り) 1/2本
- 乾燥ナツメグ 3〜4個
- クコの実 大さじ1
- 干しエビ 大さじ1
- 塩 少々
- 白こしょう 少々
- 【つけダレ(ごま油ベース)】
- 純正ごま油 大さじ4
- ニンニク(すりおろし) 大さじ1
- パクチー(または青ネギのみじん切り) 大さじ2
- オイスターソース 小さじ1
- 黒酢 小さじ1
- 【お好みの具材】
- ラム肉(薄切り) 適量
- 牛肉(薄切り) 適量
- キノコ類(エノキ・シイタケ・キクラゲなど) 適量
- 葉物野菜(青梗菜・春菊など) 適量
- 木綿豆腐 適量
- 春雨(または板春雨) 適量
火鍋の作り方
◎灼熱の「麻辣(マーラー)スープ」を練り上げる
火鍋の心臓部となる麻辣スープの素を作ります。鍋に多めの油(本場では牛脂を使いますがサラダ油でも可)を熱し、ニンニク、生姜の薄切り、長ネギのぶつ切りを香りが立つまで炒めます。そこに豆板醤をたっぷりと加え、油が真っ赤に染まるまでしっかりと炒めて香ばしさを引き出します。さらに、強烈なしびれを生む花椒、八角、桂皮(シナモン)、大量の乾燥赤唐辛子を加え、スパイスの香りを油に完全に移します。ここに鶏ガラスープを注ぎ、醤油と酒で味を調えれば、灼熱の麻辣スープの完成です。
◎滋味深い「白湯(パイタン)スープ」を仕込む
激しい麻辣のオアシスとなるのが、白湯スープです。鍋に白濁した鶏ガラスープ(市販の濃厚な鶏白湯スープの素を使うと手軽です)を沸かし、ニンニク、生姜の薄切り、長ネギを加えます。さらに、薬膳の優しい風味を加えるために、乾燥ナツメ、クコの実、そして少量の干しエビを加えます。塩と白こしょうでシンプルに味を調え、素材の自然な甘みと旨味を際立たせます。
◎自分だけの特製つけダレ(蘸料)を調合する
火鍋のもう一つの主役が、具材をディップする特製ダレです。最もクラシックな重慶スタイルは、麻辣の辛さを和らげ、旨味を増幅させる「ごま油」ベースのタレです。器にたっぷりの純正ごま油を注ぎ、そこにすりおろした大量のニンニク、刻んだパクチー(またはネギ)、少量のオイスターソースと黒酢を混ぜ合わせます。このタレが、火を吹くようなスパイスと肉の旨味を完璧に繋ぎ止める接着剤となります。
◎お好みの具材を大皿に盛り付ける
具材の準備は火鍋の最大の楽しみです。メインとなるのは、薄切りのラム肉(羊肉)と牛肉。さらに、エノキ、シイタケ、キクラゲといった豊富なキノコ類、青梗菜や春菊などの葉物野菜、そして豆腐や春雨(または板春雨)を大皿に盛り付けます。手に入る新鮮な食材を自由奔放に組み合わせるのが火鍋の醍醐味です。
◎熱狂の鍋を囲み、スープに沈める

盛り付けた火鍋
卓上コンロに鴛鴦鍋(仕切り鍋)をセットし、麻辣と白湯の二つのスープを注いで火にかけます。スープがグラグラと沸え立ったら、それぞれの好みのスープに肉や野菜をくぐらせます。ラム肉の脂が麻辣のスパイスと絡み合い、キノコが白湯の出汁をたっぷりと吸い込む。熱々の具材を特製ダレに絡めて、豪快に頬張ります。

中国の国旗
広大な中国大陸で、季節を問わず人々を熱狂させる食のエンターテインメントといえば「火鍋(フゥオグゥオ)」です。地域によって様々なスタイルが存在しますが、現在最もアイコニックなのが、四川・重慶スタイルの「鴛鴦(ユエンヤン)鍋」でしょう。鍋の中央をS字に仕切り、一方には大量の唐辛子と花椒(ホアジャオ)、そして香辛料を溶かし込んだマグマのように赤く煮えたぎる「麻辣(マーラー)スープ」を注ぎます。もう一方には、鶏や豚の骨からじっくりと旨味を抽出し、ナツメやクコの実といった薬膳スパイスを浮かべた滋味深い「白湯(パイタン)スープ」を注ぎ入れます。この陰陽太極図のような美しくも鮮烈なコントラストを持つ二つのスープの中で、薄切りの羊肉や牛肉、新鮮な内臓、たっぷりのキノコや野菜をしゃぶしゃぶにし、ごま油とニンニクを効かせた特製ダレにくぐらせて豪快にいただきます。今回は、この本格的な二色のスープをご家庭で手作りし、大陸の熱気をそのまま食卓に再現するレシピを紐解いていきましょう。
料理の歴史と背景
現在世界中で洗練された料理として楽しまれている火鍋ですが、特に刺激的な「重慶火鍋」のルーツは、長江の港町で過酷な肉体労働に従事していた「船曳き(縴夫)」などの労働者たちのストリートフードにあります。19世紀から20世紀初頭にかけて、彼らは高価な肉を買うことができず、富裕層が敬遠していた牛の胃袋(センマイ)や腸などの内臓肉を拾い集めて食べていました。これらの内臓肉の強い臭みを消し、体を芯から温めて過酷な労働の疲労を回復させるために、安価で強烈な刺激を持つ唐辛子や花椒を大量に使い、牛脂で煮込んだのが麻辣火鍋の始まりです。一つの鍋を大勢の労働者で囲み、それぞれの区画に具材を入れて煮る。そこには、身を寄せ合い、たくましく生き抜こうとする人々のエネルギーと強烈な連帯感が煮えたぎっていたのです。
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