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ボリビアの定番サルテーニャのレシピ

牛肉・じゃがいも・オリーブ・レーズンをゼラチンで固めたフィリングを甘みのある生地で包んで焼き上げるボリビアの国民的軽食。焼き上がると中にスープが生まれる独創的なサルテーニャの本格レシピを歴史とともに紹介します。

ボリビアの定番サルテーニャのレシピ
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上の
郷土レシピ.com代表
60 調理時間
4人前 分量
約580kcal カロリー

材料

  • 【フィリング(前日準備)】
  • 牛肉(モモまたはバラ) 400g
  • じゃがいも 2個
  • 冷凍グリンピース 100g
  • ゆで卵 3個
  • ブラックオリーブ 10粒
  • レーズン 大さじ2
  • 玉ねぎ 2個
  • ニンニク 3片
  • パプリカパウダー 大さじ2
  • クミン 小さじ1
  • オレガノ 小さじ1
  • アヒアマリージョペースト(なければカイエンペッパー小さじ1/2)
  • 粉ゼラチン 10g
  • 水 300ml+大さじ3
  • 塩・黒胡椒 適量
  • サラダ油 大さじ2
  • 【生地】
  • 薄力粉 400g
  • 強力粉 100g
  • バター(溶かす) 80g
  • 卵 2個
  • 砂糖 大さじ3
  • アナトー(なければパプリカパウダー大さじ1+ターメリック小さじ1/2) 小さじ2
  • 塩 小さじ1
  • 水 100〜120ml
  • 【仕上げ】
  • 卵黄 1個
  • 水 大さじ1

サルテーニャ(Salteña)はボリビアの朝食・ブランチ文化を象徴する焼き包み料理で、アルゼンチンやチリのエンパナーダと同じ系譜に属しながらも、その内側に隠された仕掛けによってまったく別次元の料理となっている。牛肉・じゃがいも・ゆで卵・オリーブ・レーズン・唐辛子を煮込んでゼラチンで固めたフィリングを、砂糖と色素で甘くオレンジ色に染めた生地で包んで焼くと、オーブンの中で固まっていたゼラチンが溶けて肉汁のスープとなり、焼き上がった瞬間に中がスープで満たされた状態になる。食べる際は生地をかじった瞬間に熱いスープが溢れ出す——このスープをこぼさずに食べられるかどうかがボリビア人のサルテーニャ熟練度の証だ。ラパスの路地裏の専門店に朝9時から行列が並ぶ光景は、ボリビアの朝の風景そのものである。

サルテーニャの作り方

◎フィリングを作る(前日準備)
鍋にサラダ油大さじ2を熱し、みじん切りにした玉ねぎ2個・ニンニク3片を中火で10分炒める。パプリカパウダー大さじ2・クミン小さじ1・オレガノ小さじ1・アヒアマリージョペースト(なければカイエンペッパー小さじ1/2)・塩・黒胡椒を加えて1〜2分炒める。一口大に切った牛肉(モモまたはバラ)400gを加えて全体に色が変わるまで炒め、水300mlを加えて蓋をして弱火で20分煮込む。一口大に茹でたじゃがいも2個・冷凍グリンピース100gを加えてさらに5分煮る。火を止めて粉ゼラチン10g(水大さじ3で溶いたもの)を加えてよく混ぜる。二つ割りにしたブラックオリーブ10粒・レーズン大さじ2を加えて混ぜ、バットに広げて冷蔵庫で一晩冷やして完全に固める。(ゼラチンで固めることがサルテーニャの命で、焼いたときにゼラチンが溶けてスープになる。前日に作って完全に固めることが絶対条件で、当日作ったフィリングでは包むことができない)

◎生地を作る
薄力粉400g・強力粉100g・塩小さじ1・砂糖大さじ3・アナトー(またはパプリカパウダー大さじ1・ターメリック小さじ1/2を合わせたもの)小さじ2をボウルに混ぜる。溶かしバター80g・卵2個・水100〜120ml(様子を見ながら加える)を加えてひとつにまとまるまで捏ねる。ラップに包んで冷蔵庫で30分休ませる。(アナトーはアチョーテとも呼ばれる南米の赤い天然色素で、サルテーニャ特有のオレンジ色の生地を作る。入手できない場合はパプリカパウダーとターメリックの組み合わせで代用できる。砂糖を加えることでボリビアのサルテーニャ特有の甘みのある生地が生まれ、アルゼンチンのエンパナーダとの最大の違いになる)

◎成形する
生地を12等分にして丸め、打ち粉をした台の上で直径13〜15cmの円形に伸ばす。冷蔵庫から取り出した固まったフィリングを大きめのスプーンでひとかたまり(約60〜70g)すくい取り、生地の中央に置く。ゆで卵1/4個・さらにオリーブを1〜2粒のせる。生地の縁に水をつけて半円形に折り畳み、縁を指先でしっかりとつまんでひだを作りながら閉じる(レパサード)。閉じ目を上にして天板に並べる。(フィリングは固まった状態のまま手早く扱うこと。温まり始めるとゼラチンが溶けて扱いにくくなる。縁のひだはしっかりと密封することが重要で、焼いている間に割れてスープが流れ出てしまうと失敗になる)

◎卵液を塗って焼く
卵黄1個・水大さじ1を混ぜた卵液を表面にハケで塗る。220℃に予熱したオーブンで18〜22分、生地が深いオレンジ色になり底面にもしっかり焼き色がつくまで焼く。焼き上がったらすぐに食べる。(高温で短時間に焼くことが大切で、低温でゆっくり焼くとスープが蒸発して中が乾いた仕上がりになる。焼き立ては中のスープが沸騰しているため、食べる際は生地の側面の上部を少しかじって空気を入れてから食べると火傷を防げる)

◎食べる

ボリビアの定番サルテーニャの完成品 盛り付け画像

盛り付けたサルテーニャ

焼きたてのサルテーニャは必ず立ったまま両手で持ってかじるのがボリビア流だ。生地の上部を小さくかじって少し冷ましてからスープを一口すすり、その後かじりながら食べ進める。絶対にスープをこぼさないよう前傾みで食べるのが暗黙のルールで、皿を使わずに紙ナプキンだけで食べるのが路地裏の正式スタイルだ。

料理の歴史と背景

サルテーニャという名前はアルゼンチン北西部の都市サルタ(Salta)に由来するとされており、19世紀初頭にサルタ出身の女性ホアナ・マヌエラ・ゴリティがボリビアのコチャバンバに逃れた際に持ち込んだエンパナーダのレシピが原型だという説が最も広く知られている。ゴリティは独立戦争期のアルゼンチンの政治的混乱を逃れてボリビアに移住し、生活のためにエンパナーダを売り始めたとされている。彼女が作ったエンパナーダはサルタ出身を示す意味で「サルテーニャ(サルタのもの)」と呼ばれるようになり、ボリビアの食文化に定着していった。その後ボリビア各地でアレンジが加えられ、ゼラチンを使ってスープを閉じ込めるという独創的な技法・砂糖を加えた甘い生地・アナトーによるオレンジ色の着色など、現在のボリビア独自のサルテーニャスタイルが確立されたとされている。

現代のボリビアではサルテーニャは午前10時前後に食べる「朝のおやつ(media mañana)」として確固たる地位を占めている。ランチでも夕食でもなく、朝と昼の間に食べるものというタイミングの文化はボリビア独自のもので、ラパス・コチャバンバ・サンタクルスの街にはサルテーニャ専門店(サルテーニェリア)が無数に存在し、午前9〜11時の間だけ営業して売り切れ次第閉店するスタイルが主流だ。地域ごとにフィリングの構成・辛さ・生地の甘みに個性があり、コチャバンバは辛め、ラパスは甘め、サンタクルスは肉が多めというようにローカルバリエーションが存在する。ボリビア政府はサルテーニャをユネスコ無形文化遺産への申請候補として位置づけており、この料理がいかにボリビアのアイデンティティと結びついているかを国際社会に発信しようとしている。

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