ヨーロッパ

ルクセンブルクの定番ジュド・マット・ガールデボーネンのレシピ

燻製にした豚の首肉をソラマメと野菜とともに煮込むルクセンブルクの国民食。素朴な見た目の中に燻製の深みとソラマメの甘みが溶け合う、小国が誇る郷土料理の本格レシピを歴史とともに紹介します。

ルクセンブルクの定番ジュド・マット・ガールデボーネンのレシピ
Author
上の
郷土レシピ.com代表
120 調理時間
4人前 分量
約540kcal カロリー

材料

  • 燻製豚首肉(スモークドポークネック) 800g
  • ソラマメ(さやから出した状態) 400g
  • 玉ねぎ 2個(1/2個は下茹で用)
  • ニンジン 1本
  • セロリ 1本
  • バター 大さじ2
  • 薄力粉 大さじ2
  • 生クリーム 100ml
  • ローリエ 2枚
  • タイム 数本
  • 黒胡椒粒 10粒
  • 塩・白胡椒 適量
  • パセリ(みじん切り) 適量
  • じゃがいも(付け合わせ用) 4個

ジュド・マット・ガールデボーネン(Judd mat Gaardebounen)はルクセンブルク語で「ソラマメを添えた燻製豚肉」を意味する料理で、この小国の国民食として法律でその地位が認められているほど特別な存在だ。燻製にした豚の首肉(スモークドポークネック)を数時間煮込んで柔らかくほぐし、ソラマメ・ニンジン・玉ねぎ・セロリを合わせたクリーミーなソースとともに食べる。燻製の深みのある旨みとソラマメのほっくりとした甘み、仕上げのクリームが生む滑らかなコク——この組み合わせはルクセンブルク人にとって母国の味そのものだ。夏のソラマメの季節(6〜7月)が最もおいしい時期とされ、この時期になると国中のレストランがジュド・マット・ガールデボーネンを日替わりメニューに掲げる。

ジュド・マット・ガールデボーネンの作り方

◎燻製豚肉を下茹でする
燻製豚首肉(スモークドポークネック・なければスモークドポークショルダー)800gを大きめの鍋に入れ、水をたっぷりかぶるまで注ぐ。ローリエ2枚・黒胡椒粒10粒・タイム数本・玉ねぎ1/2個を加えて強火にかけ、沸騰したらアクを取り除き、弱火で1時間30分〜2時間煮込む。肉がフォークでほぐれるほど柔らかくなったら取り出し、煮汁を500ml取り置く。(燻製豚肉は塩気が強いため下茹でで塩分を調整する。煮汁はソースに使うので捨てずに必ず取り置く。スモークドポークネックは輸入食材店またはオンラインで入手できる。なければ国産の豚肩ロースを燻製チップで短時間スモークするか、ベーコンブロックで代用できる)

◎ソラマメを下処理する
ソラマメ(さやから出した状態)400gを塩を加えた熱湯で3〜4分茹でて冷水に取り、薄皮をむく。(ソラマメの旬は6〜7月。旬外れの場合は冷凍ソラマメでも代用できる。薄皮をむくことで口当たりが格段に良くなるため省略しないこと。さやつきのソラマメを使う場合は約1kgが必要)

◎野菜を炒めてソースを作る
深めのフライパンまたは鍋にバター大さじ2を熱し、みじん切りにした玉ねぎ1個・セロリ1本・ニンジン1本を中火で8〜10分、しんなりするまで炒める。薄力粉大さじ2を振り入れてよく混ぜ、1〜2分炒めて粉気を飛ばす。取り置いた煮汁500mlを少しずつ加えながらよく混ぜてとろみをつける。生クリーム100mlを加えて弱火で5分煮立て、塩・白胡椒で味を調える。(粉を加えた後は焦げやすいため弱火で丁寧に混ぜること。煮汁に塩気があるため、生クリームを加えた後に味見してから塩を調整する)

◎仕上げて盛り付ける

ルクセンブルクの定番ジュド・マット・ガールデボーネンの完成品 盛り付け画像

盛り付けたジュド・マット・ガールデボーネン
下茹でした豚肉を食べやすい厚さ(1.5〜2cm)にスライスする。ソースにソラマメを加えて温め、肉を加えてさらに5分ほど弱火で煮てなじませる。茹でたじゃがいも(ゆでじゃがまたはマッシュポテト)とともに深めの皿に盛る。仕上げにパセリのみじん切りを散らす。(ルクセンブルクでは茹でたじゃがいもをそのまま添えるスタイルが一般的。マッシュポテトにするとよりご馳走感が出る)

料理の歴史と背景

ジュド・マット・ガールデボーネンの起源は中世ルクセンブルクの農村食文化にある。豚の首肉を燻製・塩漬けにして保存するという技術は、冷蔵技術のなかった時代に豚を丸ごと無駄なく活用するための知恵だった。ソラマメはルクセンブルクの農村で古くから栽培されてきた豆で、夏の収穫期に脂ののった燻製豚肉と合わせることで、質素ながら栄養価の高い食事が生まれた。ルクセンブルクはベルギー・フランス・ドイツに囲まれた小国であり、その食文化は三国の影響を受けながらも独自のスタイルを保ってきた。ジュド・マット・ガールデボーネンはドイツのアイスバイン(豚スネの煮込み)やフランスのカスレ(豆と肉の煮込み)と親縁関係を持ちながら、燻製と生クリームの組み合わせにルクセンブルク独自の洗練さが宿っている。

2007年、ルクセンブルク政府はジュド・マット・ガールデボーネンを国民食(Nationalgericht)として公式に認定した。EU加盟国の中で特定の一皿を法的に国民食と定めた例は極めて珍しく、この料理に対するルクセンブルク人の並々ならぬ愛着を物語っている。首都ルクセンブルク市の旧市街のレストランではほぼ年中メニューに載っているが、ソラマメの旬である6〜7月の「ジュドの季節」には国全体で消費量が跳ね上がり、食堂や家庭の食卓がこの料理一色に染まる。近年は移民の増加により食文化が多様化するルクセンブルクにおいても、ジュド・マット・ガールデボーネンだけは「ルクセンブルク人であること」の象徴として揺るぎない地位を保ち続けている。

関連タグ

このレシピは役に立ちましたか?サイトの継続運営への応援をお待ちしています。

Ko-fiで応援する