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ウルグアイの定番チビートのレシピ

薄切りのビーフステーキにハム・チーズ・卵・ベーコン・野菜を重ねてパンに挟むウルグアイの国民的サンドイッチ。1940年代にモンテビデオで生まれた南米屈指のボリュームと完成度を誇るチビートの本格レシピを歴史とともに紹介します。

ウルグアイの定番チビートのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
30 調理時間
4人前 分量
780 カロリー

材料

  • 牛ロース薄切り(またはランプステーキ) 600g
  • ベーコン 8枚
  • ロースハム(薄切り) 8枚
  • モッツァレラまたはチェダーチーズ(スライス) 4枚
  • 卵 4個
  • レタス 適量
  • トマト 2個
  • バンズまたはコッペパン 4個
  • 塩・黒胡椒 適量
  • サラダ油 少々
  • オリーブ・ピクルス(任意) 適量
  • フライドポテト(添え用) 適量
  • 【マヨネーズソース】
  • マヨネーズ 大さじ4
  • ディジョンマスタード 小さじ2
  • レモン果汁 小さじ1
  • ニンニク(すりおろし) 1片
  • 塩 少々

チビート(Chivito)はウルグアイ語で「子ヤギ」を意味するが、料理そのものとヤギはまったく関係がない——薄切りのビーフステーキ(チュラスコ)を主役に、ハム・チーズ・目玉焼きまたはゆで卵・ベーコン・レタス・トマト・マヨネーズをバンズまたはパンに重ねた、南米屈指のボリュームと完成度を誇るウルグアイの国民的サンドイッチだ。ウルグアイのどんな食堂・バル・レストランでもメニューに必ずある料理で、モンテビデオっ子は「チビートがおいしい店がいい店」という哲学を持つほど、チビートはウルグアイの食文化の基準点として機能している。南米の肉食文化の底力を体現したこの一品を、自宅で本格的に再現してほしい。

チビートの作り方

◎肉の下準備をする
牛ロース薄切り(または牛もも肉・ランプステーキ)600gを4等分にし、麺棒またはミートハンマーで軽く叩いてさらに薄く均一にのばす。塩・黒胡椒を両面にふり、10分おく。(チビートのビーフは厚みより面積が大切で、薄く広く伸ばすことでパンからはみ出すほどの存在感になる。ウルグアイでは「チュラスコ」と呼ばれる薄切りビーフを使うが、日本ではシャブシャブ用の牛ロースを数枚重ねて使うと近い食感に仕上がる)

◎ベーコンと卵を焼く
フライパンにサラダ油少々を熱し、ベーコン8枚をカリッと焼いて取り出す。同じフライパンで目玉焼き4個を焼く(またはゆで卵を半切りにしてものせる)。チビートでは目玉焼きと薄切りゆで卵の両方をのせるバリエーションも多い。(ベーコンはカリカリに焼くことで食感のアクセントになる。目玉焼きは黄身が半熟状態で仕上げるとかじったときに黄身が溢れてソースとして機能する)

◎ビーフステーキを焼く
同じフライパンを強火で熱し、薄切りビーフを1〜2分ずつ両面を素早く焼く。焼き上がる直前にモッツァレラチーズまたはチェダーチーズのスライスをのせ、蓋をして30秒待ってチーズを溶かす。(薄切りビーフは強火で素早く焼くことがコツで、火を通しすぎると硬くなる。チーズは完全に溶かすよりとろりとした状態が最もおいしい。フライパンに肉汁が残ったら後でソースに使える)

◎マヨネーズソースを作る
マヨネーズ大さじ4・ディジョンマスタード小さじ2・レモン果汁小さじ1・ニンニク1片(すりおろし)・塩少々を混ぜ合わせる。(ウルグアイのチビートにはマヨネーズが必須で、市販のマヨネーズにマスタードとニンニクを加えるだけで格段に風味が増す。ケチャップを少量混ぜてサウザンドアイランド風にするバリエーションも人気だ)

◎ハムを温める
薄切りロースハム8枚を同じフライパンで軽く温めて焼き色をつける。チビートの標準的な構成ではステーキとハムの両方が入るのがウルグアイ流で、どちらも省略しない。(ハムは温めるだけでなく少し焼き色をつけることで香ばしさが増す。厚めのハムを使うとよりボリュームが出る)

◎組み立てて完成させる

ウルグアイの定番チビートの完成品 盛り付け画像

盛り付けたチビート

大きめのバンズまたはメディアルナ(クロワッサン型のウルグアイのパン・なければコッペパンまたはバゲット)を横半分に切る。下のパンにマヨネーズソースをたっぷりと塗り、レタス数枚・薄切りトマト2〜3枚を重ねる。チーズを溶かしたビーフステーキを重ね、ハムを折りたたんでのせ、ベーコンを並べ、目玉焼きをのせる。オリーブ・薄切りのピクルス・薄切り玉ねぎをのせ、上のパンにもマヨネーズを塗って閉じる。竹串で固定して皿に盛り、フライドポテトを添える。(積み重ねる順番がチビートの構造の安定性に直結する。肉汁を吸収するレタスを下に敷くことで底のパンがべちゃっとしない。竹串は必須で、高さのあるチビートは串なしでは崩れる)

料理の歴史と背景

チビートの誕生には明確な起源の物語がある。1944年、モンテビデオのポシートス海岸沿いにあったレストラン「エル・パレンケ」のオーナー、アントニオ・カルバハャルのもとに客が訪れ、「山で食べた子ヤギ(チビート)の肉のサンドイッチが食べたい」と注文した。手元に子ヤギの肉がなかったカルバハャルは代わりに薄切りのビーフステーキを使い、ハム・チーズ・卵・野菜を重ねたサンドイッチを提供した。客はそれを気に入り、「これがチビートか」と言ったことから料理名が定着したとされる。この逸話はウルグアイでは広く知られており、チビートが「代用品から生まれた料理」という出自はかえってその親しみやすさを増している。

1950〜60年代にモンテビデオのバルやレストランに急速に広まったチビートは、ウルグアイの経済的な繁栄期と重なって「豊かさの象徴」としての地位を確立した。アルゼンチンの隣国として南米最高水準の生活水準を誇っていたウルグアイでは、ビーフを惜しみなく使ったサンドイッチを気軽に食べられることが豊かさの証だった。1970〜80年代の経済危機と軍事独裁政権の時代を経ても、チビートはウルグアイ人の食文化における不変の基準点であり続けた。現代のモンテビデオでは「チビート・アル・プラト(皿に盛るスタイル)」と「チビート・アル・パン(パンに挟むスタイル)」の二種類が標準的に提供されており、皿盛りスタイルは肉・卵・ベーコン・ハム・チーズをご飯またはフライドポテトとともに皿に盛る形式だ。ウルグアイ政府は2024年にチビートをユネスコ無形文化遺産への申請候補として検討しており、この庶民的なサンドイッチがいかに深くウルグアイのアイデンティティと結びついているかを国際社会に発信しようとしている。

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